INTERVIEW|さらなる感動「ルイ13世 レア・カスク42.6」とは何か
LOUNGE / FEATURES
2016年1月4日

INTERVIEW|さらなる感動「ルイ13世 レア・カスク42.6」とは何か

LOUIS XIII|ルイ13世

コニャックの王である「ルイ13世」のあたらしい子どもが、ついに予約開始

INTERVIEW|「ルイ13世 レア・カスク42.6」とは何か

いよいよ6月に発売される商品名は、「ルイ13世 レア・カスク42.6」──世界最高峰のコニャック“ルイ13世”の“レア=希少な、カスク=樽(たる)”で、“アルコール度数42.6”。1874年にレミーマルタン社から誕生したルイ13世の約150年におよぶ輝かしい歴史のなかで、2009年に発売された「レア・カスク43.8」につづく“2樽目”がついに世界発売される。

Text by KAJII Makoto (OPENERS)

「ルイ13世 レア・カスク42.6」は、世界限定デキャンタ738本分

「ルイ13世 レア・カスク42.6」のお披露目の舞台は、インドの首都ニューデリーから飛行機で約1時間半、東洋のヴェネチアと呼ばれる美しい都市ウダイプール。アラバリの丘を背景に広がるピチョーラ湖に浮かぶ島の宮殿「ジャグ・マンディール(Jag Mandir Island)」で、一夜のガラディナーが開催された。

OPENERS読者はよくご存知だろうが、ルイ13世は、フランスのなかでも指折りの美しいワイン産地、グランド・シャンパーニュ地区で収穫されたぶどうのみを使い造られているコニャックで、1本のルイ13世の中には、40~50年、あるいは100年の時間を経過し熟成した、およそ1200種のオー・ド・ヴィー(原酒)がブレンドされ、セラーマスターによって完璧なバランスが保たれている。天賦の土壌、100年の時間、1200種の原酒、そして1874年の誕生から引き継がれる4代のセラーマスター──このたぐいまれなる存在から、“コニャックの王”と称されている。

今回インドで発表された「ルイ13世 レア・カスク42.6」は、2009年に中国・桂林で華々しく発表され、大きな話題をさらった「レア・カスク43.8」につづく第2弾。レア・カスク43.8は世界限定786本・販売価格140万円という希少性から瞬時に完売したという。今回の「レア・カスク42.6」にも自然と期待が高まる。

ルイ13世|レアカスク 02

ルイ13世|レアカスク 03

自然があたえてくれた、奇跡的な偶然と発見

第2弾といっても、レア・カスクは人間が恣意的に造り出すことはできない。現在のセラーマスターで、昨年秋の来日時にはOPENERSでインタビューをおこなったピエレット・トリシェ女史は語る。「ルイ13世は、ぶどう栽培者、ぶどう園の管理者、ワイン造り、樽作りの職人、貯蔵庫のオペレーター、そしてブレンダーであるスタッフの何世代にも渡る仕事の成果ではありますが、すべては自然と闘い、ひとの英知によって生まれるもの。自然は自然の役割を果たし、ひとができることを果たす。ルイ13世は、自然があたえてくれたものでできています」

マダム・トリシェはさらにつづける。「コニャックは、生きたものであり、正確に予言することは誰にもできないものです。それぞれの樽(ティエルソン=コニャックの熟成に使われる樹齢150年のオーク材の樽)は、それぞれに異なった時間を経て熟成の完成を迎えます。4代に渡るセラーマスター、アンドレ・ルノー、アンドレ・ジロー、ジョルジュ・クロ、そして私にいたるまで、ルイ13世の名を冠した1200種ものオー・ド・ヴィーをテイスティングし、選び抜き、長い年月をかけて熟成させ、その手でブレンドしてきました」

しかし、自然の奇跡は起こる。「テイスティングのときに特徴的な樽を見つけると、チョークで樽にマークを入れるのですが、マークを入れた樽は、まだどれも完璧なバランスという意味において熟成にいたっていませんでした。そして2009年の9月、一つの樽をテイスティングしたときです。私は思わず手をたたきつけてしまったほどの感動を覚えました。最初のレア・カスクを見いだしたときの感動は、今でも鮮明に覚えていますが、なんということでしょう! 本当に幸せなことに、再びもう一つのレア・カスクに出合ったのです」と当時を振り返る。

その“発見”からさらに2013年まで、マダム・トリシェは一つの樽を副セラーマスターのバプティスト・ロワゾー氏と見守りつづけた。「発見して年に2~3回テイスティングをして変化を見極めました。それはまるで子どもの成長を見守るように、自然と時間に任せるしかない仕事です。アルコールの度数、香りのバランスなどすべてにおいて完璧になり、いつ飲むのが最善かを判断することが、私とバプティストとの重要な仕事となりました。そして私たちはルイ13世の歴史に、あたらしい1ページを記す日が来たのです」

自然があたえてくれた奇跡的な偶然と発見──では、セラーマスターと自然の協業のなせる魔法のような作品「ルイ13世 レア・カスク42.6」を味わってみよう。

ルイ13世|レアカスク 08

「ルイ13世 レア・カスク42.6」
2013年6月下旬より、ルイ13世販売店にて予約受付
希望小売価格|241万5000円

問い合わせ
レミー コアントロー ジャパン
Tel. 03-6459-0725
http;//www.rcjkk.com

LOUIS XIII|ルイ13世

コニャックの王である「ルイ13世」のあたらしい子どもが、ついに予約開始

INTERVIEW|セラーマスターが語る「ルイ13世 レア・カスク42.6」

「ルイ13世 レア・カスク42.6」の発表の場に、インドのウダイプールが選ばれた理由は、現地に滞在するとよく理解できる。豊かな自然のなかに、歴史あるパレス(宮殿)があり、インド最古のマハーラージャ(大王)が現存するトラディショナルな顔がある一方、5つ星のホテルがあり、ボリウッドのロケ地として有名というコンテンポラリーな面もあるロケーションは、「レア・カスクは、自然と人間との出合いによる唯一無二のもの」というセラーマスター、マダム・トリシェの考えと見事にリンクしている。ルイ13世のブランドディレクター、オーギュスタン・デパルドン氏が“生きる宝”と称えるマダム・トリシェに「ルイ13世 レア・カスク42.6」についてお話をうかがった。

時間のファンタジーが創り出した“パワフルな1滴”

──ガラディナーはすばらしいプレゼンテーションでした。マダムがレア・カスクを発見された喜びがひしひしと伝わってきましたが、「これだ!」と思った瞬間は?

非凡なキャラクターをもった樽(ティエルソン)と出合った翌朝、私はコニャック地方の田舎道を歩いていました。9月ののどかな畑の小道を歩いていたときに、カスクの中に感じた香りを見つけたのです。それは、風に漂う秋の木の実とフルーツの強い香りでした。辺り一面にナッツや秋の果物の香りが漂っていて、まさに探し求めていた答えがありました。秋の香りこそ、私があのティエルソンから感じ取ったものだったのです。私は、ついにその答えにたどり着きました。

──その興奮が伝わってきますが、「ルイ13世 レア・カスク42.6」は、昨年、ルイ13世をマダムと一緒に飲んだとき以上の非常に個性的な香りを感じました。

ありがとうございます。東京でのことは私もよく覚えています。“ルイ13世との対話の時間”は、目を閉じて、グラスを引き寄せ、鼻のところに運ぶことからはじまります。最初は口の中にほんの一滴だけふくみます。ほんの一滴で、口中を覆いつくす香りを感じます。まず、アルコールのアタックを和らげてくれるような、繊細な柔らかい波を感じ取ってください。「ルイ13世 レア・カスク42.6」は最初に、強いナッツやクルミの香りがしてきます。そして、プルーンの種の芯のようなアロマがつづきます。温かみと甘美な感触のなかに、ジンジャーブレッドの香り、かずかずのドライフルーツの香りが創り上げた宇宙が感じられるでしょう。最後に、ほんの一瞬だけ、タバコと煙のような胸を打つ香りを見いだされます。

──ルイ13世に比べると、複雑な香りがありながら強さがあって、味にもしっかりした厚みを感じました。

果物の宇宙ともいうべき、驚くべき濃厚なアロマは、まさに「レア・カスク」の名にふさわしいものです。

ルイ13世|レアカスク 12

ルイ13世|レアカスク 14

何度も言いますが、私たちは見守るしかないのです

──ルイ13世よりもアルコール度数が高いのも「レア・カスク」の特徴ですね。

そうですね。かつてなかったアルコールの高さと、豊かで濃縮されたアロマは特別なものです。以前の「ルイ13世 レア・カスク 43.8」を発見して以来、セラーのなかで隠れているかもしれない自然の驚異にとくに気を留めていました。

──それでは、“つぎのレアカスク”の発見もあるのでしょうか?

そうですね。たぶん(笑)。ルイ13世を作る過程で樽ごとにテイスティングしていて、可能性のある樽はチェックしています。私なりにマークは付けていますが(笑)。ただ手をくわえることができないので、何度も言いますが見守るしかないのです。

──特別なボトルの「バカラ製ブラック・クリスタルデキャンタ」もすばらしいですね。

「ルイ13世 レア・カスク42.6」と発表の場のウダイプールがリンクしているように、レア・カスクの中身
と黒いクリスタルデキャンタは、作るのに完璧な仕事とタイミングが求められ、作ることが難しいことで共通していると思います。バカラ社の製造現場に観に行きましたが、まるで宝石箱のようなデキャンタです。

──またぜひ日本でもお合いできることを。

ルイ13世の世界観は、グランド ハイアット 東京4階のバー「MADURO(マデュロ)」内のフラッグシップバー「メゾン ルイ13世」や、お台場の東京ベイコート倶楽部などで楽しんでいただけます。今回発表した「ルイ13世 レア・カスク42.6」は、ルイ13世にとってあたらしい子どもです。皆さんであたたかく迎え入れてください。

ルイ13世|レアカスク 15

ルイ13世|レアカスク 20

ピエレット・トリシェ|Pierrette Trichet
レミーマルタン社セラーマスター。1953年2月15日フランス・ミディ・ピレネーに生まれる。アルマニャックの産地であるサント・クリスティ・ダルマニャックで、ワインの造り手である父と教師の母のもと、オー・ド・ヴィーに親しみながら育ち、トゥールーズ大学にて生物化学を学ぶ。
1976年大学卒業と同時にレミーマルタン社でコニャックにかかわる仕事をはじめ、蒸留酒の世界に情熱を捧げることを決意する。コニャックの成分分析やテイスティング、品質の研究を通じて研鑽を積む。2000年にはアシスタント・セラーマスターとなる。
2003年、コニャック醸造業者のなかで女性として初のセラーマスターに就任。レミーマルタンに継承されてきたスタイルを守りつづける重責を担う。

           
Photo Gallery