ART|エスパス ルイ・ヴィトン東京で森万里子『Infinite Renew』展
ESPACE LOUIS VUITTON TOKYO|エスパス ルイ・ヴィトン東京
テーマは「エネルギーの果てしない再生」
エスパス ルイ・ヴィトン東京で森万里子『Infinite Renew(無限の再生)』展
ルイ・ヴィトン表参道ビルの7階に広がるアートスペース「エスパス ルイ・ヴィトン東京」で、国際的に活躍する現代アーティスト森万里子(もり・まりこ)氏による個展『Infinite Renew(無限の再生)』が、来年1月5日(日)まで開かれている。
Text by YANAKA Tomomi
今回のために制作された新作など8点を展示
「エスパス ルイ・ヴィトン東京」で個展を開催する初の日本人アーティストに選ばれた森万里子氏。2005年のヴェネツィア・ビエンナーレに出品されたインタラクティブ・インスタレーション『WAVE UFO』で一躍その作品が世に知れ渡り、世界の美術館やコレクターから支持を集めてきた。
今回の展示では「エネルギーの果てしない再生」をテーマに8点の作品を展示。そのうち7点は本展のための新作だ。さらにうち3点はエスパス ルイ・ヴィトン東京のサポートにより制作された。森万里子氏は、宇宙の96%は見えないエネルギーで構成されるという物理学の理論が作品のインスピレーションとなった。アートを通じて、見えないエネルギーを視覚化するという。
会場に一歩踏み入れるとまず目に飛び込んでくるのは、床から高い天井へと伸びる3本のスパイラルから成る彫刻『Infinite Energy(無限のエネルギー)』。その光はエネルギーを象徴し、天井の鏡のなかに吸い込まれていく姿は、まるでスパイラルが無限に空まで伸びているかのよう。また、作品に近づくと、光が人のエネルギーに反応する仕組みとなり、光の色が変わっていく。
このほかにも、生と死は繰り返し、無限ループのように果てしなくつづく輪廻を象徴するメビウスの帯を彷彿とさせる彫刻シリーズ『Renew(再生)』も展示。また、2013年ヴェネツィア・ビエンナーレの特別プロジェクトとして、フェニーチェ劇場で上演された『蝶々夫人』の舞台装置の模型である『Butterfly』も。満たされない愛に絶望し、自らの生命を絶つという道を選んだマダムバタフライの再び生まれ行く魂の運命を暗示している。
目に見えないエネルギーの幾度とない再生を私たちに体感させてくれる『Infinite Renew(無限の再生)』。私たちが根源的に求めてしまう“無限のエネルギー”を想起させ、終わりなくつづいていく森万里子氏の世界だ。
森万里子『Infinite Renew(無限の再生)』
会期│2013年9月28日(土)~2014年1月5日(日)
時間│12:00~20:00
会場│エスパス ルイ・ヴィトン東京
東京都渋谷区神宮前5-7-5 ルイ・ヴィトン 表参道ビル7F
Tel.03-5766-1094
Mariko MORI|まりこ・もり
1967年東京生まれ。ロンドンのバイアム・ショウ美術学校やチェルシー美術大学で芸術を学び、2002年には日本で初の大規模な個展を開催。2005年のヴェネツィア・ビエンナーレに出品された、インタラクティブ・インスタレーション『WAVE UFO』で広く世に認められた。この作品はオランダのグローニンガー美術館で開かれた森の個展『Oneness』でもフィーチャーされ、その後、世界各地の美術館を巡回した。森の大作インスタレーションは、ロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ、パリのポンピドゥ・センター、ミラノのプラダ財団など展示されてきた。1997年の第47回ヴェネツィア・ビエンナーレでの栄えある優秀賞をはじめ、数々の受賞歴がある。