ART|『六本木クロッシング2013展:アウト・オブ・ダウト』
ART│日本の現代アートの“いま”をグローバルな視点から問いかける
『六本木クロッシング2013展:アウト・オブ・ダウト-来たるべき風景のために』
今年で開館10周年を迎えた森美術館の記念展となる『六本木クロッシング2013展:アウト・オブ・ダウト-来たるべき風景のために』が2014年1月13日(月・祝)まで開かれている。
Text by YANAKA Tomomi
日本の現代アートに精通した30代のキュレーター二人を海外から招聘
日本のアートシーンを総括する3年に一度の展覧会シリーズとして知られる『六本木クロッシング』。4回目となる本展では、東日本大震災以降、社会的な時間や意識が明確に高まっている現在の日本において、これまでのあらゆる社会通念や既存の制度に向けられた疑念(ダウト)から、どのような生産的な議論を生み出せるかという問題を提起しようと企画。
森美術館のチーフ・キュレーター片岡真実(かたおか・まみ)さんに加え、はじめての試みとしてオーストラリアのクイーンズランド・アートギャラリーのルーベン・キーハンさん、アメリカ・ダラス美術館のアシスタントキュレーターのガブリエル・リッターさんといういずれも日本のアートシーンに精通した30代のキュレーターを海外から招聘。今日の日本の現代アートをグローバルな視点から問いかけるものとなった。アーティストも1970~1980年代生まれが中心となり、泉太郎や小林史子ら“いま”を彩る29組が出展している。
なかには東日本大震災以降に活躍する若手アーティストと、戦後復興期から1960年代の戦後の日本現代美術を牽引してきたアーティストによる、世代を越えた対話も試みも実現。会場には1950年代のルポタージュ絵画運動に参加していた1932年生まれの中村宏と、1972年生まれの風間サチコによる作品が併置され、異なる世代との対話をつうじてあらためて現代について考える。
さらに、今回は海外在住や海外生まれの日系アーティストも参加。オーストラリア在住の高坂正人、アキラ・アキラ、ニューヨーク在住の田島美加、笹本晃らの作品も展示され、文化としての「日本」への意識を拡げていく。
森美術館が2003年に開館してから10年。同時に、戦争や震災などで世界が激変しつづけた10年間であった。しかし、日本の現代アートの様相を浮き彫りにするこの作品群は、わたしたちに未来への可能性を感じさせるものとなるのではないだろうか。