BMWとトヨタが協業の契約|BMW & Toyota
BMW & TOYOTA|トヨタ & ビー・エム・ダブリュー
BMWとトヨタが協業の契約
BMWとトヨタといえば、2011年の12月に両社が合意した次世代環境車・環境技術における中長期的な協力関係の構築にはじまり、昨年3月には次世代リチウムイオンバッテリー技術の共同研究を発表、6月にも燃料電池やスポーツカー開発などをふくめた協力関係を模索するという共同発表をおこなっている。そして今日、「リチウム空気電池の共同研究」「燃料電池システムの構築」「軽量化技術の共同開発」「ミッドサイズスポーツカーのプラットフォーム共有を実現可能かどうか」の4つの分野について、正式に協業契約を締結したと発表した。
Text by SUZUKI Fumihiko(OPENERS)
4つの分野で協業
プラグインハイブリッド車などで主流になりつつあるリチウムイオンバッテリーを大幅に上まわる性能をもち、夢の蓄電池ともいわれる次世代バッテリー「リチウム空気電池」は、名前のとおり、リチウムと空気を化学反応させて電気をつくりだすものだが、いまだ市販化は実現されておらず、クリアしなければならないさまざまな課題をもつ。両社は、この技術に、共同で立ち向かうという。
その、次世代電池のさらに先にくるであろう、燃料電池システムの開発だが、これは、来るべきゼロエミッション社会の実現にむけて、水素タンクやモーターなど燃料電池システムそのものだけでなく、社会インフラの整備や規格の策定を共同でおこなうというもの。トヨタでは、この研究成果をふまえ、2020年には新型のFCV(燃料電池車)を市場に投入する意向だ。
強化樹脂など最先端の材料を活用したプラットフォームの共同開発においても両社は協力する。この成果は両社のプラットフォーム開発に反映される見通しだ。BMWには、まもなく発売される予定の小型量産車「i3」にカーボン構造を採用している実績もあり、今後の展開が期待される。
そして、これらの研究成果を用いたスポーツカーの開発も、協業の視野に含まれている。これはまだほんのスタートラインに立ったばかりということで、両社のもつ技術やマーケットを調査し、2013年中には実現性の見込みを検討。実現性が高いと判断されれば、その後、どのように協力してゆくか模索するということだ。
いずれの内容も、すでに持っているものを持ち合って何かをつくるという、即席の協力関係ではなく、将来に向けた投資を合同でおこなうという意味合いが強い。両社のクルマづくりの根幹にかかわる部分を互いに開示しあい、成果が出るまでには時間がかかることであるからこそ、ヴィジョンを共有していること、信頼できる相手であることが重要だと、両社は強調した。BMWは今は個人のモビリティの変革期であり、ここで行動をおこすことが、将来を決定するとまで考えているようで、トヨタとの協業にかける期待は大きい。