快適性を求めたマクラーレン570GTが登場|McLaren
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2016年8月9日

快適性を求めたマクラーレン570GTが登場|McLaren

McLaren 570GT|マクラーレン 570GT

快適性を求めたマクラーレン570GTが登場

マクラーレン・オートモーティブは同社のスポーツシリーズの新たなモデル「570GT」を幕張メッセで開催されたオートモビルカウンシルで発表した。これまでスポーツシリーズには、「570S」「540Cクーペ」がデビューしており、570GTは3番目のモデルになる。そのコンセプトはGTと名乗る通り、ロングドライブを快適に楽しめるもので、マクラーレンの走りのDNAを引き継ぎながらも、これまで以上に快適性も追求している。価格は2,752万7,000円からで、デリバリーは2016年後半になる予定だ。

Text & Photographs by UCHIDA ShunichiPhotographs by UCHIDA Chizuko

マクラーレンの歴史はレースに彩られてきた

この発表に合わせて来日したマクラーレン デザイン・オペレーションズ・マネージャーのマーク・ロバーツ氏は、同社の歴史について、「マクラーレンはモータースポーツ界において非常に有名なブランドであるとともに、モータースポーツは我々のDNAでもあるのだ。そこからさらに発展して世界中で最も印象的なスーパーカーを作っている」と自社を位置付ける。マクラーレンの起源は1963年で、その創設者のブルース・マクラーレン氏はメカニックであったが、成功したレーサーでもあった。チームとしてもF1、カンナム、インディ500、そして、マクラーレンF1によってル・マン24時間レースで勝利するなど、多くの成功を収めてきている。

また、マクラーレンは最先端のテクノロジーをつねにモータースポーツの世界に提示するとともに、ロードカーにもカーボンコンポジット材で成型された軽量モノコックボディ導入。「現在のマクラーレンのロードカーには、すべてのモデルにカーボンを導入するなど最先端のメーカーだ」という。

McLaren 570GT|マクラーレン 570GT

マーク・ロバーツ氏

McLaren 570GT|マクラーレン 570GT

空力とともにエレガントさを求めたデザイン

マクラーレン・オートモーティブはマクラーレン本体から分かれたのちの2010年以来、毎年、新型モデルを発表すると宣言。「特に昨年は『675LTクーペ』や『675LTスパイダー』『570S』『540Cクーペ』『P1 GTR』などを発表し、大いに刺激的な年であった」とロバーツ氏は振り返る。

そして、2016年は「570GT」をデビューさせた。「その名のとおりグランツーリスモ、長距離も得意というコンセプトを持つクルマだ。快適性もありながらも、運転の楽しさも失われていない」と同モデルの特徴を語る。そして、「このクルマは6つの要素を持っている。それは、デザイン、エアロダイナミクス、軽量化、扱いやすさ、クラフツマンシップ、ドライブだ」と言う。

McLaren 570GT|マクラーレン 570GT

McLaren 570GT|マクラーレン 570GT

デザインについてロバーツ氏は「最初のオリジナルデザインスケッチと完成したクルマとほとんど変わっていないのが驚きだ」とコメント。「このクルマはエレガントでストレートなラインによって、シンプルなデザインに保たれている」と説明した。

また、エアロダイナミクスも大きな特徴で、540Cクーペよりも10mm高いリアスポイラーを備えることで、クーペ独自のフライングバットレスと同様のエアロダイナミクス性能を発揮するという。また、「空力を考えると、大型のリアウイングを装備すればかなりのダウンフォースを稼ぐことができるが、このクルマはエレガントなGTという側面も持っているので、大型リアウイングの採用は考えられない」とし、ベストの形状を模索した結果、現在のデザインに落ち着いたと明かす。

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快適性を求めたマクラーレン570GTが登場(2)

GTだからこそ扱いやすさと快適性は重要

ロバーツ氏は、「軽量化ほど、経済性と速さに直結するものはない。しかも、ほぼ無料で効果が出るのだ」と笑う。多くのボディパネルにアルミを使い、また、シャシーにはカーボンを使用。そのシャシーはスポーツシリーズの全モデルで採用されており、単体では75kgという軽量でありながら剛性にも優れる。結果、乾燥重量1,350kgという軽量化が果たされた。

当然GTであるから使い勝手、使いやすさも重要だ。特に570GTは乗降性を重視。「そのためにサイドシルの幅を細くしつつ、位置も低めた。さらにマクラーレンの特徴でもあるディヘドラルドドアの開閉も、改良を重ねることで乗降性に貢献している」と言う。また、前方の視認性は高く、ドライバーの手の届く範囲ですべてをコントロールできるなど使いやすさも追求。収納に関してもドアにふた付きのボックスや、グローブボックス、ドリンクホルダーなどを備え、センターコンソールも大型化。後部には220リッターのラゲッジスペースが確保されている。開閉は横向きに行うようになっており、「荷物の出し入れを容易にしている」と述べる。

McLaren 570GT|マクラーレン 570GT

McLaren 570GT|マクラーレン 570GT

もう1つこのクルマの特徴について、ロバーツ氏は「これは私が一番好きな部分でもあるが、パノラミックルーフだ。昼間はもとより、夜もすてきな眺めを楽しむことができる」と話す。

5つ目のポイント、“クラフツマンシップ”では、「通常のクルマは1台作るのに15時間くらいで完成するが、我々のクルマは手づくりなので11日間かかる」と、製造に時間をかけじっくり作り込むことを強調。装備面では、多くのレザーを採用することで質感の高いインテリアを実現。また、電動でコントロールできるメモリー機能付きシートやフロントとリアのパーキングセンサー、乗降性を高める電動ステアリングなどの快適装備も充実している。

さらに、570クーペに比べ静粛性の高いエグゾーストシステムを採用されたほか、ツーリング・デッキと呼ばれるシート後方の荷室部分とバルクヘッドのあいだには、ノイズを吸収、抑制する軽量素材が装着され、キャビン内の静粛性を向上させている。同時に、ロードノイズを最大3デシベル削減するためにビスポークされた、ピレリP Zeroタイヤを装備し、快適性に貢献している。

McLaren 570GT|マクラーレン 570GT

McLaren 570GT|マクラーレン 570GT

最後の“ドライビング”では、もともと備えているマクラーレンの高いパフォーマンスに加え、「週末のドライブや遠出にも出かけたくなるような性格付けもされている」とロバーツ氏。ステアリングレシオを落とすことで反応もピーキーさを抑え、サスペンションもチューニングを見直すことにより、「圧倒的なパフォーマンスとともに、快適性がさらに向上している」とした。

従来のモデルに比して扱いやすく、快適な570GT。同車の登場により、マクラーレンはスポーツシリーズの魅力をさらにアピールしていくという。

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McLaren 570GT|マクラーレン 570GT
重量|1,400 kg
エンジン|3,799 cc 90度V型8気筒ツインターボ
最高出力| 419 kW(570 ps)/ 7,500 rpm
最大トルク|600 Nm/ 5,000-6,500 rpm
トランスミッション|7段デュアルクラッチ(SSG)
駆動方式|MR
サスペンション 前/後|ダブルウィッシュボーン
タイヤ 前/後|225/35R19 / 285/35R20
0-100km/h加速|3.4 秒
0-200km/h加速|9.8 秒
100-0km/h減速|3.1秒、33メートル
200-0km/h減速|133メートル
最高速度|328 km/h
燃費(EU値)|10.7 ℓ/100km(およそ9.35km/ℓ)
ラゲッジルーム容量|220 リッター
ハンドル位置|右
価格|2,752万7,000円

           
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