最小限の重量増

今年3月に開催されたジュネーブショーにて、ワールドプレミアを果たしたマクラーレン「675LT」。車名に冠されたLTは「ロングテール」を意味しており、レースシーンで活躍した名車マクラーレン「F1 GTRロングテール」に由来する。その名が示すように675LTは、サーキットユースを前提に仕上げられており、徹底した軽量化とエアロダイナミクスの強化、エンジン性能の向上などを図ることで、マクラーレン史上最速のモデルとして送り出された。

このスパルタンなマクラーレンは、デリバリー開始前に、限定500台のすべてが完売している。その第2弾として投入されたのが、675LTのオープンモデルである「675LT スパイダー」だ。

グラマラスなLTのエクステリアは、スパイダーにも受け継がれており、テールエンドに、最大の特徴となるロングテール エアブレーキも備わる。流麗なリヤウィングと組み合わせることで、リヤスタイルの迫力も増された。

クーペ仕様とおなじく、徹底した各部の軽量化が図られており、ボディ構造や特徴的なエアロパーツにはカーボンファイバーを積極的に採用。結果、ベースとなった「650S スパイダー」との比較で100kgもの重量減となる乾燥重量1,270kgを達成。これはクーペ仕様の675LTと比較しても、わずか40kg増に過ぎない。

すぐれた強度をもつカーボンファイバー製モノセルシャシーは、オープントップ化の影響を受けず、追加補強を必要としないため、重量増加分はリトラクタブル ルーフ システムのものだけに留められている。なおリトラクタブル式ルーフは、30km/h以下なら、走行中も開閉が可能だ。

クーペと遜色ないスペック

パワートレインは、クーペの675LTとおなじく改良された3.8リッターV8ツインターボのエンジンと7段DCTを組み合わせて搭載。エンジンスペックに変更はなく、最高出力675ps/7,100rpm、最大トルク700Nm/5,000-6,500rpmを発揮。0-100km/h加速は、わずか2.9秒、最高速度は326km/hを誇る。

その走りを支える足まわりには、サーキット走行を想定したサスペンションを採用しており、構造とジオメトリーはクーペと譲りのもの。リアのバランスを向上させることで、ダウンフォースは650Sスパイダーよりも40パーセント強化されている。10スポーク超軽量鍛造アロイホイールには、ピレリと共同開発した675LT専用のスポーツタイヤ「P Zero trofeo R」が装着されており、この組み合わせはマクラーレンの中でももっとも軽量なセットとなる。

言うまでもなくインテリアも軽量化が図られており、アルカンターラやカンボンファイバーを積極的に活用。その象徴的なアイテムがP1とおなじカーボンファイバー製軽量レーシングシートであり、シートだけでも15kgの軽量化に貢献している。このほか、重量削減のためにエアコンユニットも取り除かれているが、こちらは無償オプションとして装着することも可能だ。

このようにサーキット志向の性能を備える675LTスパイダーだが、クーペのようにチタニウム製ロールフープや4点シートベルト、消火器を装備する「クラブスポーツパック」は用意されない。これはオープンカーというキャラクターを意識したといえる。とはいえ、マクラーレン史上もっとも速く刺激的なオープンモデルであることにはちがいない。

限定数はクーペ同様に500台に設定されており、英国での価格は28万5,450ポンド。デリバリーは、2016年夏以降を予定。こちらもクーペ同様に瞬く間に完売してしまうことだろう。

McLaren 675LT Spider｜マクラーレン 675LT スパイダー
ボディサイズ｜全長 4,546 × 全幅 2,095 × 全高1,192 mm
重量｜1,270 kg
前後重量配分｜42 : 58
エンジン｜3,799 cc V型8気筒 ツインターボ
最高出力｜ 675 ps/ 7,100 rpm
最大トルク｜700 Nm/ 5,000-6,500 rpm
トランスミッション｜7段DCT（シームレス シフトギアボックス（SSG））
0-100km/h加速｜2.9 秒
0-200km/h加速｜8.1 秒
最高速度｜326 km/h
CO2排出量｜275 g/km
価格｜28万5,450ポンド（英国価格）