マクラーレン 675LT、その姿をあらわす|McLaren
McLaren 675LT|マクラーレン 675LT
マクラーレン 675LT、その姿をあらわす
現在開催中のジュネーブモーターショーで、マクラーレンは最新作となる「675 LT」を公開。名称にはオマージュを込めて「Long Tail」のイニシャルが与えられた。
Text by TAKEDA Hiromi
F1GPの世界の旗手としてばかりでなく、いまや英国を代表するスーパースポーツカーメーカーとしても知られるようになったマクラーレン オートモーティブはニューモデル「675 LT」の概要を明らかにした。
マクラーレン675 LTは、同社のヒット作「650S」をベースに、本格的なサーキット走行にも対応すべく開発された高性能モデル。フェラーリ「458イタリア」に対する「458スペチアーレ」に相当するような、ハードコアバージョンと見て良いだろう。
ネーミングの「LT」は「Long Tail」のイニシャル。この名称には、歴史的なオマージュが込められている。同社にとってはマイルストーンとも言うべき伝説のスーパースポーツカー「マクラーレン F1」をベースに開発され、ル・マン24時間レースなどでも活躍した「F1-GTR」にて、1997年から実戦投入されたエボリューション版に採用されていたロングテールを意識した、大型の「アクティブ ロングテール エアブレーキ」が採用されていることに由来するのだ。
マクラーレン側の発表によると、通常のエアブレーキが採用される650Sに対して、「アクティブ ロングテール エアブレーキ」のもたらすダウンフォースは、40パーセント引き上げられているという。
また、マクラーレンF1-GTRがベースモデルから100kgの軽量化をはかっていたという故事に倣って、675LTも650 Sに対して約100kgの軽量化を達成したとのこと。カーボンファイバー製のリップスポイラーに、おなじくカーボン製の追加エアインテーク、チタニウム合金製のツインエグゾーストなど、多くの675LT専用装備は、いずれも軽量化に大きく貢献していることから、ドライ状態の車両重量は1,230kgに抑えられたとされている。
McLaren 675LT|マクラーレン 675LT
マクラーレン 675LT、その姿をあらわす (2)
ダウンフォース優先のボディデザイン
650S用に対してコンポーネンツの50パーセント以上があらたに設計され、「M838TL」という新コードネームも与えられた3.8リッターV8ツインターボエンジンは、シリンダーヘッドにエキゾーストマニホールド、カムシャフト、軽量コネクティングロッドなどが新設計されたという。
くわえて燃料ポンプを強化するなどの改良により、マキシマムパワーは650Sよりも25psアップとなる675ps/7,100rpm。最大トルクも650Sの678Nmから22Nmのアップとなる、700Nm/5,500-6,500rpmを発生するに至った。ギアボックスは650S同様に、7段デュアルクラッチ式シーケンシャルトランスミッション「SSG」と組み合わせられる。
このパワフル極まるエンジンと軽量化されたボディにより、マクラーレン675 LTの0-100km/h加速は650Sよりも0.1秒速い2.9秒をマーク。0-200km/h加速も650Sの8.4秒から7.9秒へと向上している。
しかしそのいっぽうで、テールを中心にダウンフォース優先のボディデザインとしたため、トップスピードはわずか3km/hながらドロップし、330km/hというスペックに落ち着いた。F1-GTR時代の「ロングテール」が、ル・マンを意識したトップスピード優先のデザインだったのに対して、現代版「ロングテール」は最高速よりもダウンフォースを意識したという事実は、非常に興味深いところである。
ともあれ、フェラーリ「488GTB」がデビューの舞台に選んだ2015年のジュネーブショーに、いまや生産車部門でもフェラーリにとってライバルとなったマクラーレンが、その覇権を脅かすようなニューモデルを投入してきたのは、両雄の熾烈な闘いをそのまま体現したかのようにも映る。今後もフェラーリvsマクラーレン、そしてランボルギーニをも交えたバトルからは、目が離せない。
McLaren 675LT|マクラーレン 675LT
ボディ|全長 4,546 × 全幅 2,095 × 全高 1,188 mm
重量|1,230 kg
前後重量配分|42.5 : 57.5
エンジン|3,799 cc V型8気筒ツインターボ
最高出力|675 ps/7,100rpm
最大トルク|700 Nm/5,500-6,500 rpm
トランスミッション|7段SSG(デュアルクラッチ)
0-100km/h加速|2.9 秒
0-200km/h加速|7.9 秒
最高速度|330 km/h
CO2排出量|275 g/km