クラス最強のオールラウンドプレーヤー

11月のLAモーターショーで「コンセプト GLA 45 AMG」として登場したコンセプトカーのプロダクションモデルが、デトロイト モーターショーで早くも登場した。車名はコンセプトがとれた「GLA 45 AMG」となり、予告されていたとおり、量産4気筒エンジンとして最強となる、最高出力265kW（360ps）と最大トルク450Nm（45.9kg）を発生する1,991ccの排気量を持つ直列4気筒直噴ガソリンターボエンジン「M133」を搭載する。

M133は、GLA 45 AMGをわずか4.8秒で100km/hまで加速させ、250km/hの最高速度をもたらす（リミッター作動）。

メルセデスAMG社のトビアス・メールス会長は、「コンパクトSUVセグメントにおいて、このクルマはもっとも優れたパフォーマンスを発揮します。しかしわれわれは、たぐいまれなるドライビング ダイナミクスを提供するだけでなく、同時に低燃費と排出ガスの数値にも注力しています。パワフルなSUVでありながら、生産方式をふくめて環境負荷をおさえ、トータルバランスに秀でたモデルとしてリリースします」と語った。

GLA 45 AMGは、「A 45 AMG」と「CLA 45 AMG」につづく、若いターゲット層にアピールする4気筒ターボエンジンを搭載した第3のモデルバリエーションだ。同時にAMGは、GLA 45 AMGをくわえたことで、「ML 63 AMG」「GL 63 AMG」「G 63 AMG」そして「G 65 AMG」とSUVのラインナップを5モデルに拡大。スポーツモデルにつづくもういっぽうのおおきな柱としている。

もっとも高性能かつクリーンなエンジン

注目のAMG製 2リッター ターボエンジンは、世界でもっとも強力なの量産4気筒ターボエンジンである。前述のとおり1,991ccの排気量から、265kW（360ps）の最高出力と450Nm（45.9kg）の最大トルクを発生。これはリッターあたり132.5kW（180ps）の出力となり、スーパースポーツカーなみのパフォーマンスといえるものだ。もちろん「One Man, One Engine」の伝統的なAMGの哲学に基づいて、アフォルターバッハのファクトリーで手作業によって組み立てられている。

そうした高性能をもたらすいっぽうで、このユニットは「BlueDIRECT」ファミリーの一員としてECO／ストップ機能を搭載。CO2やNOx、PMといった有害物質の排出量の削減にも重点を置いて開発されている。すでにユーロ6排出基準の第2段階に準拠しており、現状ではもっともクリーンな高性能エンジンと言い換えることも可能だ。

ちなみにこのM133エンジンは、オールアルミ製クランクケースや鍛造クランクシャフト、鍛造ピストンなど、他のAMGモデルでも採用されている軽量化パーツのほか、ピエゾインジェクターをもちいたスプレーガイド式のガソリン直噴システムを採用。燃焼室に200バールの高圧で燃料を噴射する。最新テクノロジーをもちいた噴射量の低減とコントロールが、PMの排出低減に効果を発揮しているという。

エキゾーストーストシステムは、自動的に制御される排気フラップをそなえており、リアサイレンサーフラップを負荷状態とエンジン回転数におうじてコントロールする。AMGスポーツエキゾーストシステムがもつデュアルパイプが、加速時に魅力的なエキゾーストノートを奏でるのは、A 45 AMGでも実証済みだ。さらに、AMGパフォーマンス排気システムもオプションとして用意。このシステムでは一層独特なエキゾーストサウンドをもたらしてくれる。

4WDユニットは、軽量化を実現したコンパクトなシステムが自慢だ。パワーテイクオフユニット（PTU）とメルセデスが呼ぶ4WDシステムは7段DCTに統合されており、リア駆動系へのパワー伝達を統括する。通常時走行時は、最適な効率のために前輪駆動となるが、走行状況によってさらなるトラクションが必要と判断されると、50:50の駆動配分でフロントとリアのトルクを供給する。

サスペンションとブレーキもAMGの手によって強化され、特別にチューニングされたGLA 45 AMGの専用サスペンションを採用するが、レートを上げたスプリングとダンパーを組み合わせたAMGパフォーマンスサスペンションもオプションとして用意される。ブレーキはクロスドリルドディスクを採用。グレー塗装のブレーキキャリパーが標準となるが、こちらもオプションでレッドにカラーリングされたブレーキキャリパーも選択できる。

内外装ともに特別な装備と豊富なオプション

ホイールは、高光沢仕上げのチタングレー塗装5ツインスポークAMG軽合金ホイールを装備。235/45 R19サイズのタイヤを組み合わせる。さらに、AMGパフォーマンススタジオでは、オプション装備として、235/40R20サイズのタイヤと、光沢のあるメッキまたは黒のつや消し塗装をほどこしたチタングレー10スポークホイールも用意。ユーザーの好みよってカスタマイズが可能である。

そのほかエクステリアでは、AMGのツインブレード ラジエーターグリルとフロントスプリッター、AMG製のフロントエプロン、フェンダーに取り付けられた“TURBO AMG”のエンブレム、アルミルーフレールやサイドシルパネルなどがGLA 45 AMGの専用装備となる。

シルバークロームラジエーターグリル、ツインブレードカーボンファイバーフロントスプリッター、サイドシルパネルカバー、リアエプロントリムを持つ「カーボンファイバーパッケージ」、プライバシーガラス、黒アルマイト処理のウエストライントリムストリップ、シルバークロームラジエーターグリルのルーバー、高光沢ブラックフロントスプリッター、サイドシルパネルカバーとリアエプロントリム、黒い長方形のトリムを持つテールパイプフィニッシャーなどを採用する「ナイトパッケージ」、そのナイトパッケージに、より大型のフロントスプリッター、フロントエプロン上のスポイラーを追加する「エアロダイナミクスパッケージ」など、エクステリアはオプションも豊富に用意されている。

インテリアでは、レッドのトップステッチとシートベルト、人工皮革とマイクロファイバー生地を使用したスポーツシート、3本スポークデザインのナッパレザー マルチファンクション スポーツステアリングが専用装備として採用される。エクステリア同様、インテリアのオプションも豊富で、黒のナッパレザー／アルカンターラのパフォーマンス ステアリングホイール、カーボントリムなども用意されているので、自分だけの1台をつくることもできる。

メルセデス・ベンツではA 45 AMGのデビュー時同様、GLA 45 AMGの登場を記念した特別仕様モデル「エディション 1」を導入開始モデルとして発売する。大型のフロントスプリッターやフロントスポイラー、グロスブラックのリアスポイラーのほか、車両側面にAMGのレーシングストライプを採用し、ラジエーターグリル、ミラー、ディフューザー、リアスポイラーにはレッドのラインが入る。ホイールは、センターロックデザインの20インチで、235/40R20のタイヤを組み合わせている。

北米マーケットでは、2014年7月から「GLA 45 AMG エディション 1」のデリバリーを開始する予定。なお、GLA 45 AMGの日本導入は未定だが、基本モデルである「GLA クラス」は、今夏にも日本で発売される見込みだ。

Mercedes-Benz GLA 45 AMG｜メルセデス・ベンツ GLA 45 AMG

エンジン│1,991cc 直列4気筒 DOHC 直噴エンジン

ボア×ストローク｜83.0 × 92.0 mm

最高出力│265 kW（360 ps）/6,000 rpm

最大トルク│450 Nm/2,250-5,000 rpm

トランスミッション│7段AT（AMGスピードシフトDCT 7段スポーツ トランスミッション）

駆動｜4WD

サスペンション（前/後）｜マクファーソン / 4リンク

ブレーキ前/後│ベンチレーテッドディスク / ベンチレーテッドディスク

タイヤ（前/後）｜235/45R19

燃費（NEDC）│7.5リッター/100km（13.3 km/ℓ）

CO2排出量｜175 g/km

0-100km/h加速｜4.8 秒

最高速度｜250km/h（リミッター制御）