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2022年2月15日
三菱のフラッグシップSUV、新型「アウトランダーPHEV」に試乗──走りも見た目も上質に|MITSUBISHI
MITSUBISHI OUTLANDER PHEV|三菱アウトランダーPHEV
新型 三菱アウトランダーPHEVに試乗
三菱のフラッグシップSUV「アウトランダー」が、9年ぶりにフルモデルチェンジした。2012年に登場した先代モデルは、プラグインハイブリッド(PHEV)を搭載したSUVという当時ライバルがない構成で、かなりの注目を浴びた存在だった。ただし、優れた走行システムに対してその内外装は価格に見合うだけのレベルにあと一歩という仕上がりで、なかなか販売台数増加につながらなかったのも事実。そんなネガな部分を徹底的につぶしていき、走りも見た目も上質になったと標榜するのが今回の新型アウトランダーPHEVだ。千葉県内で開催された公道試乗会に参加し、その出来栄えを確かめてきた。
Text & Photographs by HARA Akira
“威風堂々”の内外装
幕張のホテル駐車場に置かれた試乗車は、新型アウトランダーPHEVの中でも最上位となる「P」グレード。日産、ルノー、三菱のアライアンスによる共通プラットフォームを使用した全長4,720×全幅1,860×全高1,745mmのボディは、先代より15mm長く、60mm広く、35mm高くなり、ホイールベースも35mm伸びて2,705mmになっている。
ホワイトダイヤモンドとブラックマイカルーフのツートーンボディは、開発コンセプトの“威風堂々”を体現しているようで、なかなか立派。フロントは、最近の三菱モデルのアイデンティティである独特の「ダイナミックシールド」顔を強調していて、高いボンネットラインが後方に向かって水平に伸び、リアまでつながっている。ボディ四隅に配した20インチの巨大なタイヤは力強さの象徴で、アプローチアングル19.7°、ディパーチャーアングル23.3°、ランプブレークオーバーアングル19.6°という走破力にもつながっている。
特筆すべきは新型のインテリアだ。ブラック基調の車内は、ダッシュボード下部やフロントアームレスト、ドアアームレストに落ち着いたサドルタンカラーのソフトパッドを配して、SUVらしからぬ上質感を演出。全体的にプラスチッキーだった先代とは雲泥の差(言い過ぎか)といえるほどだ。2層ウレタン構造を採用したシートは厚みがあってホールド感が良く、ナッパレザーの表皮にはパッドと同じ色の糸によってダイヤモンド型のキルティングが縫い込まれている。こちらもこれ見よがしの感じがなく、出来が良いのだ。
また、先代のPHEVモデルは電池等のパッケージングの問題で5人乗りしかなかったけれども、今回は新たな工夫(コンパクトな回転収納式)によって3列7人乗りをメインで設定。実際に170cmの筆者が3列目に座ってみると、さすがに足元が窮屈でエマージェンシー用の感はあるけれども、やはりいざというときに乗れる、乗れないには大きな差があると思う。
ドライバー眼前のフルカラー液晶ディスプレイは、12.3インチと国産最大級(日産ノートオーラが同サイズ)。右側が速度計、左側がハイブリッドシステムを表示する丸型2眼の「クラシックモード」と、中央の表示部分がさらに広くなる「エンハンスモード」があり、どちらもはっきりと見やすく、色合いも奇麗。三菱製液晶TVの技術がこんなところにも生かされているのかも。また、エンハンスモード時の作動音は、バンダイナムコ研究所と共同開発されたものというから、開発者にゲーム好きの方がいたのかもしれない。