東京オートサロンのキーワードは「スポーツ」と「カスタマイズ」|TOKYO AUTO SALON 2018
TOKYO AUTO SALON 2018|東京オートサロン 2018
「スポーツ」と「カスタマイズ」の東京オートサロン
もともとはドレスアップカーを中心としたプライベート色の濃いイベントだった「東京オートサロン」。自動車メーカーが集客効果に注目するようになってからは規模も拡大し、今では国内有数の自動車ショーへと成長した。今年も幕張メッセで開催され大いににぎわったオートサロン2018。その模様を小川フミオ氏がレポートする。
Text & Photographs by OGAWA Fumio
国内屈指の規模に成長したクルマショー
日本で最も人気の高いクルマのショーともいえる東京オートサロン。2018年の話題は公道を走るWECマシンといえるGRスーパースポーツコンセプトだ。
2018年1月12日から14日にかけて幕張メッセで開催された東京オートサロン。880台の車両が出展されるという大きな規模で、入場者数は30万人を超えたという。
東京オートサロンといえば、もともとはモータースポーツにインスパイアされたドレスアップカーを中心としたプライベート色の濃いイベントだった。
自動車メーカーが集客効果に注目するようになってからはさらに規模を拡大。新車を公開するメーカーもあり、大きなイベントへと成長している。
2018年の目玉のひとつは、トヨタ自動車でモータースポーツを受け持つガズーレーシングカンパニーが出展した「GRスーパースポーツ」。
ルマン24時間レースに代表されるWEC(世界耐久選手権)マシンをベースにした公道を走るスポーツというふれこみだ。V6エンジンに電気モーターを組み合わせたTHS-Rというシステムも使う予定という。
多くの報道陣を集めてのお披露目の場で、「トヨタ自動車はクルマの楽しさをずっと追求していく」と、ガズーレーシングカンパニーの友山茂樹プレジデントは語った。
ただし価格や発売時期は「未定」(友山プレジデント)という。登場したあかつきには、2019年発売というメルセデスAMGのF1パーツを使ったスーパースポーツ「プロジェクトワン」との真っ向勝負になるだろうか。
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「スポーツ」と「カスタマイズ」の東京オートサロン (2)
キーワードはやはりスポーツモデル
ホンダもモータースポーツ関連の発表を大々的に行った。とくに全日本GT選手権に参戦する5チームのドライバーが集結するなど、見せ場を作ったのだった。
車両は17年度にマカオでデビューした「NSX GT3」や、無限がさらにスポーティに仕立てた「RC20GT シビック タイプR コンセプト」をはじめ、ホンダとモータースポーツとのつながりを感じさせるモデルが多かった。
スバル(実際にはSTI=スバル テクニカ インターナショナル)はスポーツモデルの数かずを並べた。どれもブルーのボディにレッドの差し色が特徴的だ。
最近では329psのハイパワーエンジン搭載の限定モデルSTI WRX「S208」が626万4,000円であるのにかかわらず450台を売り切るなど、同社の路線が正しいことを平川良夫代表取締役社長は強調。
スポーツモデルやモータースポーツ活動を発端とするSTIのありかたとして、「これからも量産車をベースにしたスポーツモデルに力を入れていきます」と語ったのだった。
ダイハツやスズキ、それに三菱自動車は新車に力を入れて展示。特に三菱自動車は「エクリプス クロス」なる新型車のコンセプトモデルを披露した。
ダイハツやスズキは市販車をカスタム化して、クルマの可能性をさぐるような傾向がみられた。釣り仕様とか他愛のないコンセプトモデルもあったが、自分のライフスタイルに合ったクルマが欲しいという消費者の気持ちをとらえていたかもしれない。
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「スポーツ」と「カスタマイズ」の東京オートサロン (3)
来場者を捉えたカスタマイズの魅力
もっとも顕著なかたちでカスタマイズの面白さを見せてくれたのが、ホンダ系のアクセサリーメーカー、ホンダアクセスが展示したモデルの数かずだ。
2017年にヒットしたアニメ「けものフレンズ」のキャラクターを使った「けもフレ フィット」、シートカバーなどチャムズのイメージを活かした「N-0NEs」、バーバパパをあしらった「N-BOX」といった具合だ。
上記は家族で来ていた層に大いに好評で(プレスの取材時間になぜ家族連れが何組もいたのか不思議)、クルマが日用家電のようにとらえられていることを実感させられた。
そもそも東京オートサロンは、カスタムといって市販車を自分なりに楽しみたいユーザーのために、ホイールをはじめさまざまな外装品を紹介したり、それらで作りあげたコンプリートカーを好む人のためのショーだった。
なので、それがどんなかたちをとっていても(レースカーのようでも、ギンギンにクロームパーツで飾られていても、バーバパパがランチボックスのようにペイントされていても)本来のありかたに合致するのである。
そのなかで、僕の期待に応えてくれたホンモノのカスタムといえるのが、やはりホンダアクセスがもちこんだ「Re:Z」なるワンメイクモデルだった。
中身は「CR-X」をベースに、外装をすべて変えたモデルだ。長いルーフがシューティングブレイクのような雰囲気を感じさせるのが特徴だ。
「若い世代がかつてのホンダZ(1970年)のように気楽にデートに乗っていけるクルマを作りたいと思いました」
ホンダアクセスの若き担当デザイナーはそう説明してくれた。Zのようなモチーフはリアウィンドウに上手に使われており、派手なコンパニオンが横にいなくてもプレスウケはピカイチの1台だった。
市販の予定はないが、希望者が100人以上になってベースになる車両が手配できれば生産も夢ではないとか。
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「スポーツ」と「カスタマイズ」の東京オートサロン (4)
あらゆる種類のクルマの楽しさが詰まっている
輸入車は控えめだった印象が強い。なかで気を吐いていたのはメルセデス・ベンツ日本。「AMG GT3」などを目立つところに置き、モータースポーツのイメージを打ち出していた。
同時にメルセデス・ベンツ日本では、後席をリムジンのような2人にした仕様の「Vクラス」を持ちこんだ。トヨタ自動車が「ヴェルファイア」「アルファード」のパーソナル化を推進しているのを横目で見てのことかもしれない。
メルセデス・ベンツ「V 220 d スポーツロング」と呼ばれるこのモデル。実際に中国では人気という。ただし日本での発売については「未定」と同社広報部では話している。
市販車をベースにしたカスタムの分野では、ヴェルファイア/アルファード、エルグランドといったミニバンをベースにした車両が多く出展されていたように思う。
加えて若々しいマーケット向けではトヨタ「C-HR」。いっぽう豪華なモデルとしてはレクサス「LCクーペ」。輸入車ではランボルギーニ「ウラカン」がカスタムの分野では目立っていた。
なにが出てくるか分からない。新車だけではなく、あらゆる種類のクルマの楽しさが詰まっているような東京オートサロン。行っても飽きないのは間違いないと思う。