マツダの新型SUV、CX-60のプロトタイプに試乗──ロードスター990Sと同様の足まわりがもたらす走りやいかに?|MAZDA
CAR / IMPRESSION
2022年4月15日

マツダの新型SUV、CX-60のプロトタイプに試乗──ロードスター990Sと同様の足まわりがもたらす走りやいかに?|MAZDA

MAZDA CX-60|マツダ CX-60

マツダの新型SUV、CX-60のプロトタイプに試乗

マツダが、2022年4月7日に発表した新型クロスオーバーSUV「CX-60」。CX-5よりひとまわり大きなボディに、新開発の3.3リッター6気筒(ガソリンとディーゼル)のマイルドハイブリッドや、マツダ初となるPHEVを搭載し、ロードスター990Sと同様のキネティックポスチャーコントロールと呼ばれるサスペンションを採用するなど、マツダの技術力を結集した新型SUV(のプロトタイプ)に試乗した。

Text by OGAWA Fumio

開発陣の強い意気込みを感じさせる6気筒ユニット

マツダが「ラージ商品群」と呼ぶ新世代の大きめサイズのSUVのプロトタイプに試乗した。2022年3月中旬に、まだ一般公開できないスタイリングゆえ、カムフラージュを施した車体のまま(中身はほぼ完成)、ジャーナリストにテストドライブのチャンスが提供されたのだ。
マツダのラージ商品群は、2022年4月7日に発表された「CX-60」。CX-5の上に位置するモデルで、ボディのディメンションを比較すると、CX-5が全長4,575mm、全幅1,845mm、全高1,690mmであるのに対して、それぞれ、4,742mm、1,890mm、1,691mm(欧州表記)。少し大きい。
もっとも違うのは、ひとつはパワートレイン。今回は、新開発の3,283cc直列6気筒(+マイルドハイブリッド)が、ガソリンとディーゼルともに用意されたことに加え、2,488cc4気筒ガソリンエンジンを使ったプラグインハイブリッドの設定も。6気筒エンジンは、日本ではディーゼルのみの展開となるもよう。
燃焼室も新設計で、マツダの開発陣の強い意気込みを感じさせる6気筒ユニット。排気量をあえて3.3リッター(ドイツ車などは3リッターが多い)としているのも特徴だ。
私が理由を尋ねると、「今回の目的は、大排気量化による燃費効率向上。多気筒化は振動を抑えるなどスムーズさのため。その目標のために最適な解が3.3リッター直列6気筒でした」(マツダ車両開発本部の松本浩幸執行役員)とのことだった。
V型横置きというのが、前車軸より前にエンジンがあまり出ないため、一般的に見られるメカニカルレイアウトである。今回は、横置きでなく縦置きにしたのは、「慣性マスを小さくでき、4輪の力を遅れなく曲がれる運動に変換できるため」(松本氏)だそう。
データをみると、6気筒ディーゼルの最高出力は187kW(254ps)を3,750rpmで、最大トルクは550Nmを1,500から2,400rpmで出すことになっている。これに発進時などにさらにトルクを積み増して燃費向上に貢献するモーターがそなわる。マイルドハイブリッドだ。
海外では、やはり3リッター6気筒ガソリンエンジンが導入される地域もあるようだが、日本だと、ガソリンを使った新ユニットは、2,488cc 4気筒に電気モーターを組み合わせたプラグインハイブリッド。外部充電式のためパワフルで、システム合計の最高出力は241kW、最大トルクは500Nmにも達する。

超をつけたくなるくらいフラットな乗り心地

走らせると、どちらも発進からしてスムーズ。電気モーターの恩恵も大きい。そのあとは、エンジンが回ると、ぐんぐんと勢いよく加速していく。ディーゼルエンジンは、カラカラというノッキングの音もせず、これまで未知のパワープラントのようだ。
力強い加速に加えて、ハンドリング性能が高い。テストコースには工事用の三角コーンを並べて、そのあいだをぬって走るスラロームコースも用意されていた。ガソリンもディーゼルも、共に車体のロールは抑えぎみに、すーっと自然な感じでノーズが内側を向くのが、なかなか気持ちがよい。
そして、なにより驚いたのが、乗り心地だ。今回のモデルには、キネティックポスチャーコントロールとマツダが呼ぶ、新しいコンセプトで開発されたサスペンションシステムがそなわる。先にロードスター990Sで実用化された技術だ。
このサスペンションの特徴は、一言でいうと、超をつけたくなるぐらいフラットな乗り心地。乗員の頭部もからだも、まったく揺さぶられない。テストコースはそもそも路面がいいので、一般道では分からないとはいえ、従来のクルマから乗り換えてびっくりした。
キネティックポスチャーコントロールの基本的な考えかたは、ピッチングという車体の上下の揺れのコントロール。通常のクルマはピッチングを起こす中心が、後輪の前ぐらいにあるものの、今回のプロトタイプは仮想点として車体のうんと背後にピッチングセンターがくる設計。ゆえに車体の動きがものすごく安定しているのだ。
かたちはSUVでも、乗り味は高級セダンのようだ。内外装のデザインはそれなりに新しいとはいえ、徹底したマツダのデザインランゲージを守って、新奇なところはない。だけれど、ここまで内容が新しいので、いっそ、もう少し大胆な路線を目指してもよいのでは、とファンとしてはやや残念な思いにもとらわれた。
CX-60は、欧州では2022年の夏に発売。日本ではやや遅れるが、やはり22年内に発売されるそうだ。日本でのエンジンラインナップは、3.3リッター6気筒ディーゼル(マイルドハイブリッドのありとなしの2モデル設定)、2.5リッターガソリン、2.5リッタープラグインハイブリッドとなるもよう。
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