次世代レクサスの第一弾モデル、新型レクサスNXに試乗──キーポイントは電動化と多彩なラインナップ|LEXUS
CAR / IMPRESSION
2022年1月7日

次世代レクサスの第一弾モデル、新型レクサスNXに試乗──キーポイントは電動化と多彩なラインナップ|LEXUS

LEXUS NX|レクサスNX

次世代レクサスの第一弾モデル、新型レクサスNXに試乗

次世代レクサスの第一弾として登場したミドルサイズSUVの新型NX。フルモデルチェンジの目的は、電動化と、多様なライフスタイルのユーザーに対応することだった。そのため、レクサス初となるプラグインハイブリッド(PHEV)とハイブリッド(HV)という2つの電動車のほかに、2.4リッターターボと2.5リッター自然吸気のエンジンモデルを用意することで、万全の体制でデビューした。長野県のビーナスライン周辺で行われた試乗会に参加して、新型の進化の度合いを確かめてみた。

Text & Photographs by HARA Akira

電動化を推し進めるレクサス注目のPHEVモデル「NX450h+」

トヨタが先ごろ行った電動化に関する記者発表会では、BEV(バッテリーEV)モデルが一挙に16モデルも登場して我々の度肝を抜いてくれた。とはいえ、現実的に今最も使いやすい電動モデルとして注目されているのはPHEVだろう。新型NXのトップモデルとされたのもPHEV(プラグインハイブリッド)で、「450h+」グレードがそれだ。
パワートレーンは、185ps/228Nm発生する2.5リッターの直列4気筒エンジンと182ps/270Nmのモーターがフロントを駆動し、54ps/121Nmを発生するリアモーターが後輪を駆動する電気式四輪駆動のE-Fourだ。プラットフォームの「GA-K」を共有するトヨタ「RAV-4」とシステム自体はほとんど同じだけれども、最高出力は309psで、3psだけアップされている。
満充電でのEV航続距離88kmを実現するリチウムイオン電池は、容量51Ah、電力量18.1kWhと大きなものを搭載。充電はバッテリーの寿命を考えて急速充電には対応せず普通充電のみ。200V/16Aで5時間半、100V/16Aで33時間かけてフル充電できる。充電ポートからは、AC外部給電システムによってクルマから外に給電することができ、試乗会場のホテル中庭にはそれを利用したキャンプシーンが展開されていた。
デフォルトのEVモードで走り出すと、BEV同様のモーターによるトルク感溢れる静かな走りを見せつけてくれ、とても上質だ。後輪からもトルク感がしっかり伝わるので、蹴り出されるような気持ち良い加速を長い距離にわたって提供してくれる。また、コンソールのボタンでAUTO EV/HVモードを選べば、エンジンパワーを併用した最大出力が供給されるので、きつい登り勾配のビーナスラインでもガンガン登ってくれるのだ。
ソニッククロムカラーの「バージョンL」に乗ったあと、スポーティな「450h+Fスポーツ」に乗ることができた。ボディカラーはヒートブルーコントラストレイヤリングで、ツートーンカラーのシートは専用のスポーツタイプ。足回りにも専用パフォーマンスダンパーがおごられるので、ワインディングロードを走るのがもっと楽しくなる。スポーツ走行に合わせたモードを選んだとしても、前マクファーソンストラット、後トレーリングアーム式ダブルウィッシュボーンのAVSサスは暴れることなく、ボディをフラットに保ったまま旋回してくれるのだ。

モーター主体で走るPHEVに対し、エンジン主体のHEV

実は新型NXの中で最も売れそうなのが、HEV(ハイブリッド)の350hだ。試乗した「バージョンL」グレードが搭載するハイブリッドシステムは、190ps/6,000rpm、243Nm/4,300〜4,500rpmの2.5リッター直4エンジンに、182ps/270Nmのフロントモーターを組み合わせたFF仕様。リチウムイオンバッテリーは容量4.3Ahで、システム最高出力はPHEVより66ps低い243psだ。
とはいえ侮るなかれ。モーターでスタートしてすぐにエンジンが始動しても、静粛性が高いので、そのノイズがあまり気にならない。しかも、急加速時にエンジン音が急に大きくなるようなラバーバンドフィールは影を潜めていて、1,760kgまで軽くなったボディを結構なスピード域までスイスイと引っ張ってくれるのだ。PHEVがモーター主体だとすると、HEVはエンジン主体で走るのだ。
ボディは、ブレージングカーネリアンコントラストレイヤリングという鮮やかなオレンジ色で、白樺林の中にあってもよく目立つ。PHEVより100万円近く低い価格設定が大きな魅力になっている。
一方、最高出力279ps/6,000rpm、最大トルク430Nm/1,700〜3,600rpmを発生する2.4リッター直列4気筒ターボエンジンとダイレクトシフトの8段ATの組み合わせを唯一のパワートレーンとするのが、「350Fスポーツ」だ。スペックの通り、初代の2.0リッターターボに比べると、よりパワフル。GRヤリスの開発で獲得した知見を生かしたレクサス初の電子制御式フルタイムAWDで四輪にパワーを伝えるとともに、前後のトルク配分はプロペラシャフトを通じて75:25〜50:50に制御される。つまり路面や車速、コーナーの大小など状況が変化したとしても、姿勢は常に安定している。
また、ボディ前後に装着したパフォーマンスダンパーと減衰力可変のショックアブソーバーを採用したAVSサスペンション、350Fスポーツ専用に追加補強したボディの下回りなどによって、走りは新型NXのバリエーション中でピカイチ。少し味付けされたエンジン音を聴きながらのドライビングはお薦めである。
最後に、最高出力201ps/6,600rpm、最大トルク241Nm/4,400rpmを発生する自然吸気2.5リッター直列4気筒エンジンを搭載したNX250は、レギュラーガソリン仕様のため経済的な面で優れているし、装備自体は充実している。ということは、走りに重きを置かないユーザーにはアピール度が高い。

「すっきりと奥深い」走りを手に入れるためにボディは徹底的に補強

新型NX全体に言えることだが、ハブとホイールの締結部をハブボルト式に変えたり、フロント部の剛性アップのためエンジンフードをツインロック化したりしたほか、スポット溶接の短ピッチ化、レーザースクリューウェルディングや構造用接着剤の使用範囲拡大、またインストルメントパネル周辺の剛性アップとリアゲート骨格の二重環状構造化など、レクサスのいう「すっきりと奥深い」走りを手に入れるために素性を見直し、ボディは徹底的に補強されている。
各部を補強し、剛性が大幅にアップした新型NXの骨格
軽い力で開閉できるe-ラッチ式のドアや、視線移動を最小限に抑えながら各操作を行えるTazunaコンセプトのコックピット、14インチの大型タッチディスプレイ、ドライバーが触れているステアリングスイッチの位置を表示できるタッチトレーサーオペレーションのHUD、重い車体が下り坂に差し掛かったときに、自動で減速して車間をキープする便利な「プロアクティブドライビングアシスト」など、新しい工夫が盛り込まれている。
エクステリアデザインは、どちらかといえばキープコンセプトだけれども、中身は相当に進んでいるのだ。そして、同サイズの欧州プレミアム勢よりはリーズナブル。全長4,660×全幅1,865×全高1,660mmという手頃なボディサイズは、 RXだとちょっと大きいし、UXはリアシートや荷室がちょっと狭い、というユーザーにピタリとハマる。価格は450h+が714万円〜738万円、350hが520万円〜635万円、350Fスポーツが599万円、250が455万円〜570万円となっている。
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レクサスインフォメーションデスク
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