2014年モデルのボルボ V60に試乗|Volvo
Volvo V60 T4 SE|ボルボ V60 T4 SE
Volvo V60 T6 AWD|ボルボ V60 T6 AWD
日常の良きパートナー
2014年モデルのV60に試乗
2011年に発表されたボルボの60シリーズが、デビュー以来初となる外装デザインのリファインを受け、2014年モデルとなって登場。「サイクリスト検知機能」をはじめとした最新のセーフティーテクノロジーを導入するなど、ドライバーのより高い安全性への希求にも対応するなど、より魅力を高めたパッケージとなった。今回はその60シリーズのスポーツワゴン仕様となる、ふたつの「V60」に小川フミオ氏が試乗した。
Text by OGAWA FumioPhotographs by ABE Masaya
マイナーチェンジでさらに洗練されたV60
スポーツワゴンを標榜するボルボ「V60」がさきごろマイナーチェンジを受け、「サイクリスト検知機能」をはじめ、安全装備が充実した。2013年8月27日に、セダン版である「S60」とともにマイナーチェンジを受けたV60。わが国では、スポーティなステーションワゴンとして、S60が4割であるのに対して、6割を占める人気だそうだ。
モデルラインナップは下記のとおり。
V60 T4(399万円)
V60 T4 SE(429万円)
V60 T6 AWD(559万円)
今回試乗したのは、パドルシフトを装着するなど装備を充実させた新設定の「V60 T4 SE(429万円)」と、トップグレードであるオンデマンド型4WDシステム搭載の「V60 T6 AWD(559万円)」だ。
180psの1.6リッター4気筒ターボエンジン搭載のT4 SEは、3台のうちおそらく、もっとも売れるモデルになるといわれる。新設定のLED内蔵ヘッドランプと、エッジが立ったフロントグリルからバンパーにかけての造形で、マッシブな印象が強くなり、好感度が増している。
いっぽう、T6 AWDは、304psの3リッター直列6気筒を横置き搭載し、それにハルデックス製のオンデマンド型4WDシステムを組み合わせている(AWD=All Wheel Driveはボルボによるサブネーム)。オンデマンド型とは、通常は前輪駆動だが、雪上など前輪へのトルクのかかり方が特殊な路面で、後輪へもトルクを分配するという効率的なシステムだ。
試乗すると、2モデルともに、トルクの出方といい、乗り心地といい、快適性といい洗練された印象だ。とりわけ、T6 AWDは、6気筒ならではのスムーズなエンジンフィールや、しっとりした乗り心地など、価格にふさわしい性能ぶりだった。
Volvo V60 T4 SE|ボルボ V60 T4 SE
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2014年モデルのV60に試乗 (2)
選ぶべきは6気筒か、4気筒か
新型V60の特徴のひとつが内外装の変更だ。大きく目を惹くのが、ヘッドランプとフロントグリル、さらに一体化したフロントバンパーのあたらしい意匠だ。「低く構えるスポーティなスタイリング」とボルボでは謳う。ヘッドランプはLEDを使った現代的なものとなり、いっぽうグリルはフレームレスのスポーティなイメージが強調され、そこに「アイアンマーク」と呼ばれる大型のエンブレムがはめこまれる。
インテリアは、シフトノブがあたらしいデザインとなり、手のなじみがよくなったようだ。またシートのデザインを一新、くわえて一部車種ではスポーツシートがオプション設定となるなど、若々しいイメージが強くなっている。
実際に、V60の走りは、硬めのセッティングのサスペンションで、ドライバーの気持ちを駆り立てると感じられる。T4は、ごく低回転域でのトルクの“つき”がよく、つまり瞬発力にすぐれ、とくに市街地ではきびきび感が強く感じられる設定だ。
それに対して、T6は回転のスムーズさが心地よい6気筒エンジンの魅力が堪能できる。4気筒エンジンは、240Nmの最大トルクが1,600rpmから発生する設定とはいえ、2,500-3,000rpmあたりで軽くだがトルクの“谷”を感じる。
それに対して、304ps/5,600rpmの最高出力と、440Nm/2,100-4,200rpmの最大トルクを持つ3リッター6気筒エンジンのT6は、息継ぎのないトルクで、エンジンを回して走る楽しさを味わわせてくれる。エコカー減税が適用されるのはT4のみだが、懐具合に余裕があるなら、T6は期待を裏切らないモデルだとおもう。
T6にはさきに触れたように、オンデマンド型4WDシステムが搭載される。フルタイム4WDシステムより軽量というメリットを持ち、V40でも同様だが、鈍重さにはつながっていない。ステアリングへの反応も、中立ふきんから切り込んでいくまで、全域にわたってリニアで、充分軽快だと感じる。
Volvo V60 T4 SE|ボルボ V60 T4 SE
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2014年モデルのV60に試乗 (3)
デザインとコンフォートの両立
今回の試乗では、2台のV60で、都内を出発。アクアラインを通り、千葉まで足を伸ばした。T6はとくに、タイヤハウスからの音も、Aピラーとバックミラーあたりで発生する風きり音も、エンジンからのメカニカルノイズも排気音も、低く抑えられていた。ハッチゲートまわりで風が作る音が気になることもあったが、これはハッチゲートをもったクルマの宿命だろう。
ホワイトを主体にした、しゃれた2トーンのカラースキームの革張りシートは、立体的な造形で、見た目にかっこいいばかりでなく、座面の座り心地も、上体のサポートも良好。ずっと座りっぱなしでも、からだに違和感をおぼえることはなかった。
デザインとコンフォートの両立は、つねにボルボの重要なテーマのようにおもう。このシートしかり、またセンターコンソールを含めたダッシュボードのつくりも、必要なスイッチがドライバーはブラインドで操作できるように設計されており、情報を得ることも、またエアコンやオーディオなどを操作することも容易であった。
実用性では、リアゲートが直立に近いV70(479万円~)のほうが上だろう。しかしV60には、登山靴でなく、たとえばニューバランスのスポーツシューズで感じるような、心を浮き立たせる、機能性とファッション性の両面性が備わっている。
それをより強く備えているのが、先に書いたとおり、T6 AWDである。このクルマは日常的に、よきパートナーになってくれるだろう。ボディカラーも内装色も豊富というボルボならではの設定が、さらに魅力を増しているのも、興味を持つひとには嬉しいはずだ。
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より高い安全性への希求に応える
新型V60(S60ともに)の大きな特徴が、「セーフティパッケージ」のさらなる充実だ。とりわけ、赤外線レーダーと高解像度カメラ、さらにミリ波レーダーで構成するセンサーシステムを使った「サイクリスト検知機能」が注目だ。これまでのひとや車両と同様、検知が難しかった自転車乗りをクルマが探して、ドライバーへアラートを送る。万が一、衝突が避けられなくなったときは、自動的にフルブレーキが作動するという。
このサイクリスト検知機能は、自転車に乗るひとが多い欧州ではたいへん有効だろうし、さらに路上で出合う機会が欧州よりも多い日本では、ドライバーにとってありがたい安全装備になるだろう。今回、S60、V60、XC60、V70、XC70、S80に装着可能の「セーフティパッケージ」に組み入れられている。
ボルボが先鞭をつけた感のある、安全のための新技術の数々は、V60には20万円のオプション「セーフティパッケージ」として提供される。内容は、クルマが自動的にブレーキをかけて衝突を回避する「シティセーフティ(今回から作動速度域を50km/hへと引き上げ)」をはじめ、「BLIS(ブラインドスポットインフォメーションシステム)」、「CTA(クロストラフィックアラート)」、ハイビームでの走行中に対向車などが来た場合、自動的に部分的な遮光を行う「フルアクティブハイビーム」、車線逸脱しそうになるとドライバーに警告を与える「レーンデパーチャーウォーニング」などからなる。
「VW ゴルフ」や、「メルセデス・ベンツ Eクラス」および「Sクラス」などには、ハンドル操作にもクルマが介入して事故を未然に防ぐシステムが採用されているが、V60はステアリングシステムが油圧であるため、これだけは用意されていない。
これらの装備は、幸か不幸か体験することはかなわなかったが、視力に衰えを感じるひとばかりでなく、ドライバー全般のより高い安全性への希求に応えるものとして、市場で大きく歓迎されているのは、しごくもっともな話だ。
Volvo V60 T4 SE|ボルボ V60 T4 SE
ボディサイズ|全長4,635×全幅1,845×全高1,480 mm
ホイールベース|2,775 mm
トレッド 前/後|1,590 / 1,585 mm
重量|1,560 kg
エンジン|1,595cc 直列4気筒16バルブ+ターボ
最高出力| 132 kW(180 ps)/ 5,700 rpm
最大トルク|240 Nm / 1,600-5,000 rpm
トランスミッション|6段AT
駆動方式|FF
サスペンション 前/後|ストラット / マルチリンク
タイヤ 前/後|235/40R18
トランク容量|
価格|429万円
Volvo V60 T6 AWD|ボルボ V60 T6 AWD
ボディサイズ|全長4,635×全幅1,845×全高1,480 mm
ホイールベース|2,775 mm
トレッド 前/後|1,590 / 1,585 mm
重量|1,560 kg
エンジン|2,953cc 直列6気筒24バルブ+ターボ
最高出力| 224 kW(304 ps)/ 5,600 rpm
最大トルク|440 Nm / 2,100-4,200 rpm
トランスミッション|6段AT
駆動方式|4WD
サスペンション 前/後|ストラット / マルチリンク
タイヤ 前/後|235/40R18
トランク容量|
価格|559万円
ボルボ・カー・ジャパン
0120-922-662