パナメーラに新規追加された「スポーツツーリスモ」に試乗|Porsche
Porsche Panamera Sport Turismo|ポルシェ パナメーラ スポーツツーリスモ
Porsche Panamera 4 E-Hybrid|ポルシェ パナメーラ 4 E-ハイブリッド
実用性を重視も、走りの楽しさは一級品
2代目パナメーラに17年3月に追加となった初の派生モデル「パナメーラ スポーツツーリズモ」。後席でも大人がゆったりとくつろげる空間と、広い開口部とラゲッジを備えた、このシューティングブレークタイプのニューモデルに小川フミオ氏が試乗した。
Text by OGAWA Fumio
スポイラーをルーフ後端に移動
ポルシェ「パナメーラ」のラインナップが拡充。荷室容量を拡大し、乗車定員を5人にした「パナメーラ スポーツツーリスモ」が登場。その試乗会がカナダで開催された。
パナメーラは2009年に初代が発表された当初、ユニークすぎるコンセプトのように思えた。しかし走りのよさとぜいたくな装備、それに車高を低めにおさえたスタイリッシュさゆえ、予想以上の人気を博したのはご存じのとおり。
2016年に2代目にモデルチェンジ。2017年に追加車種としてまったく新しいパナメーラ スポーツツーリスモが発表されたのである。
特徴はルーフが伸ばされ荷室容量が最大で50リッター増加したこと。そしてリアシートが3人がけになったことも特筆点だ。現地で出会った開発担当者によると「要望はそれなりに多かった」と言う。
リアシートのバックレストは40対20対40の分割可倒式。荷室の積み込み口の地上高もスポーツセダン(従来のパナメーラ)より下がっており、ゴルフなどを楽しむユーザーにはパナメーラの魅力が増したといえるかもしれない。
テールゲートの形状が変わったこともあり、ポルシェは格納式リアスポイラーの位置をスポーツツーリスモでは変更した。
従来はリアウィンドウの下から速度に応じて展開されていたリアスポイラーだが、スポーツツーリスモではルーフの後端に移されたのだ。
ポルシェではこれをアダプティブ リア スポイラーと呼び、速度に応じて角度を変える仕組みを組み合わせている。それによって高速域では後輪にしっかり駆動力がかかるようになったと、さきの開発担当者は語った。
Porsche Panamera Sport Turismo|ポルシェ パナメーラ スポーツツーリスモ
Porsche Panamera 4 E-Hybrid|ポルシェ パナメーラ 4 E-ハイブリッド
実用性を重視も、走りの楽しさは一級品 (2)
スポーツセダンと変わらない走りの楽しさ
実車は、しかしながら、スポーツセダンとそう大きく印象は変わらない。ポルシェでは敢えてそうしたという。
「なにより大事なのはスタイリッシュさを維持することでした」。同社のエクステリアデザイナーはそう語っている。
試乗場所はバンクーバー島。カナダ・バンクーバーと海を隔て、プロペラのフロート機だと1時間ていどの飛行である。
細長いバンクーバー島と取り囲むように作られた海岸線の道と、中央の低い山を縫う山林に囲まれたワインディングロードがポルシェの設定したコースだった。
ラインナップはほぼスポーツセダンと同じ。ベーシックモデルが3リッターV6の「パナメーラ4 スポーツツーリスモ」。その上に2.9リッターV6の「同4S スポーツツーリスモ」。そして同「ターボ スポーツツーリスモ」となる。
もうひとつは「パナメーラ4 E-ハイブリッド」。2.9リッターV6エンジンに電気モーターを組み合わせている。4リッターV8ディーゼルモデルも本国には設定があるが日本には(当面?)導入されない。
パナメーラのラインナップに追加されたスポーツツーリスモ。バンクーバー島で試乗したのは、パナメーラ ターボ スポーツツーリスモと、パナメーラ4 Eハイブリッドだ。
スポーツセダンとは2,950mmのホイールベース(標準モデル)と5,049ミリの全長も同じ。それでも多少の重量増はあるようで、ポルシェではブレーキ性能を強化したという。
ターボは404kW(550ps)の最高出力と、1,960rpmから発生しはじめる770Nmもの最大トルクを持つ。これがフルタイム4WDシステムによって前後のタイヤに配分される。
操縦しての印象はスポーツセダンとほぼ同じ。つまり実用性をより重視して開発されたモデルであるが、走りの楽しさは第一級ということなのだ。
Porsche Panamera Sport Turismo|ポルシェ パナメーラ スポーツツーリスモ
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実用性を重視も、走りの楽しさは一級品 (3)
路面でも快適性はばつぐん
ポルシェの製品ラインナップでは「911ターボ」とも、「カイエン ターボ」とも近いものを感じる。トルクのかたまりであるが、ピーキーなスポーツカーとはちがい、操縦者の求めるレベルに応じて楽しめるキャラクターなのだ。
おそらく高速道路やサーキットでも目のさめるような性能ぶりを発揮するだろう。バンクーバー島のワインディングロードでは、オンザレールのすなおな操縦感覚が印象的だった。
電子制御のダンピングコントロール、ロール制御、ブレーキ制御など電子制御を積極的にとりいれたシャシーコントロール技術の恩恵だろうか。
パナメーラはすべてのモデルはフルタイム4輪駆動。前後のトルク配分は走りに応じて電子制御され、かつトルクベクタリングシステムがブレーキを効果的に作動させることで、コーナリングは速度にかかわらずじつに気持ちがよい。
足回りはいやな突き上げもなく、タイヤがあばれるのを感じることもなく、どんな路面でも快適性はばつぐんだ。高級サルーンという役割もきちんとわきまえている。静粛性も高い。
もしこのクルマをゴルフ場通いのために手にいれる人がいたら、最良のゴルフモービルとして満足できるのではないだろうか。
いっぽうパナメーラ4 Eハイブリッドの場合、走りはもうすこしジェントルだ。といってもターボと比較したらという話で、それなりに運転を楽しませてくれる。
なにより重要な効率性では、欧州値で燃費は100km走行するのに2.5リッターのガソリンを消費するのみ。日本ふうに換算すると50km/hとなる。驚くべき数値だ。
日本でのラインナップはパナメーラ4S スポーツーリスモ(1,704万3,000円)にはじまり、パナメーラ4 E-ハイブリッド スポーツツーリスモ(1,521万3,000円)、そしてパナメーラ ターボ スポーツツーリスモ(2,453万3,000円)となる。
ポルシェ カスタマーケアセンター
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