メルセデス・ベンツGLKに試乗|Mercedes-Benz
Mercedes-benz GLK-Class|メルセデス・ベンツ GLKクラス
もっともコンパクトなSUV
メルセデス・ベンツGLKに試乗
マイナーチェンジを果たし、最新メルセデス・ベンツモデルらしい意匠を獲得した、メルセデス・ベンツでもっともコンパクトなSUV「GLKクラス」に試乗した九島辰也氏のインプレッション。
Text by KUSHIMA Tatsuya
メルセデスSUVの末っ子が現代化
メルセデス・ベンツには現在4つのSUVがある。33年間つくりつづけている「Gクラス」、3列シートの「GLクラス」、イマドキ風SUVの「Mクラス」、コンパクトサイズの「GLKクラス」といったように。象徴的なのはGクラスだが、そのほかも北米マーケットを中心に売れている。
今回その末っ子にあたるGLKがフェイスリフトした。といってもインテリアを含め、かなり手が入っていることを考えれば、一種のマイナーチェンジともおもえる。それにサイズに関係なく注がれてきたプレミアム感はますます上がったことからも、進化の度合はおもいのほか高いようだ。
では、具体的な変更点だが、フロントマスクは新デザインのヘッドライトとその下の細いクロームに埋め込んだLEDデイタイムドライビングライトがあてがわれた。アウディからはじまったライトまわりの効果的なLED化は、いまもっともポピュラーな手法といえよう。そしてグリルには大きめなスリーポインテッドスターと2本のスラットがはめこまれる。この形状はメルセデスのパッセンジャーカーによく見るデザインといったところ。いうならば、「Cクラス」と新型「SLクラス」の中間な感じである。
このほかでは、ルーフレールを一新したり、リヤバンパーやリヤコンビネーションランプをデザイン変更している。クロームメッキのエキゾーストを含めインパクトが大きくなったのはいうまでもない。日本では比較的地味な存在だが、見た目の印象が濃くなればもっと注目も集まることだろう。
Mercedes-benz GLK-Class|メルセデス・ベンツ GLKクラス
もっともコンパクトなSUV
メルセデス・ベンツGLKに試乗(2)
ピエゾインジェクター式ガソリン直噴エンジン搭載
エンジンは本国には2.2リッターディーゼルエンジンをベースにしたグレードが多く展開されるが、日本仕様はGLK350 4MATIC Blue EFFICIENCY が導入されるとおもわれる。これまでの3リッターV6ではなく3.5リッターに排気量アップされたエンジン搭載車だ。特徴は第3世代となるスプレーガイド式(ピエゾインジェクター)燃焼システムを持ったガソリン直噴エンジンであること。これとマルチスパークイグニッションを組み合わせ、燃焼効率を上げる。そしてそれが、そのまま燃費の向上とCO2排出量の削減につながるのはいうまでもない。
エンジンスペックは最高出力306hp/6500rpm、最大トルク370Nm/3,500~5,250rpmで最高速度は238km/hとなる。0-100km/h加速は6.5秒。省燃費については100kmあたり走行するに必要なガソリンを8.1~8.6リッターとする(単純計算でおよそ11.6~12.3km/ℓ)。
また、ECOスタートストップ機構を全モデル標準装備にしているのもそうした目的だし、4MATICモデルに標準装備する7G-TRONIC PLUS もトルクコンバーターのスリップを低減することで効率を上げている。つまり、エンジンだけに頼らず、すべての面で細かく環境対策するのが、今回のフェイスリフトの目的になっている。インパネには瞬間燃費を表示するECOディスプレイが備わるが、それも省燃費運転を推奨するガイドだそうだ。
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メルセデス・ベンツGLKに試乗(3)
SUVであることを忘れる
それでは、実際に走らせた印象だが、冒頭に記したようにこいつはSUVファミリーの一員ではあるが、走りはいたって乗用車チックで、他のSUVとはテイストがことなる。というのもご存知のようにベースとなったのはCクラス。いまやメルセデスの屋台骨として世界中で高い評価をえているフレームやシャシー、パワートレーンがこいつの基本骨格なのだ。
よって、見た目以上にハンドリングは軽快で、堅牢なボディがそれに追従する。ロールも抑えられたコーナリングは、背の高いクルマを運転していることを忘れさせるほどだ。特にブレーキングではそれを感じる。たとえばSUVを運転しているとき、下りのコーナリングでは乗用車より多少手前でブレーキに足をのせるが、このクルマにかんしてはそれが不必要。いってしまえば、セダンやワゴンのCクラスとおなじポイントで足にチカラをいれられる。
というように、乗用車からの乗り換えにもなんら違和感をおぼえないのがこのクルマのメリットだが、日本ではトップエンドのモデルのみしかないのが惜しいところ。もちろん、輸入元のマーケティングリサーチした販売戦略があるのだろうが、本国にある、もっとアフォーダブルなモデルが導入されればGLKはより販売を稼げるにちがいない。
その場合ディーゼルエンジンをマーケットがどれだけ受け入れるかが焦点となるが、すでに実績のあるメルセデスだけに期待したいところでもある。
Mercedes-Benz GLK 350 4MATIC BlueEFFICIENCY|
メルセデス・ベンツ GLK 350 4MATIC ブルーエフィシェンシー
ボディサイズ|全長4,536×全幅1,840×全高1,669mm
ホイールベース|2,755mm
トレッド 前/後|1,574/1,597mm
エンジン|3498ccV型6気筒
最高出力|225kW(306ps)/6,500rpm
最大トルク|370Nm/3,500-5,250rpm
0-100km/h加速|6.5秒
最高速度|238km/h
ホイール|17インチ(19インチ、20インチをオプション設定)
燃費|8.1-8.6ℓ/100km
CO2排出量|189-199g/km
価格|5万99ユーロ(約504万円)