レクサス各モデルに氷雪上で試乗|LEXUS
LEXUS|レクサス
レクサス各モデルに氷雪上で試乗
運転の楽しさを改めて思い出させてくれた
レクサスは、氷雪の非日常の世界で、ドライビングを学び、楽しむためのイベント「レクサス・アメージング・スノーエクスペリエンス」を北海道は十勝サーキットで開催。一般の参加者とともにこのイベントを体験したモータージャーナリスト、小川フミオ氏によるリポートをお届けする。
Text by OGAWA Fumio
守られているような安心感がある──LX570
アメージングをキーコンセプトにしたレクサス。文化活動でもドライビングでも、楽しみを与えてくれている。2016年1月には「レクサス・アメージング・スノーエクスペリエンス」と題して、北海道で雪上ドライブを楽しむ機会を与えてくれた。
「プロドライバーのコーチングにより走ることを学び、愉しむ。そんな大人の「遊び」を、氷雪の非日常世界で体験するスノードライビングレッスン」と謳われた、このイベントは、積雪の十勝スピードウェイで開催された。
スキーやスノーボードなど、ウィンタースポーツを楽しむレクサスオーナーは多い。SUVもラインナップに持つうえに、先頃、本格的クロスカントリー型4WDである「LX570」も発売したレクサス。各車の雪上性能は気になるところだ。
十勝スピードウェイには、なんと、上記LX以外にも、「RX」「NX」というSUVをはじめ、「GS F」と「RC」シリーズというスポーツモデルが用意された。GS FやRC Fは、(雪が積もっていない)サーキットがもっとも似合うクルマだが、これで雪上走行をさせてしまうレクサスの方針は、じつに面白いではないか。
走った特設コースを説明しておこう。一つは、「スノーマウンテン」と名づけられ、ヒルクライム、スラローム、ジャンプ、モーグルなどで構成される。二つめは「タイムトライアル・オン・ザ・スノートラック」。規定タイムに近い走りを競い合う特設コース。三つめは、「アイススケーティング」と呼ばれる氷盤トラック。
「スノーマウンテン」では、LX570に乗った。オフロード用の低速クルーズコントロールといえるクロールコントロールが装備されている。車両が自動で速度調節してくれるシステムだ。自動ブレーキで斜面をくだる時、まかせていれば大丈夫だろうという期待感とはうらはらに、40度の急勾配ゆえ、かなりスリルがある。あまりに急勾配なので、ドライバーの眼の前には空のみしか見えない。次の瞬間、車両が下を向くと、まっさかさまに転落する感覚にとらえわれる。
車両は、しかし、ギュッギュッと雪を踏みしめながら、安定して坂を下っていく。アプローチアングルが25度あるので、ノーズをつっこむこともなく、脱出できる。最初はスリリングだが、一度体験すると、クルマに絶大な信頼性を置くようになる。
LX570は、最大登坂能力45度に加え、斜面に沿って走る最大安定傾斜角44度を誇る。クロカン型4WDの定番ともいえるペリメーターフレームを持つLX570は、サスペンションのストロークが長く、コブのある路面でも地面からタイヤが離れる場面はごく少ない。しかも路面からの不快な突き上げを抑えてくれる。ドライバーは確実なステアリング操作に集中できる。これも高い走破能力につながるのだ。
全長5m、全高1.9mの大型車体を活かし、7名乗車のLX。広くて、視点の高い運転席にいると、守られているような安心感がある。女性ドライバーにも人気というのがわかる。
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運転の楽しさを改めて思い出させてくれた (2)
どんな場所でも安心して楽しめる──RC F
「レクサス・アメージング・スノーエクスペリエンス」の二つめは、「タイムトライアル・オン・ザ・スノートラック」。雪上という滑りやすい路面での、加減速とステアリング操作によるライントレース性を確認するコースだ。乗ったのは、2015年10月にフルモデルチェンジしたRXである。
RXの4WDシステムは、破綻なく走行させるためのものであり、スタッドレスタイヤを装着していれば、雪道での安定感は高い。しかしアクセルペダルを踏み込みすぎると、車両は本来とるべきレーンから外れそうになる。ブレーキペダルを併用すれば、姿勢のたてなおしも容易だ。
2006年に世界ラリー選手権第一線モンテカルロラリーにランサーエボリューションⅨで参戦し、見事優勝した奴田原文雄選手が当日参加。RXで、奴田原選手が操縦するGS Fを追うという余興もあった。かたやパワフルな後輪駆動。スタッドレスタイヤを履いているとはいえ、操縦安定性でいえばRXに利があるのは明らかで、そもそもの車両の操縦特性がいかに大事かがよく分かって興味深かった。
三つめのアイススケーティングは、GS Fと、RC200t、そしてRC Fで行われた。低ミュー路といって、とても滑りやすい路面でクルマのコントロール性をみるのが目的だ。乾いたアスファルト路面の摩擦係数がだいたい0.8だとすると、雨で濡れると0.6から0.4に下がる。雪が降ると0.35から0.2に、凍結路面では0.2から0.1という。
圧雪路面のコースで、もっとも安定していたのはRC200tだ。180kW(245ps)の出力と、1650rpmから発生する350Nmの最大トルクは過剰すぎない。カーブを曲がるときのコントロール性はいいし、まっすぐな道でアクセルペダルを強く踏み込んでも、車両の姿勢が乱れるのは一瞬だ。
パワフルなRC Fでも同じコースを走った。351kW(477ps)の最高出力を持ち、530Nmの大トルクを4800rpmから発生しはじめる5リッターV型8気筒エンジン搭載の後輪駆動車だ。予想に反してというべきか、RC200tのように挙動は安定している。トルクが太いため、アクセルペダルを踏み込んだときの挙動の振れ幅は、200tより大きいが、それでもすぐに収束し、元のレーンに戻る。
RC Fはスポーティさが強調されたスタイリングからしても、オンロードでの胸のすく加速ぶりからしても、多少“じゃじゃ馬”的要素があると思っていた。しかし実際は、どんな場所でも確実に安心して、そして幅広い層が楽しめるオールマイティさが印象に残ったのだった。
驚くべきは、富士スピードウェイが試乗会の場所だったGS Fだ。
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運転の楽しさを改めて思い出させてくれた (3)
もっとも楽しく、もっとも操縦に気をつかった──GS F
「レクサス・アメージング・スノーエクスペリエンス」で、ある意味もっとも楽しく、もっとも操縦に気をつかったのが、レクサスGS Fである。2015年11月に日本発売されたスポーティ4ドアセダンだ。スポーティというのでは、やや表現が甘すぎるかもしれない。ウルトラスポーティなのだ。
351kW(477ps)の最高出力と、530Nmの最大トルクを持つ5リッターV型8気筒エンジンは、RC Fと共用。やはり後輪駆動で、パワフルさと、サーキット走行での速さと操縦性のよさが、かつての試乗会ではさかんに謳われていた。
ドライのアスファルト路面だと0.8程度の摩擦係数が0.35から0.2あたりに下がる圧雪路で乗るGS 。まずドライバーが覚えなくてはいけないのは、パワーのコントロール。つまり右足への力の入れ方だ。試しに多めにアクセルペダルを踏んでみると、後輪が力強く車両を押し、グリップで負けた前輪が、車両の挙動変化を許す。
GS Fの挙動変化は大きめなので、慣れていないととまどうだろう。ラインから外れそうになったらブレーキペダルを踏んでパワーを調整すればいい。これがある意味、とても面白い。スポーツカーというのは、スポーツのように運転を楽しめるものだということを、改めて思い出させてくれる。
摩擦係数が0.1まで下がる凍結路面では、スノーモードで2速発進にしても、タイヤが滑って思うように進まない。そこでドリフトを試すと、たっぷりしたトルクが後輪を駆動するGS Fは、たちどころに旋回モードに入る。カウンターステアとアクセルワークで、車両の姿勢を維持するのだが、そういう走りが現実的かどうかはともかく、GS Fのスポーツカー的に楽しい操縦性を垣間見ることができた。
「レクサス・アメージング・スノーエクスペリエンス」は、一般の参加募集(有料)もあり、応募者から4倍ぐらいの倍率で参加者が選ばれたそうだ。一日かけて同じコースを体験し、奴田原文雄氏、影山正彦氏、佐藤久実氏、井口卓人氏、蒲生尚哉氏、松井孝允氏、脇坂寿一氏、新田守男氏、福山英朗氏、三橋淳氏といったプロフェッショナルドライバーに運転のコツが習える。当選した人は幸せだと思った。
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