BMW4シリーズ グラン クーペに試乗する|BMW
BMW 4 Series Gran Coupe|ビー・エム・ダブリュー 4シリーズ グラン クーペ
色あせない存在感
BMW 4シリーズ グラン クーペに試乗する
モデルの多角化を進めるBMWのなかでも、「グラン クーペ」シリーズは、クーペのスタイリングを持ちながら、4ドアの利便性を兼ね備えるモデルだ。「6シリーズ グランクーペ」につづく、4ドアクーペとして登場した「4シリーズ グラン クーペ」に九島辰也氏が試乗し、あらためてその魅力をお伝えする。
Text by KUSHIMA TatsuyaPhotographs by HANAMURA Hidenori
第三の個性派モデル、グランクーペ
「2シリーズ」の「アクティブツアラー」や「グランツアラー」、さらには「3シリーズ」のマイナーチェンジが報じられるBMW。昨年のニューモデルラッシュから一段落と思いきや、このブランドはあいかわらずニュースが多い。モデル数も偶数シリーズができてから飛躍的に増え、ひとつひとつのキャラクターを明確に語るのも難しく思えるほどだ。
そんな中、埋もれてしまうにはもったいないクルマがある。「4シリーズ」の「グラン クーペ」だ。すでに発売から1年以上が経ったが、その存在はまったく色あせていない――。
このクルマはすでに語るまでもないが、3シリーズの4ドアクーペ版となる。つまり、クーペ(2ドア)、カブリオレに次ぐ第三の個性派モデルということだ。
ご存知のように彼らはまず「6シリーズ」にこの“グラン クーペ”を持ち込んだ。プレミアムブランドが次々4ドアクーペを輩出するなか、BMWのプレミアム4ドアクーペを市場参入させたわけだ。そしてその第二弾がこの4シリーズ グラン クーペとなる。
そんなクルマの特徴はディメンションにある。流れるようなフォルムをつくりながらも実用的なサイズに仕上がった。全長4,640×全幅1,825×全高1,395mmは、3シリーズセダンとほとんど変わらない。全長で15mm、全幅で25mm広げ、全高においては5mm低くなる。イメージ的には大きく見えるが、そうではないのだ。
BMW 4 Series Gran Coupe|ビー・エム・ダブリュー 4シリーズ グラン クーペ
色あせない存在感
BMW 4シリーズ グラン クーペに試乗する (2)
BMWの走りへのこだわり
さらに注目すべきポイントがある。ホイールベースだ。というのもグラン クーペの2,810mmは、セダンはもとより2ドアクーペとも変わらない。バンパーの形状でスリーサイズは多少変わっても、ここはしっかりキープされているのだ。
その意味するところは、走りに直結する。つまり、開発陣はこのパッケージングにおいて最適なホイールベースの長さを算出しキープしたのだ。もちろん、ここを同じにすることでの製造工程上のメリットは想定できるが、いまはもっとフレキシブルになっているのは確か。必ずしもピッタリである必要性は昔ほどないと考えていい。
それを証拠にトレッドは微妙に変わる。グラン クーペが前1,545/後1,595mmなのに対し、セダンは前1,530/後1,570mm、クーペは前1,550/後1,600mmと最適化されているのだ。この辺のこだわりはさすがBMWといったところ。クルマのキャラクターごとに数値があてがわれる。
グレードは、420i/428i/435iをベースにノーマル、ラグジュアリー、Mスポーツ等で構成される。つまりエンジンは、パワーちがいの2リッター直4ツインパワーターボ(184ps/245ps)と3リッター直6ツインパワーターボというわけだ。“シルキーシックス”は306psを発揮する。
では、実際に走らせるとどうなのか。
4シリーズ グラン クーペの走りはまったくBMWそのものである。というか、3シリーズならではの軽快なハンドリングと足さばきは継承される。軽めのパワステやコーナリング時のリアサスのねばりはまったくBMWのキャラクターだ。
特に4気筒ユニットを積んだ428i系はその特性が強い。
綿々とつづいてきた3シリーズ的要素をすべて兼ね備えるといった感じだ。手のひらに伝わる走りのフィーリングは鳥肌モノである。
BMW 4 Series Gran Coupe|ビー・エム・ダブリュー 4シリーズ グラン クーペ
色あせない存在感
BMW 4シリーズ グラン クーペに試乗する (3)
クールな一台
もちろん直6を積んだ「435i」系もバランスはいい。3リッターとは思えないパワフルさは、クルマの性格を考慮すればニーズが多そうだ。スポーティでラグジュアリーなスタイリングは、余裕幅の広いエンジンの方がイメージは近い。
最後に、多少心配していたボディ剛性だが、どんなに走ってもなんら抜かりは感じなかった。このクルマはハッチバック的大きなドアをリアに装備するも、それによる弊害は皆無といえよう。もちろん、サーキットに持ち込み、100分の1秒を競うタイムアタックでもすれば、なんらかのちがいはあらわれるだろう。
だが、グラン クーペのフィールドはあくまでも市街地であり、一般道だ。この大きなドアは利便性で他を圧倒することがあっても、それがネガティブに働くことは考えにくい。
といったのが4シリーズグラン クーペのキャラクターだ。同じハッチバック的なボディには「グランツーリスモ」もあるが、やはりスタイリングからいえばこちらに軍配が上がる。サイズに制限があるぶん、6シリーズのグラン クーペまでは及ばないものの、かなりクールな一台に仕上がっていることはまちがいない。
BMW 435i Gran Coupe|ビー・エム・ダブリュー 435i グラン クーペ
ボディサイズ|
(標準 / Luxury)全長 4,640 × 全幅 1,825 × 全高1,395 mm
(M SPORT)全長 4,670 × 全幅 1,825 × 全高1,395 mm
ホイールベース|2,810 mm
トレッド 前/後|
(標準)1,550 / 1,600 mm
(Luxury / M Sport)1,545 / 1,575 mm
重量|1,690 kg
最低地上高|130 mm
エンジン|2,979 cc 直列6気筒 直噴DOHC ターボ
最高出力| 225 kW(306 ps)/ 5,800 rpm
最大トルク|400 Nm(40.8 kgm)/ 1,200-5,000 rpm
トランスミッション|8段オートマチック
駆動方式|FR
タイヤ 前/後|
(標準)225/45R18
(Luxury / M Sport)225/40R19 / 255/35R19
燃費(JC08モード)|12.7 km/ℓ
トランク容量|480-1,300リットル
価格|772万円 / Luxury 793万円 / M Sport 809万円
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