超低燃費車にドゥカティのエンジンを搭載したXLスポーツ|Volkswagen
Volksagen XL Sport|フォルクスワーゲン XLスポーツ
1リッターカー「XL1」にドゥカティのエンジンを搭載
XLスポーツ、パリでデビュー
フォルクスワーゲンは、極限の省燃費モデルを目指した「XL1」をベースに、グループ傘下のバイクブランド、ドゥカティのエンジンを搭載したコンセプトカーを、パリモーターショーにおいて発表した。
Text by HORIGUCHI Yoshihiro(OPENERS)
リッター100km超の超低燃費車に200psのエンジン
XLスポーツの基礎となった、フォルクスワーゲン「XL1」は、“燃料1リッターで100km走行可能なクルマ”を目指してつくられたモデルで、欧州において250台限定で実際に販売されている。XL1のボディは空力性能を最大限優先してデザインされ、そのモノコックは大量生産に向いた最新のRTM法によって生み出される、軽量かつ堅牢なカーボンファイバー製だ。ミッドシップされるエンジンは、0.8リッターディーゼルターボとモーターを組み合わせたハイブリッドで、その燃費は目標を超え0.9ℓ/100km(およそ111.1km/ℓ)を実現した。
このハイブリッドテクノロジーをベースに生み出されたのが、昨年の東京モーターショーでサプライズ公開されたコンセプトモデル「twin up!」であり、また、第7世代ゴルフをベースにしたPHEV「ゴルフ GTE」にもその技術はフィードバックされているという。
そして、このすぐれた空力性能を活かし、より走りを楽しむクルマとして開発されたのがこの「XLスポーツ」だ。
車両重量わずか890kg、ボディのcd値0.258という数値に対し、エンジンの最高出力は147kW(200ps)、134Nmの最大トルクを誇り、最高速度は270km/hを達成。200psクラスのエンジンでは前人未到の最高速度だと、フォルクスワーゲンでは説明する。
このエンジンは、フォルクスワーゲン グループ傘下となったバイクメーカー、ドゥカティから供給された1,199cc V型2気筒DOHC。もとは500台限定の特別モデル、ドゥカティ「1199 スーパーレッジェーラ」に搭載されているもので、112mmのボアにたいし60.8mmという極端なショートストロークをもち、その最大許容回転数は11,000rpmにのぼる。
組み合わされるトランスミッションは7段DSGだが、1.86のギア比をもつ中間ギアボックスがおかれているのもXLスポーツの特別なポイントとされる。
Volksagen XL Sport|フォルクスワーゲン XLスポーツ
1リッターカー「XL1」にドゥカティのエンジンを搭載
XLスポーツ、パリでデビュー (2)
性能重視の装い
もちろん、エンジンだけでは最高速度の達成は成しえない。フロントサスペンションはプルロッド構造下に接続されたダンバーを備えたダブル ウイッシュボーン式、リアはにはプッシュロッド構造上に接続されたダンバーを備えたダブル ウイッシュボーン式を採用。いずれも、モータースポーツからフィードバックされたテクノロジーだという。
XL1では空力性能優先で、前輪115/80R18、後輪145/55R16というとても細いタイヤをはいていたが、XLスポーツでは動力性能重視のため、フロント205/40R18、リア265/35R18というスポーツタイヤが奢られる。さらに、鍛造マグネシウム製ホイールやセラミックブレーキといった、軽量でありながら高いスポーツ性能を発揮する装備が採用されている。
ボディそのものもXL1にくらべて、403mm長く、183mm幅広くなっており、よりスポーティなプロポーションを獲得。数字であらわすと全長4,291×全幅1,847×全高 1,152 mm。ホイールベースも200mmも伸長されて2,424mmとなった。数字だけでなく、リアに向かうにつれてすぼまる特徴的な“ドルフィン ボディフォーム”がなくなり、リアエンドまでほぼ直線的なボディラインを得た。
乗降のために屋根に切り込んだ部分から開くウィングドア、特殊な薄いガラス製のフロントウィンドウ、ポリカーボネイト製のサイドガラスはXL1からそのまま引き継がれている。
インテリアは、カーボンや赤いラインをあしらったスポーティな装いに変更された。また、ハンドル裏にはアルミ製のシフトパドルがあしらわれ、ラップタイム計測機能と油圧表示を備えたインストパネルが特別にデザインされて装備された。シートベルトもレーシーなレッドであしらわれた。
このXLスポーツは、もとになったXL1とは真逆の性格をもつモデルといえるが、フォルクスワーゲン グループがこのモデルを通じて表現したいことは、ドゥカティとフォルクスワーゲンによる相乗効果を形にすることと、両ブランドのもつ最先端技術がモジュールとして採用可能になったことの実証だという。
Volkswagen XL Sport|フォルクスワーゲン XLスポーツ
ボディサイズ|全長 4,291 × 全幅 1,847 × 全高 1,152 mm
ホイールベース|2,424 mm
重量|890 kg
エンジン|1,199cc 90度V型2気筒DOHC
最高出力|147 kW(200 ps)
最大トルク|134 Nm
ボア×ストローク|112 × 60.8 mm
トランスミッション|7段DSG
サスペンション 前|プルロッド構造下に接続されたダンバーを備えたダブル ウイッシュボーン
サスペンション 後|プッシュロッド構造上に接続されたダンバーを備えたダブル ウイッシュボーン
タイヤ 前/後|205/40R18 / リア265/35R18
最高速度|270 km/h
0-100km/h加速|5.7 秒
トランクスペース|107リットル