ユナイテッドアローズ元社長から見たフェラーリ|Ferrari
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2015年2月2日

ユナイテッドアローズ元社長から見たフェラーリ|Ferrari

Ferrari 458 Spider & FF|フェラーリ 458スパイダー & FF

ユナイテッドアローズ創設メンバーから見たフェラーリ

ユナイテッドアローズ創設メンバーの一人であり、元社長でもある岩城 哲哉氏。彼もまた、クルマ好きである。OPENERSは今回、渡辺敏史氏とともに、その岩城哲哉氏に、それぞれ性格のことなる2つのフェラーリ、「458スパイダー」と「FF」を初体験してもらった。はたしてクルマの専門家ではない目から見た、現在のフェラーリとは、どんなクルマなののか? どんなつきあいかたが浮かんでくるのか?

Talk IWAKI Tetsuya & WATANABE ToshifumiPhotographs by ABE Masaya

岩城哲哉とは?

渡辺敏史(以下 渡辺) 最初に自己紹介をお願いできますか?

岩城哲哉(以下 岩城) 私は、重松さんの部下です(笑)。

(“重松さん”とは、ユナイテッドアローズ取締役会長 重松 理氏。重松氏はビームスの立ち上げに参画、初代店長もつとめた。)

岩城 ビームスは、最初、6坪の店舗で、重松さんを中心に3人ではじめたんです。そのころは販売員がいなかったから、私は学生バイトで販売員でした。1974年くらいの話です。大学のあとは、就職を蹴ってビームスに入りました。以来、重松さんは常にあたらしいなにかをやりたいと考えて、それを形にするのが私、みたいな関係です。

ビームスを辞めたのは、衣料だけじゃなくて、衣食住トータルのライフスタイル、街づくりまで、やりたかったからです。それはビームスでやるにはリスクが大きかった。

岩城哲哉氏はユナイテッドアローズで社長も務めた。ビームス、ユナイテッドアローズの創設メンバー

そこでビームスを辞めて、UA(ユナイテッドアローズ)をつくりました。最初は全然、売れなかったんです。5年くらい赤字で、潰れるとおもった――UAでは何でも屋といった感じで、バイイング、開発、生産、行政や街と店舗についてのいろいろな調整をするようなこともやりました。いまはUAの相談役です。

渡辺 クルマはいつ頃からお持ちなんですか?

岩城 大学を出た後くらいから、クルマはずっと持っています。会社のクルマの場合もあったけれど。仕事でも必要だったし、インポートショップだったから、ステータスであるとか、プレゼンみたいな役割もクルマは担っていました。こういうクルマに乗って、こういう服を着て――と、あこがれを抱けるライフスタイルを演出するものです。

渡辺 たとえばどういったクルマに乗ってこられたんですが?

岩城 ボルボの「240ワゴン」が流行ったから、たとえばソレであるとか……お金に余裕ができてからは、ゲレンデ(メルセデス・ベンツ Gクラス)を買いました。あれを手に入れたころは同時多発的に、みんなおなじようなことを考えていたとおもう。洋服も、変わらないで進化するというのが、いいとされてきた頃だった。自分のゲレンデもふくめて、UA原宿本店の前に黒のゲレンデが3台ならんだこともありました。そうやって流行ってしまったこともあって、私は手放してしまいましたが――鈴木正文さんと知り合って、「何を買えばいいですかね?」という相談をしているうちに、ポルシェ「911カレラ4S」を買ったこともあります。997型の初期モデル。オプションを決めるのが大変でした。苦手なんですよ、そういうの。911はいいクルマだったんですが、強いて言えば疲れた時に乗るのがちょっとイヤなのと、左ハンドルだったのが、右ハンドルがよくて、いまは「Cクラス」のワゴンに乗っています。ワゴンはずっと持ってるんです。

Ferrari 458 Spider & FF|フェラーリ 458スパイダー & FF

ユナイテッドアローズ創設メンバーから見たフェラーリ (2)

フェラーリを前にして

岩城 だから、コレ(FF)いいよね! リアシートは倒れるの?

渡辺 倒れます。

岩城 しかもカッコイイ。フェラーリには、かつてはスケドーニの専用のトランクもありましたよね!

渡辺 ワゴンにこだわりがあるのは、なにか理由があるんですか?

岩城 貧乏性だからかな(笑)。 セダンはダメなんです。急なときに人が乗れて、荷物をいれられるっていう……実際の生活では、そういう急なときなんてないんだけれど、入れられるっていうことがないとダメなんです。「458」はトランクはフロントなんですよね。

渡辺 エンジンが後ろですからね。機内持ち込みが2ついけるかな? というような容量です。「FF」のエンジンはフロント。12気筒です。独創的な四輪駆動システムを採用しています。

Ferrari FF|フェラーリ FF

Ferrari FF|フェラーリ FF

岩城 このエンジンはすごいね! モノとして。

渡辺 こういう絵になるエンジンをいまも搭載しているのもフェラーリらしさですね。

岩城 世間的にはダウンサイジングが流行していますが、フェラーリもダウンサイジングを考えていたりするんですか?

渡辺 今後、F1がエンジンを小さくするので、可能性はありますね。

Ferrari 458 Spider & FF|フェラーリ 458スパイダー & FF

ユナイテッドアローズ創設メンバーから見たフェラーリ (3)

インナーマッスル

渡辺 今回がフェラーリの運転は初体験とのことですが、いかがでしたか?

岩城 フェラーリという存在感にプレッシャーを感じていたのと、勝手な先入観から、乗りにくいのかとおもっていたら、短い距離だったけれど、実際に運転してみると乗りやすかったのが意外でした。なんでだろう? 軽い感じがしました。

渡辺 「458」は特にですが、実際に軽いというのもありますし、ステアリングの設定であるとか、それから視界がいい、重量物が車体中央に集中している、という理由もあるかもしれないですね。

岩城 両方よかった、「458」も「FF」も。それで今回フェラーリを見て、乗っておもったのが、インナーマッスルのことです。いま、“コアトレ”っていうのをやってるの。体の外側の筋肉を鍛えるのではなくて、なかを鍛える。インナーマッスルの調整というのをやっているんです。ムキムキの体をつくるための大きな動作ではなく小さい動作で、たとえば背中の小さい筋肉を整える。そうすると、これまで座りっぱなしの生活で、ガチガチになっていた体が、しなやかに変わってくるんです。フェラーリのデザインというのは、そういうことに近い発想のデザインではないだろうか? そんなふうにおもいました。

Ferrari 458 Spider & FF|フェラーリ 458スパイダー & FF

Ferrari 458 Spider|フェラーリ 458スパイダー

渡辺 専門家たちに言わせると、特に「458」のデザインは空力でつくっているデザインだそうです。ライトの横の穴であるとか、フェンダーの穴はエンジンの熱を抜く、煙突効果があるものだとか……時速200kmくらいになると、フロントの羽根も、フレキシブルに動くのですが、それでクルマを下に押し付ける力を増すということです。

岩城 そういうところが、機能を予感させる形で、インナーマッスルのことをおもったのかな……

渡辺 昔はフィジカライズされたデザインというと、張り出したスポイラーや大きなウイングなど、わかりやすく筋肉質でしたが、いまのフィジカライズされたデザインというのは、こういうことなんでしょうね。

岩城 艶っぽいというのかな。艶っぽいといっても、それは下品な意味ではなくて、艶っぽい。内側にある理由が外側のデザインをうみだしている、とおもわせてくれる。良い感じです!

Ferrari 458 Spider & FF|フェラーリ 458スパイダー & FF

ユナイテッドアローズ創設メンバーから見たフェラーリ (4)

フェラーリを選ぶなら

渡辺 ところで、たとえば実際にフェラーリを所有して、使うとした場合、何色がいいとか、どう使うとかいうイメージは抱かれましたか?

岩城 色で言えば、今回の「FF」の赤はよかった。あとはどんな色があるの?

渡辺 フェラーリは標準的な赤だけでも4種類くらいあります。黄色が2種類かな? おもいつく色は大体あるんじゃないでしょうか。でももし、僕がフェラーリを持つなら、欲しいのは、薄いシャンパンゴールドのような、「グリージョ・イングリッド」という色なんです。グリージョはグレーという意味のイタリア語ですが、イングリッドは、女優のイングリッド・バーグマンのこと。「グリージョ・イングリッド」はロベルト・ロッセリーニという映画監督が、イングリッド・バーグマンにフェラーリをプレゼントしたときに、そのフェラーリに塗らせた色なんです。

岩城 それはカッコよさそうだけど、イングリッド・バーグマンじゃないからなぁ(笑)。自分で乗るならせっかくだから、派手な色でもいいし、落ち着いた色でもいいでしょうね。でも他人が乗ってない色のほうがいいですね。突飛ではないけれど、ちょっとちがう色がいい。日本の風景を背景とすると考えるなら、ネイビーはあわせやすいという気はします。

渡辺 フェラーリにも紺はありますね。キレイですよ。でも僕は紺色のクルマには英国的なイメージがあった。あまり見かけない色でもありますね。

岩城 そうか。ネイビーのフェラーリが、なかなかないとしたら、余計いいかもしれないね。でも私は、いままでは、自分で真っ赤みたいな色は選ばなかったけれど、でもフェラーリならいいとおもう。色なんかは、カタログ見てる時が一番たのしいよね。

Ferrari FF|フェラーリ FF

Ferrari 458 Spider|フェラーリ 458スパイダー

渡辺 いまはホームページにいくとカーコンフィギュレーターというのがあって、画面上でカスタマイズができる。あれをやっているときは最高にたのしいですよ。ところで岩城さんはクルマを買うときに、色を重要視しますか? やはり装いや生活にあわせて選ぶのでしょうか?

岩城 いままでのことを思い返してみても、そうですね。だから輸入車で欲しい色のクルマの在庫がなければ、その色のクルマが来るまで待っていました。

投影される自己

渡辺 現在はクルマとどういうふうに付き合っていますか?

岩城 なんにでも使いますよ。旅行にもいくし、買い物にもいくし。いまは自分ひとりで乗ることも多いけれど、ストレス発散的に乗ることもあります。運転しているのが楽しい。クルマが好きなんです。振動とか、運転している動作で、発散するものがあるとおもう。だから今回の2台のクルマはどっちもいいとおもいます。強いて言えば、私は「FF」のほうが好きです。ワゴンが好きだし、乗り降りも楽だし。そういうところが、自分のものだったら大事だとおもうんです。

渡辺 たしかに。これからフェラーリに乗って何かと戦う、みたいなことを、もうするようなこともないでしょうしね。くらべてみれば「458」のほうが戦闘的なフェラーリかとおもいますが、そういうフェラーリを欲しいとおもわない人が乗るフェラーリとしても、「FF」は余裕があって存在感があるのかもしれないですね。

岩城 その気持ち、わかりますね。今回、2台を乗りくらべてみて、そういう性格付けがちゃんとされていることは感じました。クルマって、「こういうのに乗っている自分の人生」みたいに、その人のあり方が投影されますよね。

渡辺 「FF」は確かに高級なクルマだけれど、フェラーリの中では、飛び抜けて高いわけでもないし、できることと載せているエンジンを考えれば、お買い得かもしれない。

岩城 というわけで、私なら茶色のメタリックの「FF」を選びます。

Ferrari FF|フェラーリ FF

           
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