BMW M3 M DCT Drivelogic|ビーエムダブリューM3 M DCT Drivelogic|第23回 (前編)|あのスーパーカーと同門の最新モデル
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2015年4月14日

BMW M3 M DCT Drivelogic|ビーエムダブリューM3 M DCT Drivelogic|第23回 (前編)|あのスーパーカーと同門の最新モデル

第23回 BMW M3 M DCT Drivelogic(前編)

あのスーパーカーと同門の最新モデル

BMWの高性能スポーツモデルの称号「M」。最新型「M3」に搭載される新型トランスミッション「M DCT Drivelogic」は、新しい時代のスポーツカーのあり方を示唆している。それはつまり、スポーツ走行にはマニュアルトランスミッションに限る、という時代の終焉なのかもしれない。

文=下野康史Photo by BMW

1万6200台の“M”

BMW M1

1万6200台の“M”

ワタクシゴトながら、2008年は自動車マスコミ在籍30周年である。学校を出て、自動車専門誌の編集部に入ったのは1978年。スーパーカー・ブームは去っていたが、まだ余熱はあった。

駆け出しの編集記者小僧時代にも、「フェラーリ308」「ランボルギーニ・ジャルパ」「ポルシェ911ターボ」「ロータス・エスプリ」といった華々しいスーパーカーに接近遭遇するチャンスは少なくなかった。運がいいと、ステアリングを握らせてもらうチャンスもあった。

そのなかで、当時、もっとも感銘を受けたのは「BMW M1」だった。3.5リッター直列6気筒をミドシップ・マウントしたBMW初のスーパーカーである。

BMW傘下のレース屋さんとして「BMWモータースポーツ」が発足したのは72年。そのファクトリーから生まれた市販車第1号が、78年登場のM1である。それから8年後の86年に初代「M3」がデビューしている。グループAレーシングのホモロゲーション用としてつくられた別格の「3シリーズ」である。

レース以外の活動にもより広くコミットするために、BMWモータースポーツは93年にその頭文字だけを残した「M社」に改名している。現在の従業員数は580名。M3に加え「M5」「M6」あわせて、昨2007年は1万6200台の“M”を送り出している。

なんて数字をスラスラ書けるのは、つい最近、M社が日本でプレスコンファレンスを開いたからである。ヒストリーを聞いていて、あらためて感じ入ったのは、M3が、感動的だったあのM1と“同門”であることだ。イイはずである。

M3の最新トランスミッション「DCT」

最新のM3のセダンとクーペに、まったく新しい7段スポーツ・ギアボックスが登場した。「M DCT Drivelogic」。M社がゲトラクと共同開発した“ダブル・クラッチ・トランスミッション=DCT”である。

旧型M3の「SMG」(シーケンシャル・マニュアル・ギアボックス)にとってかわるこの変速機は、その名のとおり、ツインクラッチ式の2ペダル・ギアボックスである。ギアセットを奇数(1、3、5、7速とリバース)と偶数(2、4、6速)のふたつに分け、それぞれに湿式クラッチを与えた。

片方がエンゲージしているとき、もう片方は次のギアを予測してスタンバイしている。シングルクラッチのSMGは、最終世代のバージョンIIIで50ミリセカンドまで変速時のタイムラグを詰めたというが、M DCTは構造上、ついにトルクの断切がなくなった。

その新型ギアボックスは、期待を上回るデキであった。

M3の最新トランスミッション「DCT」

日本未導入「M3コンバーチブル」のDCTレバー(写真下)。
DCT=ダブル・クラッチ・トランスミッションとは、
文字どおりクラッチを2つ備えたギアボックスのこと。
マニュアル車のように左足操作を必要とせず、
機械がクラッチを制御するためペダルは2つだ。
ギアのつながりが速められ加速性能がよくなり、
クルマを操る楽しさがいっそう増すという効果がある。

           
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