メルセデス・ベンツ SLK 55 AMGに試乗|Mercedes-Benz
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2014年12月8日

メルセデス・ベンツ SLK 55 AMGに試乗|Mercedes-Benz

Mercedes-Benz SLK 55 AMG|メルセデス・ベンツ SLK 55 AMG

現代メルセデス・ベンツにおけるAMGとは?

SLK 55 AMGに試乗

2012年に45周年を迎えたAMGは、アメリカで7パーセント、ドイツで15パーセント、中国で50パーセントの成長をねらう「AMG Performance 50」という成長戦略を掲げ、今後登場する「Aクラス」にも「A 45 AMG」が設定されることからもわかるように、メルセデス・ベンツモデルをスポーティに仕上げたラインナップを拡大中だ。OPENERSは、いま、あらためてAMGに注目し、小川フミオ氏とともに、現代のメルセデス・ベンツラインナップにおける、そして、世界のスポーティカーのなかの、AMGとはなにかをさぐるべく、2012年5月に日本導入となった「SLK 55 AMG」をテストした。

Text by OGAWA Fumio
Photographs by MOCHIZUKI Hirohiko

この手のスペシャルモデルは大得意

コンパクトな2シーターは、いつの時代も人気が衰えることがない。メルセデス・ベンツが1996年に発表した「SLKクラス」も、いまや3代目となるが、上手なリフレッシュによって、いまももっとも魅力な1台という地位を保っているといえる。

SLKのなかでもトップに位置するのは、「SLK 55 AMG」(1,090万円)。2012年5月に日本導入されたモデルだ。422馬力もの高出力を発生する5.5リッターV8エンジンを搭載するのが特徴で、ひと昔前の自動車ジャーナリズムの世界にあった「靴べらでエンジンを入れた(ような)」という比喩をおもいだした。小さな車体に大きな排気量のエンジンを搭載してスペシャルモデルをつくることだ。

Mercedes-Benz SLK 55 AMG|メルセデス・ベンツ SLK 55 AMG

Mercedes-Benz SLK 55 AMG のV8エンジン

Mercedes-Benz 300 SEL 6.3|メルセデス・ベンツ 300 SEL 6.3

Mercedes-Benz 300 SEL 6.3|メルセデス・ベンツ 300 SEL 6.3

メルセデス ベンツはかつて、1968年の「300 SEL 6.3」にはじまり、バブル期に高い人気を博した「500E」など、この手のスペシャルモデルづくりにかけては経験豊富なブランドといえる。全長4,145mmというフォルクルワーゲン「ゴルフ」なみの車体に、「Sクラス」や「SLクラス」とおなじの大排気量V8ユニットを押し込んだ後輪駆動スポーツ。それだけでも乗る前から胸が高鳴るではないか。

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現代メルセデス・ベンツにおけるAMGとは?

SLK 55 AMGに試乗(2)

さりげない

「5.5 リッターV型8気筒直噴エンジンを搭載し、従来モデルにくらべ最高出力を約17パーセント、最大トルクを約6パーセント向上させた」(広報資料)のが、新型SLK 55 AMGの特徴として筆頭にあげられる。

しかしなにより、ここで注目したいのは、SLK 55 AMGの「さりげなさ」だ。

外観はフロントに大型のエアダムが装着されたり、タイヤ幅が太くなっているなど、スタンダードモデルにたいしての差異化ははかられている。

またインテリアに目を転じても、専用のスポーツステアリングホイールなどが目にとまるかもしれない。

Mercedes-Benz SLK 55 AMG|メルセデス・ベンツ SLK 55 AMG

でもそれはあくまで、新型SLKについてある程度の知識があることが前提だ。しろうと目には、あくまでも、スタイリッシュな2シーターカブリオレにしか見えない。

幸福の絶頂がやってくる

さりげなさがさりげなくなくなるのは、操縦したときだ。

右の回転計、左の速度計、おなじ径の2つの計器に目をやりながら走ることになるが、右の回転計の針がほとんど動かないうちにドラマははじまる。左の針はすばやい勢いで上昇しはじめる。ごく低回転域からたっぷりしたトルクを出して、クルマをロケットのように推し出す力にドライバーは驚くことになる。

Mercedes-Benz SLK 55 AMG|メルセデス・ベンツ SLK 55 AMG

Mercedes-Benz SLK 55 AMG|メルセデス・ベンツ SLK 55 AMG

かつそのまま踏みこむと、AMGによるサウンドチューニングされたV8の、鋭さとおおらかさを併せ持ったような独特の排気音が大きく響き、クルマはまるで放たれた矢のように直進する。そこでパドルシフトを操り、マニュアルシフトしてみれば、SLK 55 AMGの、もうひとつの姿とでもいうべきものに出あい、スポーツカー好きのドライバーなら、幸福の絶頂に達せんばかりだろう。

エンジンは3,000rpmを超えると、さらにもう一段、強力なトルクを後輪へと送りこむ。ピストンの回転が速まればクランクシャフトがそれだけまわり、ドライブシャフトを含めてすべてがある種のハーモニーで歌う。自動車の世界で高性能化することをチューニングというのはご承知のとおりだが、まさに音楽用語のチューニングも連想させる、すべてがみごとに噛み合う、すばらしい感覚でSLK 55 AMGは速度を上げていくのだ。

Mercedes-Benz SLK 55 AMG|メルセデス・ベンツ SLK 55 AMG

現代メルセデス・ベンツにおけるAMGとは?

SLK 55 AMGに試乗(3)

AMG独自の個性

かつてAMGが日本に正規輸入開始されたばかりの頃は、速いだけがとりえの、いわゆる直線番長だった。本国にはいろいろなチューニングのステージがあったようだが、日本で選ばれていたのは、ガチガチの足まわりの設定で、1枚の板(シャシー)を四隅のスプリングで吊すというメルセデスのサスペンションのとらえかたの、あまりよくない面が顕著に出てしまっていた。

しかし昨今のAMG車はある種の芸術のようにバランスがとれている。セルフアライニングトルクが弱い、つまり左右いずれかにハンドルをまわしたあと手をはなすと、多くのメーカーのクルマとちがい、中立に戻る力が弱いメルセデス独特のステアリングの味付けは守っているなど、AMGはあくまでもメルセデスのスポーツ部門という立場から車両に手を入れている。それがスポーティさを追求してもBMWやポルシェとはけっして交わらない、独自の個性となっている。それはよいことだとおもう。

Mercedes-Benz SLK 55 AMG|メルセデス・ベンツ SLK 55 AMG

Mercedes-Benz SLK 55 AMG|メルセデス・ベンツ SLK 55 AMG

メルセデスのクルマづくりが見える

SLKクラスはたとえばスタンダードの「SLK 350 ブルーエフィシエンシー」でも充分にスポーティなドライブを楽しめる。

1.4トンと比較的軽量な車重と、たとえばフォルクスワーゲン 「ゴルフ」より短い全長のボディというコンパクトさがこのクルマの身上である。

メルセデスは、そこに大排気量のエンジンを用意することで、大型車・大排気量エンジンを手がけてきた経験ゆえの、他に類のないブランドの個性を強調する。

306psのSLK350でも充分楽しいが、SLK 55 AMGでは、より太いトルク、つまりどこまでも速度を増してゆく驚くばかりのトルクや、より鋭い加速性に、快適ともいえる乗り心地のサスペンションや操作性の高いステアリングを組みあわせることに成功している。

SLKにも、現代のメルセデスが誇るクルマづくりのすべてが凝縮しているのだ。

spec

Mercedes-Benz SLK 55 AMG|メルセデス・ベンツ SLK 55 AMG
ボディサイズ|全長4,150×全幅1,845×全高1,300mm
ホイールベース|2,430 mm
トレッド 前/後|1,550 / 1,555 mm
最低地上高|120mm
トランク容量 オープン時/クローズ時(VDA値)|202 / 312 リットル(AMGハンドリングパッケージ設定時)
重量|1,640 kg
エンジン|5,461cc V型8気筒 直噴DOHC
最高出力| 310kW(422ps)/ 6,800 rpm
最大トルク|540Nm(55.1kgm)/ 4,500 rpm
トランスミッション|7段オートマチック
駆動方式|FR
タイヤ 前/後|235/40R18 / 255/35R18
ブレーキ|ベンチレーテッドディスク
燃費(JC08モード)|11.2 km/ℓ
価格|1,090万円

           
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