ボルボの未来を告げる第3のコンセプト|Volvo
CAR / MOTOR SHOW
2015年8月24日

ボルボの未来を告げる第3のコンセプト|Volvo

Volvo Concept Estate|ボルボ コンセプト エステート

ボルボの未来を告げる第3のコンセプト

ボルボ コンセプト エステートをジュネーブで発表

フランクフルト モーターショーデトロイト モーターショーで公開された、コンセプトカー「クーペ コンセプト」や「コンセプト XC クーペ」につづく第3のコンセプトカー「コンセプト エステート」が、まもなくはじまるジュネーブ モーターショーで公開される。

Text by SAKURAI Kenichi

21世紀に蘇った、ボルボ1800 ES

ボルボは、まもなく開幕するジュネーブ モーターショーで、あたらしいプラットフォームである「スケーラブル プロダクト アーキテクチャー(SPA)」をもちいた第3のコンセプトカー、ボルボ「コンセプト エステート」を公開予定だ。これはフランクフルト モーターショーで公開した「クーペ コンセプト」や、デトロイト モーターショーでワールドプレミアした「コンセプト XC クーペ」につづくもので、未来のボルボデザインのプレビューとしての役割を担っている。

エクステリアデザインは、これまでの2台の延長線上にあり、ユニークなT字型のDRL(デイタイム ランニング ライト)ガイドをそなえたヘッドライトデザインや、存在を主張するフローティングデザインを採用したフロントグリル、そして大きく張り出したショルダーラインや、おおきな21インチホイールの採用などが特徴として挙げられる。エステートを名乗っているが、ボディはこれまでのコンセプトカーとおなじく2ドアとなっているのも、このコンセプトカー3部作に共通する点だ。

ただし、コンセプト XC クーペではクーペの名前からもわかるようにリアウィンドウが大きく寝ていたのにたいし、こちらは延長されたルーフがガラス製となり、より垂直方向にちかいエステート(ステーションワゴン)ライクなリアウィンドウデザインが確認できる。リアのサイドウィンドウも、コンセプト XC クーペにくらべ面積が大きく、ルーミーな印象だ。

と、そこでこのコンセプト エステートのフォルムを見て、1972年に登場したボルボ「1800 ES」とコンセプト エステートの関連性に気づいた方はかなりのボルボ通だ。

ボルボ自身が、コンセプト エステートはボルボ 1800 ESにインスパイアされたデザインをもっているとボルボが認めているように、ドアからリアフェンダーにかけてのキャラクターラインや、サイドウィンドウ形状に両車の共通項を見いだすことができる。

ただし、これは単なるリバイバル路線をいくものではない。キーとなるモチーフをコンセプトカーに組み込み、スカンジナビアデザインの正統な継承者であることを表現したと考えるのが正しいだろう。スマートなシルエットは、まさに21世紀に蘇ったボルボ 1800 ESである。

コンセプトカー故の2ドアのステーションワゴンというボディデザインに需要があるかどうかはさておき、伝えたいのは、スカンジナビアデザインの進化とクオリティであるはずだ。ひょとするとボルボは、モダンな意匠とクールなシルエットをもちいて、ステーションワゴンのデザインのデザインそのものを再構築したいのかも知れない。

Volvo Concept Estate|ボルボ コンセプト エステート

ボルボの未来を告げる第3のコンセプト

ボルボ コンセプト エステートをジュネーブで発表 (2)

Apple製の車載インターフェースCarPlayを採用

しかし、コンセプト エステートの最大の見どころは、このエクステリアではない。インテリアデザインにこそハイライトがある。ボルボ コンセプト XC クーペでは明らかにされていなかったインテリアが、より現実的な提案としてコンセプト エステートで初公開されるのである。

インテリアデザインの特徴は、上質さとシンプルさ。スイッチやコントロールダイヤルは存在するもののその数は大幅に絞られ、スッキリした印象をもたらす。従来のスイッチに変わり、各種コントロールを担うのは、センターコンソールにセットされた大型のタブレット型タッチスクリーンコントロールパネルである。そして、そのインターフェースは、Appleがあらたに開発した「CarPlay」にも対応している。

この大型のタブレット型タッチスクリーンコントロールパネルをもちいることによって、「ユーザーは、直感的でより簡単にさまざまな車両デバイスのコントロールと情報を確認できるようになります」と、ボルボのトーマス・インゲンラート デザイン担当副社長は語っている。

ボルボではこのタブレット型タッチスクリーンコントロールパネルを「タイル」と呼び、特別な専用ソフトウェアを開発。タッチスクリーンを、あたらしいユーザーエクスペリエンスのためのメインコントロールパネルとして使用する。たとえば、オーディオのボリューム、再生/一時停止といったコントロールはもちろん、ハザードスイッチやとウィンドウの開閉、エアコンやシートヒーターなどこれまでそれぞれ独立したスイッチが担っていた機能を、すべてこの「タイル」でのコントロールに置き換えている。

操作はスマホやタブレットPCと同じように、指で拡大縮小がおここなえるほか、フリック操作も可能となっている。さらに、このタブレット型タッチスクリーンコントロールパネルは、運転席の前にあるメータークラスター内のデジタル計器とシームレスに連動。ステアリングホイール上に設けられたスイッチによっても、簡単にコントロール可能だ。ドライバーは視線を大きく動かすことなく、最低限の車両情報や快適装備の状況を確認できるようになっている。

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ボルボ コンセプト エステートをジュネーブで発表 (3)

正体は次期XC90のデザインプレビュー

上質な本革で作られたフロントシートのヘッドライナーとシートサイド、シートバックには、白と黒とチェック柄をくわえ、遊び心を表現。左右シートを分割するセンタートンネル横には、オレンジ色のウール生地を張り込んでいる。丁寧になめしたサドルレザーで覆われるインストルメントパネルや、天然の木材、本物の銅を使用したダッシュボードを含め、コンセプト エステートのキャビンを「居心地の良さそうな北欧デザインのリビングルーム」と称することに抵抗はない。

リアラゲッジ床下には、かのバイキングがはじめたという北欧の伝統的遊戯「クッブ」のための道具がそなえつけられる。そして、床面のボードを透明にすることでその存在をアピール。透明のボードには遊び方まで書かれている。また、雨の日でもプレイできるよう、レインコートさえ用意されている。

縦型画面を中心に配置されたエアコンの吹き出し口や、それを取り囲むダッシュボード形状は、現行モデルに採用されているスタックデザインの延長線上にあるものとの解釈も可能だが、一気に未来感が増したといってもいいほどの進化である。

コンセプトカーは、このユーザーインターフェースを新世代モデルに採用することを示唆しており、実用的かつ現実的なシステムは、2014年中に発表される新型「XC90」から順次実装される見込みだ。

           
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