世界最高のレースを楽しむ週末―WEC第7戦リポート|Audi
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2015年1月26日

世界最高のレースを楽しむ週末―WEC第7戦リポート|Audi

FIA World Endurance Championship 6 Hours of Fuji|
FIA 世界耐久選手権 富士6時間レース

世界最高のレースを楽しむという週末

ル・マン24時間レースを頂点に、全8戦をあらそう、FIA 世界耐久選手権(WEC)の第7戦が、富士スピードウェイで開催された。Audiと記されたたくさんの看板を用意し、場所によっては、あたかもアウディのホームのようにも見えるほど、富士スピードウェイでも存在感を発揮するアウディ。そして、正真正銘ホームとなる富士スピードウェイに、じつに24年ぶりに帰ってきたWECへと、自慢のハイブリッドレーサーを投入するトヨタ・レーシング。ル・マン24時間レースを戦ったアウディとトヨタの両雄は、最新、最高のマシンをもって、3万人超が見守るなか、富士の裾野で激突した。

Text by OGAWA Fumio

まるでスプリントレースみたいだ!

去る2012年10月14日に、FIA世界耐久選手権第7選が開催された。全長4.563kmのコースを6時間走るもので、ル・マン24時間レースなどで知られるアウディ「R18 e-tron quattro」が2台やってきて、トヨタと競りあった。レースは僅差でトヨタの優勝に終わったが、アウディの努力で、この日は欧州のレースのような華やかな雰囲気が楽しめた。

レース自体は、ハイブリッドに4輪駆動「クワトロ」システムを組みあわせたアウディR18 e-tron quattro(これまで6戦中5回優勝)と、ル・マン以降めきめき力をつけてきたトヨタのハイブリッドレーサー「TS030」の一騎打ちで、スタートからフィニッシュまで目が離せない展開になった。

レースをリードしたトヨタにたいして、アウディは僅差で肉薄し、最後の最後まで、勝利がどちらにもたらされるのか、予想できない緊迫した展開になった。「まるでスプリントレース(スピードで競いあう短時間のレース)みたいだ」とつぶやいたジャーナリストの言葉にもうなずける、第一級のエンターテイメントだった。

Audi R18 e-tron quattro|アウディ R18 イートロン クワトロ

Audi R18 e-tron quattro

Toyota TS030 HYBRID|トヨタ TS030 ハイブリッド

Toyota Racing TS030 Hybrid WEC

レースは、コースを知り尽くしたともいえるドライバー、中嶋一貴の活躍と、トヨタチームの戦略が大きく貢献した模様。最終的にトヨタ勝利の決め手となったのは、給油のためのピットインをぎりぎりまで遅らせることで、燃料がなくなった軽いマシンで、2位からリードを大きく広げたことだった。これもレースのおもしろさなのだ。

アウディのエースドライバー、アンドレ・ロッテラーは「どのチームもつねに勝ちつづけることはできないのです。2位という結果を受け入れなければなりません。2週間後の中国で、タイトルを決めたいとおもいます」というコメントを残している。「中国」とは、このFIA世界耐久選手権の最終戦となる上海で、10月28日に開催される6時間耐久レースのことだ。

FIA World Endurance Championship 6 Hours of Fuji|
FIA 世界耐久選手権 富士6時間レース

世界最高のレースを楽しむという週末 (2)

レースを観るだけでなく、レース観戦というイベントを楽しむという発想

ここから先はレースそのものとは直結しないことだが、この日レース観戦に訪れたアウディジャパンの関係者が、「私たちはレースを観に来ていただくというより、“レース観戦”を楽しみに来ていただきたいとおもっています。そのために、欧米のように、ホスピタリティやエンターテイメントを提供するのが大事です」と話してくれたのが印象に残った。

実際、アウディジャパンの努力はたいへん印象に残るものだった。たとえば、プレスルームには、もとレーシングドライバーのベテラン、エマニュエル・ピロ氏を招いたのもそのひとつ。ピロ氏による、経験者だからわかるレース解説のライブは、じつにおもしろい。

「次の周回ぐらいでライバルチームは給油のためにピットインするでしょうね。それを35秒で終わらせようと計算しているはずです。そうしないと、後続車に抜かれてしまいますから、迅速にやらなくてはならないのです」といったぐあいだ。

食事の提供や、DJによる娯楽など、さまざまな角度から、できるだけ幅広い層がレースを楽しめるような仕掛けも印象的で、ゲスト用のラウンジではモエ・エ・シャンドンシャンパーニュまで冷やされていて、古い流行り言葉だが「欧米か!」と嬉しくなった。

FIA World Endurance Championship 6 Hours of Fuji|
FIA 世界耐久選手権 富士6時間レース

世界最高のレースを楽しむという週末 (3)

サーキットがショールームのように

「欧米では、子どももレースで楽しめるよう、いろいろ工夫がある。日本でも最近はとてもよくなってきているので、遊園地もいいけれど、たまにはレース場に家族で出かける週末があってもいいとおもいます。そうすることで、日本のモータリゼーションが変わる余地だってあるだろうし」

アウディジャパンの大喜多寛代表取締役社長はそう語っていたが、そのとおりだとおもう。

真っ赤なモータースポーツのCIを富士スピードウェイに大胆に導入したのもアウディの貢献だ。「あれ、富士スピードウェイはトヨタのサーキットではなくなったのかな」と言われるぐらい、徹底した飾り付けを、スマートに施していた。サーキットがまるでショールームのような美しさになった。

Audi R18 e-tron quattro|アウディ R18 イートロン クワトロ

Audi Racing Club House

クルマの世界で広い層へのアピールをはかるためにディスプレイを効果的に使うのは、レクサスが米国で成功した原因ともいわれる。個人的な体験として、かつてロサンジェルスの田舎町の日曜日のスワップミートに出かけたところ、お気楽な古いクルマ関連の集まりなのだが、周囲に黒字にゴールドを使ったレクサスの垂れ幕が巡らされ、それが会場の雰囲気をうまく引き締めていたのが印象的だった。アウディの件でレクサスを思い出すというのも変だが、真理は不変のようにおもう。

今度イベントがあるときは、いちど出かけてみるといいかもしれない。それがオウプナーズからの提案だ。

           
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