レクサスRX450hに試乗|LEXUS
CAR / IMPRESSION
2014年12月12日

レクサスRX450hに試乗|LEXUS

LEXUS RX450h|レクサス RX450h

レクサス RX450hに試乗

スピンドルグリルを獲得するとともに、よりエモーショナルにモデルチェンジを果たしたという、レクサスブランドのSUV「RX」に小川フミオ氏が試乗した。

Text by OGAWA Fumio
Photograhs by MOCHIZUKI Hirohiko

アグレッシブなルックスを獲得

レクサスのSUV、「RX」がマイナーチェンジを受けた。眼目はスピンドルグリルと呼ばれるレクサスの新アイデンティティを与えられた外観と、操縦性の向上。さらに「Fスポーツ」と名づけられたスポーティバージョンにも注目だ。

RXのなかでも大きな柱になるハイブリッドモデルは、従来に引きつづき、「RX450h」とよばれる。

3.5リッター6気筒ガソリンユニットに電気モーターを組み合わせたパワープラントを搭載し、システム全体で200kW (299ps)を発生する。「E-Four」と呼ばれる4輪駆動システムを採用しており、後輪を駆動するのは電気モーター。

「今回のマイナーチェンジではエモーショナルな走りを強化した」とRXシリーズを手がけた勝田隆之チーフエンジニアは語る。

LEXUS RX450h|レクサス RX450h

エモーショナルとは、数値では表現できない、ドライバーが感覚的に気持ちいいと感じられる領域で質の向上を目指したと解釈できるだろう。サスペンションの改良など、具体的な要素はいろいろあげられるが、要するに乗ってみればわかる、ということだ。

LEXUS RX450h|レクサス RX450h

LEXUS RX450h|レクサス RX450h

フロントマスクを中心に、これまでより強い個性を打ち出したことについては、「米国市場では従来型は少々女性的だという市場調査の結果を反映したもの」とデザイン担当者が説明してくれた。かなりアグレッシブなルックスで、日本のユーザーには強すぎるような気もするが、スポーティさを強調したモデルにはこれでいい、と見るべきか。

LEXUS RX450h|レクサス RX450h

レクサス RX450hに試乗(2)

期待を裏切らない

試乗したのはRX450h Fスポーツ。走りを強化したとされる今回のRXのなかでも、もっともスポーティな仕様だ。金属スプリングとエアダンパーを組み合わせたサスペンションシステムは専用チューニングが施され、くわえて、さきごろ発表された新型「GS」と同様、パフォーマンスダンパーが採用されている。

結果は狙いどおりというべきか、走らせて楽しいクルマに仕上がっている。従来のRXと比較すると、クルマとしての完成度は上がり、いかなる領域でも欠点のない出来だ。低回転域でのトルクは電気モーターがカバーし、中回転域から高回転域はガソリンエンジンならではの吹き上がりのよさが堪能できる。

LEXUS RX450h|レクサス RX450h

LEXUS RX450h|レクサス RX450h

もちろんハイブリッドなので市街地では燃費走行も得意なのだが、Fスポーツというバージョンがキビキビと動くせいか、操縦が楽しく、経済性というより、スポーティさが評価の中心になってしまう。このモデルに食指を動かすひとの興味もスポーティさにあるとおもうので、その意味では、期待を裏切らない内容だ。

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レクサス RX450hに試乗(3)

ワインディングロードへ

RX450hの魅力は、加速力とハンドリング。ワインディングロードは上りも下りも、俊敏な車体の動きで、運転を楽しめる。これには電動アクティブスタイビライザーの恩恵も大きいとおもわれる。車体のロール角を制御し、効果的な荷重移動を実現、姿勢を安定させるため、ハンドルを切りこんだときの車体の反応がすばやいのだろう。

たっぷりのトルクで2トンを超える車体を動かすのは気持ちがよい。サスペンションは細かく微振動を吸収するとともに、ゆったりとした動きを見せる。これは大型エンジン搭載のドイツ車にも共通する魅力だ。

LEXUS RX450h|レクサス RX450h

LEXUS RX450h|レクサス RX450h

室内のつくりこみもクオリティが高く、シートの座り心地といい、静粛性といい、高級感がある。

モニター操作をする際に「マウスのように扱いやすい」とレクサスではしているリモートタッチが、新型GSにならい第2世代になっているのにも注目。

これまでは親指を使って側面のボタンを押して「決定」だったが、第2世代では下方向へプッシュするだけ。画面上のカーソルの移動は、従来型のように、画面内のボタンに吸い込まれる感覚がなくなった。あれはよかったのだが、「市場調査ではいまひとつの評判だった」と、レクサスではこれも「改良」としている。

LEXUS RX450h|レクサス RX450h

レクサス RX450hに試乗(4)

バリエーションモデルにも注目

RXは、もちろん、ハイブリッドの「RX450h」(559万円~/記事でとりあげたFスポーツは674万円)がすべてではない。軽快感が好ましかった前輪駆動の「RX270」(430万円)、前輪駆動バージョンとAWDバージョンが設定される3.5リッターV6の「RX350」(475万円から)と、バリエーションは豊富だ。

なかでも4輪駆動の「RX350 Fスポーツ」(560万円)は、基本的な完成度の高さで印象に残っている。コーナリング時の挙動などはこちらのほうがよりナチュラルなフィールもあるし、けっして非力ではないので、気持ちよさでそれほど劣ることもない。選択肢のひとつとして検討してみてほしい。

LEXUS RX450h|レクサス RX450h

LEXUS RX450h|レクサス RX450h

ワインディングロードを速く走るためにRXを買うひとがどれだけいるかは疑問だが、あらゆる面でクルマとしての完成度が上がっているので、空間に余裕あるSUVを求めているひとにとって、今回のマイナーチェンジは朗報だ。

願わくば後席の座面がもうすこし座り心地がよくなるといいのだが。フラットすぎて、乗員のモモが座面に接触しないため、いまひとつ不安定に感じられるのだ。フロア高などの制約のため、と設計者は説明するが、前端部のクッションを厚くするとか、もう少し工夫を施してもらえると、より顧客にとっての価値があがるような気がする。

spec

LEXUS RX450h|レクサス RX450h
ボディサイズ|全長4,770×全幅1,885×全高1,690mm
ホイールベース|2,740mm
トレッド幅 前/後|1,630/1,625mm
最低地上高|175mm
車輛重量|2,100kg (VersionL+エアサスペンションの場合2,130kg 前輪駆動モデルは2,040kg)
トランスミッション|電気式無段変速
エンジン|3,456ccV型6気筒DOHC
ボア×ストローク|94×83mm
圧縮比|12.5
エンジン最高出力|183kW(249ps)/6,000rpm
エンジン最大トルク|317Nm/4,800rpm
燃料供給装置|電子制御式燃料噴射装置
フロントモーター最高出力|123kW(167ps)
フロントモーター最大トルク|335Nm
リアモーター最高出力|50kW (68ps)
リアモーター最大トルク|139Nm
駆動用電池|ニッケル水素電池
燃費|16.8km/ℓ(JC08モード) 18.8km/ℓ(10・15モード)
VersionL+エアサスペンションの場合は16.4km/ℓ(JC08モード)18.8km/ℓ(10・15モード)
前輪駆動モデルの場合は17.4km/ℓ(JC08モード) 19.4km/ℓ(10・15モード)

           
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