Sクラス カブリオレの姿があきらかに|Mercedes-Benz
Mercedes-Benz S Class Cabriolet|メルセデス・ベンツ Sクラス カブリオレ
Mercedes-AMG S 63 Cabriolet|メルセデスAMG S 63 カブリオレ
Sクラス カブリオレの姿があきらかに
メルセデス・ベンツは、フランクフルトモーターショーで発表を予定している「S クラス カブリオレ」の詳細をあきらかにした。メルセデスAMGによるハイパフォーマンスモデル「S 63 カブリオレ」もあわせての登場だ。
Text by HORIGUCHI Yoshihiro(OPENERS)
クーペから派生した優美なオープンモデル
先日予告されていたとおり、現地時間の9月15日にプレスデイ、17日より一般公開されるフランクフルトモーターショー(IAA)において、メルセデス・ベンツから44年ぶりとなる「S クラス」のオープンモデル「S クラス カブリオレ」がワールドプレミアを迎える。
S クラス カブリオレのボディサイズは、全長5,027×全幅1,899×全高1,417mmと、昨年登場した「S クラス クーペ」とほぼおなじ。屋根を閉じた状態で、上下に薄いガラスエリアやリアに向けてなだらかに下がるルーフラインが、クーペのようなシルエットを描き、そのつながりを見た目で明確にしている。このソフトトップには、ブラック、ダークブルー、ベージュ、ダークレッドの4色が用意される。
エクステリアデザインも、ディフューザールックなリアアンダーや左右出しのテールパイプ、横に細長いLEDテールライトとそれを繋ぐ水平のクロームなど、クーペに準じたスポーティな演出が施される。内装はレザーに、ナッパレザー、designoエクスクルーシブナッパレザーなどが選べ、そこに、シーサイドをイメージしたディープシーブルーとポーセレンの組み合わせをふくむ6つのカラーコンセプトが設定される。
今回発表されたのは排気量4,663ccのV型8気筒ツインターボを搭載した「S 500 カブリオレ」。最高出力430kW(585ps)と最大トルク700Nmを1,800rpmから発揮する。トランスミッションには9段オートマチックの9Gトロニックを組み合わせ、欧州計測値の燃費は8.5ℓ/100km(およそ11.8km/ℓ)、CO2排出量では199g/kmという値だ。
Mercedes-Benz S Class Cabriolet|メルセデス・ベンツ Sクラス カブリオレ
Mercedes-AMG S 63 Cabriolet|メルセデスAMG S 63 カブリオレ
Sクラス カブリオレの姿があきらかに (2)
重量増を抑えつつ剛性を確保
S クラス クーペとおよそ60パーセント共有するボディシェルは、車体上部で剛性を得ることができないオープンモデル特有の問題のために、現行「SL クラス」で開発された、中空のアルミニウム製フレームメンバーを縦に置く構造を採用。ボディの軽量化とともに、このフレーム内側に各種モジュールを配置できる機能面でのメリットも得られるという。
また、リアシート裏にはマグネシウムのリアウォールを設置して剛性を確保。ここには、メルセデス・ベンツでは初採用となる火薬によるガス充填式のアンチロールバーも備える。その後ろに、形状から開発チーム内で“ホッケー ゴール”と呼ばれるアルミニウム製の後部を接合している。
これらの軽量かつ強靭さを誇る最新素材により、アンダーボディへの補強材やオープントップの開閉機構などをもちながら、S クラス カブリオレは、クーペにも劣らないねじれ剛性と、ほぼ同等の車両重量を実現している。
ドライビングアシストやセーフティには、Sクラス セダンやクーペ譲りのハイテク技術「インテリジェントドライブ」を搭載。歩行者検知機能付のPRE-SAFEブレーキや、ストップ&ゴー対応ディストロニックプラス、ブレーキアシストBASプラス、クロストラフィックアシスト、アクティブ レーンキーピング アシスト、アダプティブ ハイビーム アシスタント プラス、ナイトビュー アシスト プラスなどを標準採用。このほかにも、多彩な装備が用意されている。
Mercedes-Benz S Class Cabriolet|メルセデス・ベンツ Sクラス カブリオレ
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Sクラス カブリオレの姿があきらかに (3)
快適なオープンエアドライブを実現するハイテク技術
電動で動くソフトトップは約20秒で開閉が可能。時速60km/h以下であれば走行中でも動作し、リモコンキーを介して車外からの操作もおこなえる。リアにそなわるルーフの格納部分はトランクルームとは区分けされているが、屋根をクローズ中は自動的にこの格納部が持ち上がり荷室を拡大して使えるようになる。逆にオープンにするときには自動的に下がるが、荷物などが邪魔でスペースがないと判断すると操作がキャンセルされる。
Sクラス カブリオレでは、エアロダイナミクスの最適化にも注力されており、車体底面にパネルを貼る、フロントスプリッターのフィン形状を改良するなどを施し、Cd値は0.29を達成。これは、燃費向上やスポーツ性能にくわえ、オープン時の風の入り込みを抑制することも目的としている。
さらにオプションで用意されるオートマチック ウィンド プロテクションシステムは、スイッチを押すとリアシート背面に巻き込み風防止のリアディフューザーがせり上がるとともに、フロントウィンドウ上端にもネット状のディフューザーが7cmほど飛び出して上からの巻き込み風を防ぐ。また、SLクラスなどでもそなわる、ヘッドレストから温風を吹き出し首まわりを暖めるエアスカーフも装備している。
季節を問わずにオープンエアを楽しめるよう、初のインテリジェント クライメート コントロールシステム「サーモトロニック」を採用している。このフルオートマチック エアコンは、車内のネットワークから車両の状態などを取得するのにくわえ、太陽の熱を感知するものなど12のセンサーと18基のアクチュエーターで温度を最適に保つ。
オプションとして、センターコンソールとドアのアームレスト、マルチファンクション ステアリングに3段階ヒーティングを付加するウォーム コンフォート パッケージも用意。温度ではないが、室内の空気を調整する機能として、S クラスにも設定されたフラグランス機能であるエアバランスパッケージもオプションで指定ができる。
Mercedes-Benz S Class Cabriolet|メルセデス・ベンツ Sクラス カブリオレ
Mercedes-AMG S 63 Cabriolet|メルセデスAMG S 63 カブリオレ
Sクラス カブリオレの姿があきらかに (4)
AMG 63 カブリオレも登場
今回のフランクフルトでは、S 500 カブリオレと同時に、ハイパフォーマンスモデルメルセデスAMG S 63 カブリオレも登場する。用意されるのは左ハンドルのみの四輪駆動「S 63 4マティック カブリオレ」と、右ハンドルのみのFR「S 63 カブリオレ」の2モデル。
パワートレーンには、最高出力430kW(585ps)、最大トルク900Nmを発揮する5.5リッターV型8気筒ツインターボエンジンに、AMGスピードシフトMCT-7を組み合わせる。4MATICモデルでは、0-100km/h加速3.9秒、最高速度は250km/hでリミッター作動、そして燃費は10.4ℓ/100km(およそ9.6km/ℓ)というスペックだ。
複雑な鍛造工程を経るAMGライトウェイトアロイホイールやAMGハイパフォーマンス コンポジット ブレーキシステムを、バネ下重量の低減のみならず、クーペからコンバーチブル化にあたって、補強材やルーフの開閉機構による重量増をなるべく抑える目的でも採用されている。その結果、4マティックでの重量は燃料タンクを90パーセント満たした状態で2,110kgを実現した。
サスペンションは、AIRMATICを進化させたアダプティブダンピングシステム「ADS」付の「AIRMATIC プラス」を採用。タイヤサイズはフロント255/45R19、リア285/40R19を標準とし、フロント255/40R20&リア285/35R20の20インチも指定できる。また、AMGハイパフォーマンス セラミックブレーキ システムもオプションに設定されており、装着すると20パーセントの軽量化がはかれる。
この2台のメルセデスAMG S 63 カブリオレは、フランクフルトモーターショーでのお披露目のあと、12月に予約をスタート。デリバリーは2016年に入ってからが予定されている。