パワーリザーブを飛躍的に伸ばす新技術を公開

ミシェル・パルミジャーニ氏が立ち上げたマニュファクチュール、パルミジャーニ・フルリエは創立20周年を迎える。この記念すべき年の新作発表で発表されたのは、従来のゼンマイを数週間に伸ばす研究開発中というムーブメントだった。エスペラント語で、“永遠”を意味する「センフィネ」と名付けられているという。

航空宇宙産業で用いられる特殊な弾力素材により、あまねく脱進機のパーツを製造する。脱進機の形態は、懐中時計の時代のグラスホッパー脱進機とし、非常に細かにテンプの振動を制御する。しかし、パーツ同士の摩擦を低減させ、パーツそれぞれも弾性を発揮することで、パワーロスが極めて小さく、パワーリザーブの時間の延長を図れるという。現在、プロトタイプにより、耐衝撃性や温度変化への適応性の向上など実用化に向けての開発段階にあるという。

ブランド初の一体型クロノグラフで20周年を祝う

多くクロノグラフムーブメントは、基本となるベースムーブメントに、クロノグラフ機構を載せたプレートを取り付ける、モジュール方式で作られている。このベースムーブメントとクロノグラフ機構を分けることなく設計・製造されるのが一体型クロノグラフだ。当然、設計も製造も難易度は高い。なにしろ、ミシェル・パルミジャーニ氏ほどの熟練の時計師が一度作ってみたかったとコメントするほどなのだから。

そう、この「トンダ クロノール アニヴェルセール」は、20年記念モデルというだけでなく、ブランド初の一体型クロノグラフムーブメント、キャリバーPF361を搭載するという点でも記憶に残るモデルだ。

記念碑的モデルだけに機能や作り込みも半端ではない。スプリットセコンド機能、ビッグデイトを搭載し、振動数は毎時3万6000振動の超ハイビート。高品位のコラムホイール方式で、現代のクロノグラフらしい垂直クラッチを採用する。

地板や受け板などのパーツは18Kゴールド製で、シースルーバックから覗くその姿は、神々しいほどだ。そんな貴重なクロノグラフを愛好家なら、なんとか手に入れたいものだ。

トンダ クロノール アニヴェルセール
ケース｜18Kホワイトゴールド
直径｜42.1mm
厚さ｜14.6mm
ムーブメント｜手巻き（Cal.PF361）
機能｜スプリットセコンド・クロノグラフ（30分積算計、12時間積算計）、日付表示（2枚のディスクを使うビッグデイト）
＊グランフーエナメル ダイヤル
ストラップ｜アリゲーター（エルメス製）
防水｜30m
限定数｜25本
発売時期｜2016年夏予定
予価｜1822万5000円（税込）

Page02. ブランドの象徴的モデルのボディをシースルーに

ブランドの象徴的モデルのボディをシースルーに

まるでクルマのエンジンを想起させるようなフォルムで、直線的に並べられた歯車が印象的な「ブガッティ タイプ 370」は、そのメカニズムとシリンダー状のフォルムで12年前、時計ファンを驚かせた。さらにその進化型「ブガッティ スーパースポーツ」も発表され、型破りの開発力が話題となった。

そんな特殊なメカニズムは、クルマ好きをはじめとするファンの心を掴んで離さない。2016年の新作「ブガッティ スーパー スポーツ サファイア」は、ブランドの20周年にふさわしい特別なモデルだ。

ケース素材は、高級時計の風防やシースルーバックの素材であるサファイアクリスタル。物質の硬度としては、ダイヤモンドの次に硬く、フレームや文字盤以外、ほとんどこのサファイアクリスタルが使用されている。しかも、ムーブメントは、18Kローズゴールドであり、メカニカルでありながらラグジュアリーな世界が時計の中に展開されているのだ。

まさにアイコニックな機構とデザインであり、ブランドを象徴する逸品である。

ブガッティ スーパースポーツ サファイア
ケース｜18Kローズゴールド＋サファイアクリスタル
サイズ｜縦50.25×横37.1mm
厚さ｜23.2mm
ムーブメント｜手巻き（Cal.PF374）
機能｜パワーリザーブ表示
ストラップ｜アリゲーター（エルメス製）
防水｜10m
発売時期｜入荷未定
予価｜6812万5000円(税別）

Page03. シンプルなトンダも美しい仕上がり

シンプルなトンダも美しい仕上がり

素晴らしい技術と外装の冴えを見せるコンプリケーションやクロノグラフに目を奪われがちなパルミジャーニ・フルリエだが、決してベーシックなモデルをおろそかにしているわけではない。

今年ラインナップされる「トンダ 1950 メテオライト」を見ていても、そのことがにじみ出る。削ぎ落とされた究極のシンプリシティが品性をたたえる「トンダ 1950」は今日メゾンのアイコン的な存在となった。このモデルも、ラグジュアリーなリゾートに似合う優雅な面持ちである。

文字盤は、天然のメテオライト（隕石）から切り出されたもので、時計それぞれに2つとない模様が浮かび上がる。その模様を損なうことなく、夜空を思わせる深いダークマリンブルーに染め上げ、宇宙の神秘を身近に感じさせてくれる。切り出しから仕上げに至る職人の技を感じさせる。

シースルーバックから覗くムーブメントも、伝統的なコート・ド・ジュネーブが映える。ブリッジのエッジ部分の面取りが施されるなど、ディテールの至るところで、ていねいな仕事の跡がうかがえる。

トンダ 1950 メテオライト
ケース｜18Kローズゴールド
直径｜39mm
厚さ｜7.97mm
ムーブメント｜自動巻き（Cal.PF701）
ストラップ｜アリゲーター（エルメス製）
防水｜30m
発売時期｜2016年春予定
予価｜276万7500円（税込）