PARMIGIANI FLEURIER|パルミジャーニ・フルリエ ブガッティウォッチの第二弾
PARMIGIANI FLEURIER|パルミジャーニ・フルリエ
ブガッティウォッチの第二弾
昨年発表されたパルミジャーニ・フルリエのブガッティ スーパー スポーツ。超高額時計にもかかわらず、すでに日本でもオーナーがいるようだ。展示会用に「来日した」この時計をじっくり鑑賞させていただいた。
Photographs & Text by parametric
輪列と直角の文字盤で時刻を表示
ブガッティウォッチが登場したのは2004年だ。ケースデザインは独特で、ゼンマイの巻き上げには専用工具が必要。それまでの時計らしい時計を作っていたパルミジャーニ・フルリエの延長線上にはない異質な時計だった。価格もすごい。
少々乱暴ないいかたをすると、初代ブガッティウォッチは、平たい円盤(普通の時計)を縦方向に伸ばして細長い円柱状にし、それを倒して横置きした時計ということになる。デザインモチーフはエンジン(シリンダーらしいがトランスミッションのほうがそれらしい)。リュウズはない。
ムーブメントは「手巻き」の10日巻きだがリュウズがないので、ペン型の専用工具を使ってゼンマイを巻き上げる。実用的かどうかは別として、楽しい仕掛けではあった。また、当時はディファレンシャルギアを使用したムーブメントがいくつかのブランドから発表されており、パルミジャーニ・フルリエもパワーリザーブインジケーターに差動装置を採用。このほうがより正確に残り時間を表示できるという。
初代のエンジン形フォルムに対し、今回のブガッティ スーパー スポーツのケース形状は横から見て滴形。昔のフォルマ、いまのカルパやトンダのラグ形状の系統だ。以前ミッシェル・パルミジャーニ氏を取材したとき、黄金矩形の図を使いながらこの曲線の美しさを熱心に説明してくれたのだが、かなりこの滴形に惚れ込んでいるという印象を受けた。ブガッティ ヴェイロンの流線的なボディを独自に表現したフォルムというが、ミッシェル・パルミジャーニ氏自身の好みでこの形状にしたという気もする。
前作同様ドライビングウォッチということで文字盤は手首に対して立ち上がっている。ただし、今回のブガッティ スーパー スポーツのムーブメントは横置きではなく通常の時計と同じ方向でケースに収っているので、機構は複雑だ。普通の時計はリュウズ用の軸を除いて他のすべての軸は同じ方向。xyz座標軸で表現すれば、リュウズの軸がx軸、文字盤に下にある輪列などの軸がy軸となる。しかしブガッティ スーパー スポーツは時刻表示のためz軸が増えたユニークな構造となっている(正確にいうとy軸とz軸は直角ではないが)。
今回のブガッティ スーパー スポーツも機能は時刻表示とパワーリザーブインジケーターのみ。しかし、大きいリュウズがついている。前作の巻き上げ法はおもしろいギミックだったが、ケース裏側が傷だらけになるのは容易に想像がつく。
リュウズを120回ほど回すと10日分のゼンマイを巻き上げられる。ロングパワーリザーブを使ったことがあればわかると思うが、小さいリュウズを何十回も回すのはかなり大変な作業。だいたい人差し指が痛くなる。しかしこのブガッティ スーパー スポーツはリュウズが大きいので、巻きにくくはない。
時刻合わせはちょっとコツが必要だ。リュウズを押しながら4分の1くらい手前に回転させるとロックが外れ、それからリュウズを手前に引いて時刻を合わせなくてはならない。ムーブメントの中心からオフセットされているので操作の工程が増えたという。
このムーブメントにもパワーリザーブインジケーターにディファレンシャルギアを使用している。
撮影した時計は差し色としてパワーリザーブインジケーターや文字盤の一部に赤色が使われている。このほかオレンジ、シルバー、グリーンがある。ケース素材は18KWGのみ。限定数は各30本。
BUGATTI SUPER SPORT
価格|3412万5000円
18KWGケース
手巻き
36.0×50.7mm
1気圧防水
前作同様、独特なフォルム。針とパワーリザーブインジケーターの色はこの赤のほか、オレンジ、シルバー、グリーンがある。各30本限定。
DKSHジャパン
Tel.03-5441-4515