真冬でも楽しめる24時間ホットプールと、沖縄食材のシチリア仕立て。「星のや沖縄」は、計算された大人の楽園です|TRAVEL

ブルーと白を貴重にした爽やかな設え。「星のや沖縄ダイニング」

LOUNGE / TRAVEL
2021年12月29日

真冬でも楽しめる24時間ホットプールと、沖縄食材のシチリア仕立て。「星のや沖縄」は、計算された大人の楽園です|TRAVEL

TRAVEL|星のや沖縄

連載再スタート|「知る」は、おいしい!リターンズ 星のや沖縄編(2)

沖縄+シチリア=琉球シチリアーナ

「星のや沖縄」のダイニングのコンセプトは“琉球シチリアーナ”。沖縄食材を、シチリア料理の技法で仕上げる、“うっきうき”のコースです。
でも何故、シチリア? スタッフにこの素朴な疑問を尋ねたところ、「シチリアと沖縄はほぼ緯度が同じで、柑橘や魚介など採れる食材も似ています。調理法は異なりますが、食文化は通じるところがあるんですよ」と教えてくれました。なるほど、シチリアも、沖縄も、本土と異なる独自の食文化を築いているところも似ているかもしれません。
柑橘でいただくサッパリとした沖縄食材。これ、疲れを癒やす旅のなかで食べ疲れさせない、とってもいいアイデアだと思います。
味わいも、コスパのバランスも大満足。ワインがお好きなら、ペアリングしないともったいないです。全力推奨!!
Vernaccia Di Oristano 2015(イタリア サルディーニャ州)
Mosnel Franciacorra Brut Naturre NV(イタリア ロンバルディア州)
Macedonia Rose De Xinomavro 2019(ギリシャ ナウサ)
COS Frappato 2019(イタリア シチリア州)
Benanti Etna Bianco 2019(イタリア シチリア州)
Chianti Classico Riserva 1998(イタリア トスカーナ州)
Donnafugata Ben Rye 2017(イタリア シチリア州)
今回は、全8品のコースからなる「琉球シチリアーナ」をいただいいたのですが、その一部をご紹介しますね。まず、イタリアワインで構成されたペアリングも用意されているので、お酒がお好きな方には、こちらも合わせてオーダーすべしと、全力で推奨しておきます。
さて、ワクワクどきどきの料理ですが、なんといっても度肝を抜かれたのは、「ストゥッツィキーニ」と呼ばれる前菜の盛り合わせ。ヤギ肉のサルシッシャだったり、シークワーサーが香るアランチーニだったり、シチリアと沖縄を融合させる「琉球シチリアーナ」を“まんま”体現する前菜9点が、琉球王国の宮廷料理に使われた「とぅんだーぶん(東道盆)」をイメージした器に華やかに盛り付けられて運ばれてきます。
インパクトありまくり! のこの器は、もちろんオリジナル。蓋の表には、シチリアの街と沖縄の海と太陽が、外側には作家からシチリア語や日本語を織り交ぜた、ゲストへのメッセージが描かれていました。
シチリアで定番のパスタ「パスタ・コン・レ・サルデ」は、シチリアではイワシを使いますが、こちらでは「沖縄の魚」にも指定されているグルクンを使用。パスタにはフェンネルの茎の部分が入っていて食感も楽しい一皿です。ちなみにフェンネルは、沖縄ではイーチョーバーとして親しまれている命草だったりします。たしかにシチリアと沖縄には、いくつもの共通点がありそうです。
で、こちらに合わせるワインは、イタリアの土着品種であるフラッパート。パスタ・コン・レ・サルデとフラッパートはシチリアでは王道のマリアージュで、「星のや沖縄」でも開業以来、ずーっとこの組み合わせで提供しているそう。しっかりとした酸味があり、余韻にスパイシーさを持つ赤ワインは、ガーリックな香りとオイリーな口当たりを洗い流してくれます。鉄板ですなっ。
魚料理は、「赤マチのカルトッチョ」。“カルトッチョ”とは蒸し焼き料理のことで、沖縄の3大高級魚のひとつである赤マチを昆布とワカメで蒸し上げ、ハマグリの出汁やトマトを添えています。さらにシチリアではバジルで作るソースには、沖縄らしくフーチーバー(ヨモギ)を添えて。こちらに合わせる白ワイン土着品種カリカンテ100%で造るベナンティの「エトナ ビアンコ」。これがまた悶絶ものでして、ミネラル感たっぷりの白ワインは海藻と一緒に炊き上げた赤マチの旨味と風味を高めてくれます。
極度の興奮状態のせいか、料理とワインのバランスを見誤ってしまい、ワインを早々に飲み切るという、切ない思いをしたことをここで告白しておきます。
「カンノーロ」(琉球シチリアーナのコースより)
メインデゼールはシチリアの伝統的なお菓子「カンノーロ」ですが、提供してくれたスタッフさんは、「伝統のカンノーリを少しスタイリッシュにまとめました」と、にっこり。なるほど、パリパリの皮やリコッタチーズなど、構成素材は同じですが、大胆にアレンジされています。そして、タンカンのソースのほんのりとした苦みがたまりません。
ダイニングでの朝食は「琉球朝食」「シチリア朝食」の2択になります。
「琉球朝食」は沖縄の伝統的な食材や料理を盛り込んだ逸品。メインを張るのは、近海であがった魚を泡盛で似たマース煮です。「シチリア朝食」は「琉球シチリアーナ」の朝食版と言っていいでしょう。季節によって異なるスープは、この冬はミネストローネが登場。柑橘を使ったサラダは、身体に染みわたる瑞々しさ。前日の泡盛のダメージを軽減してくれることでしょう。
シチリア伝統の具沢山の野菜のスープは、紅芋、金目人参といった沖縄の野菜を加えて仕上げています。また2021年12月からパンのラインナップを一新したとのこと。「かなり力を入れて開発しました!」と言っていたので、書かないわけにはいきません。新メンバーのなかでもイチオシは、人参のジェラートをはさんだブリオッシュ。ここ最近、大人気のマリトッツォですが、シチリアではジェラートを挟むそうなんです。朝からジェラート? と正直、思ったのですが、人参のジェラートは甘さも控え目で、食事感覚でいただけます。
ギャザリングサービスのメニューは30種類以上。沖縄料理、洋食、中華などバラエティ豊かです。コースでも、アラカルトでも。
で、ですね、「星のや沖縄」には、もうひとつ特徴的な食事方法がありまして、それが、シェフが下ごしらえをしたメニューを、自分の好きなタイミングで仕上げて部屋で食す「ギャザリングサービス」です。ここで「土間ダイニング」が再登場(笑)。「土間ダイニング」には、オーブンレンジ、水場など簡単な調理機能が備わっているのです。
ダイニングはダイニングで素晴らしいのですが、時間に縛られることなく、潮風を感じながら、のんびり客室でいただけるのも有難い! これはぜひどちらも体験すべし、です。
「いやいや旅先で調理はしたくない」「料理苦手なんですけど」という貴方、ご心配には及びません。料理には作り方を記したメモがついていますし、QRコードから調理動画を呼び出すことも可能。そもそも単に温めたり、盛りつけたりすればいいだけ。余裕綽々ですよ。
さて、駆け足でモリモリと紹介をしてしまいましたが、付いてきていただけたでしょうか(笑)。じつは今回触れられなかった関連施設があるのですが、それはおいおい別記事でご紹介させていただく予定です!
「星のや沖縄」は、部屋に籠もっても、屋外でアクティブに過ごしても、ご機嫌な時間を過ごせる仕掛けが施されているディスティネーション。誰と行って、どんな風に過ごしても確実に楽しめる旅館・ホテルは、なかなかありません。季節や天気もしかり、です。
どの季節に訪れても、たとえ雨が降っていたとしても、沖縄旅を存分に満喫できるのは、「星のや沖縄」の最大の強みなんじゃないでしょうか。
海に面した机で、黄昏れてみたい……。
星のや沖縄
住所|沖縄県中頭郡読谷村儀間474
客室数|100室
チェックイン/チェックアウト|15:00/12:00
宿泊料|1泊13万6000円~(1室あたり、税・サービス料別、食事別)
交通|那覇空港からクルマで約1時間(有料にて空港リムジンバスあり)
問い合わせ先

星のや総合予約
Tel.0570-073-066
https://hoshinoya.com/

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