MOVIE|石井裕也監督が家族と向き合った『ぼくたちの家族』
MOVIE|母親が“余命1週間”を告げられたとき、家族はなにができるのか?
石井裕也監督が家族と向き合った『ぼくたちの家族』
近年、話題作を発表しつづけている石井裕也監督が“家族”と向き合った『ぼくたちの家族』。ある日突然、母親が余命一週間を言い渡された一家の姿を描く。5月24日(土)より、新宿ピカデリーほか全国公開される。
Text by YANAKA Tomomi
早見和真氏の同名小説を映画化
『川の底からこんにちは』やアカデミー賞外国語映画賞の日本代表に選ばれた『舟を編む』など、数々の賞を受賞し、国内外から注目される存在となった石井裕也監督。「本気で家族というものに向き合いたかった」と語る彼が新作として選んだのは、母親の急な死の宣告を前に“悪あがき”する家族の姿を描いた、早見和真氏の同名小説の映画化だった。
キャストは、長男役の妻夫木聡が普通の男をつややかに演じ、次男には出演作が続々と公開されている若手俳優の池松壮亮。また父親役には長塚京三、母親役には原田美枝子と、日本映画界を代表する演技派が顔をそろえた。
母の死を前に、父は取り乱し、長男は言葉をなくし、次男は冷静を装う
ある日突然、若菜家の母・玲子に脳腫瘍が見つかった。症状はすでに末期。余命1週間を宣告されてしまう。急な出来事に、父は取り乱し、長男の浩介は言葉をなくし、次男の俊平は冷静を装う。
母の記憶は脳の腫瘍のせいであいまいになっていき、息子の浩介さえも誰かわからなくなるほど。振る舞いも少女のようになっていき、ひた隠しにしていた家族への不満や本音が露見し、男たちは“ぐう”の音も出ない。さらに、父の多額のローンと母のサラ金通いが発覚。浩介たちは自分たちの家族がとっくに壊れていたことを思い知る。
家族になって27年。これまでに培ってきたのは、波風を立てないことと、見えない借金。しかし、浩介と俊平はここで終わらせることがないよう、悪あがきを決意して――。
つい昨日まで普通だった家族に訪れた事件。これまで描かれることのなかった、どこにでもあるような家庭の真実の姿に迫る作品だ。
『ぼくたちの家族』
5月24日(土)より、新宿ピカデリーほか全国ロードショー
監督・脚本│石井裕也
出演│妻夫木聡、原田美枝子、池松壮亮、長塚京三
配給│ファントム・フィルム
2014年/日本/117分
http://bokutachi-kazoku.com
Ⓒ 2013「ぼくたちの家族」製作委員会