MOVIE|映画史に輝く巨匠のドラマティックな人生『ロマン・ポランスキー 初めての告白』
MOVIE|映画史に輝く巨匠が、栄光と悲しみに彩られたドラマティックな人生を激白
ドキュメンタリー『ロマン・ポランスキー 初めての告白』
2002年公開の『戦場のピアニスト』でカンヌ国際映画祭のパルムドールとともにアカデミー賞監督賞をダブル受賞するなど、あまたの傑作を生み出してきた巨匠ロマン・ポランスキー監督。彼が自らの言葉で激動の半生を振り返るドキュメンタリー『ロマン・ポランスキー 初めての告白』が、6月1日(土)より渋谷シアターイメージフォーラムにて6週間限定でロードショーされる。
Text by YANAKA Tomomi
ドキュメンタリーの上映を記念し、初期の名作4本も同時上映
世代や国籍を超越してスターたちをキャスティング、心理劇やスリラー、フィルム・ノワール、ラブロマンス、オカルト……ジャンルを越境して映画史に残る傑作をスクリーンで披露してきたロマン・ポランスキー監督。彼が自身の生い立ちから現在までの激動の人生を自らの言葉で赤裸々に語るドキュメンタリーが、公開される。
1970年代に児童わいせつ容疑がかけられたままアメリカから国外逃亡したことで、2009年から2010年にかけてスイスの自宅で軟禁されたとき、彼の長年のビジネス・パートナーであるアンドリュー・ブラウンズバーグがロングインタビューを決行。親しい友人相手に自分のすべてをさらけ出し、時には涙すら浮かべながら困難を乗り越え、映画製作をつづけてきたポランスキーのドラマティックな人生がいま解き明かされる。
また、本作の公開と同時にポランスキー監督の初期の名作4本もシアターイメージフォーラムで上映。『ローズマリーの赤ちゃん』(1968年)、『水の中のナイフ』(1962年)、『反撥』(1965年)、『袋小路』(1966年)が勢ぞろいし、あらためて彼の偉大さを垣間見ることができる機会となっている。
映画のような人生を「映画監督」として生きつづけてきたポランスキー
ロマン・ポランスキー監督は1933年にフランス・パリで誕生。幼少期に家族でポーランドに移住するも、第二次世界大戦中、一家はユダヤ人ゲットーに移された。母親はアウシュビッツで死亡、彼は父親の助けを受けてゲットーを脱出し、戦争を生き延びる。
その後は大好きな映画を学ぶため、ウッチ映画大学で学び、1962年に初の長編作品『水の中のナイフ』を発表。国際的に高い評価を得た後、イギリスに移り、1965年に『反撥』、1966年に『袋小路』を監督。さらにハリウッドで1968年に発表されたオカルト映画の金字塔ともいわれる『ローズマリーの赤ちゃん』でその名は世界に轟くこととなる。
しかしその1年後、彼に悲劇が襲う。妊娠していた妻で女優のシャロン・テイトが、カルト教団チャールズ・マンソン・ファミリーらによって殺害されてしまうのだ。そんななかでもポランスキーは1974年の『チャイナタウン』で見事に復活。そして児童わいせつの容疑をかけられ国外逃亡など数々のスキャンダルに見舞われながらも、『テス』(1979年)など多くの話題作を精力的に撮りつづけてきた。
そして、2002年。『戦場のピアニスト』でパルムドールを受賞するという人生最大の快挙を達成。しかし、そこに行き着くまで、彼には幾多もの訪れた悲しい別れや波乱万丈の日々があった──。
まるで映画のような人生を「映画監督」として歩きつづけてきたロマン・ポランスキー。彼は一体何者なのか。静かで、そして生きる希望を感じさせるドキュメンタリーは私たちの心を震わせる。
『ロマン・ポランスキー 初めての告白』
6月1日(土)より渋谷シアターイメージフォーラムで6週間限定公開
監督│ローラン・ブーズロー
出演│ロマン・ポランスキー
配給│マーメイドフィルム
2012年/イギリス・イタリア・ドイツ/90分
http://mermaidfilms.co.jp/rp
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