河瀨直美監督、最新作『あん』
ドリアン助川の小説を樹木希林主演で映画化
河瀨直美監督、最新作『あん』
『殯(もがり)の森』カンヌ国際映画祭でのグランプリ受賞など、世界を舞台に創作をつづける河瀨直美監督がはじめて小説の映画化に挑んだ『あん』。5月30日(土)より、全国ロードショーされる。
Text by YANAKA Tomomi
芸暦半世紀を超え、樹木希林と市原悦子のはじめての共演が実現
『萌の朱雀』で史上最年少のカンヌ国際映画祭新人賞に輝くなど、徹底したリアリティを追求してきた河瀨直美監督。彼女がドリアン助川の同名小説を、樹木希林をはじめ豪華キャストを迎えて映画化した『あん』が到着した。
ハンセン病を経験し、壮絶な人生を送ってきた主人公の徳江役には、ベテラン女優の樹木希林。また彼女を雇う、どら焼き屋の店長には永瀬正敏、樹木のアドバイスで出演が決まり、お互い芸歴半世紀を超えながらはじめて共演が実現した市原悦子と豪華なキャストが集結。樹木の孫である新星、内田伽羅の演技にも注目だ。
撮影現場では、撮影開始の合図もなく、スタッフがその場の風景に同化し、声を潜めて撮影するという河瀨監督によるカメラワークは今回も健在。日本、フランス、ドイツの経験豊かな“河瀨組”が監督の創作をサポートした。
雇われ店長の千太郎と老女、徳江。心ない噂が彼らの運命を翻弄する
刑務所から出所し、縁あってどら焼き屋の雇われ店長として単調な日々を過ごしていた千太郎。ある日、彼のもとに店の求人募集の張り紙を見たひとりの老女、徳江が働くことを懇願しにやってくる。
徳江がつくるあんこの味に魅了された千太郎は、彼女にどら焼きの粒あんづくりを任せることに。彼女の粒あんはあまりにもおいしく、みるみるうちに店は繁盛していくのだった。しかし、心ない噂が彼らの運命を大きく変えていく――。
徳江を軸に、生きる意味や森羅万象のなかで生かされている人間をテーマにした『あん』。一見小さな出来事のようで、壮大な物語が紡がれる原作のメッセージに河瀨直美監督が共感するとともに、「これを映画化させないといけない」という使命感から生み出された本作は、河瀨監督の新境地となっている。
『あん』
5月30日(土)より、全国公開
監督・脚本│河瀨直美
出演│樹木希林、永瀬正敏、内田伽羅、市原悦子、水野美紀、太賀、兼松若人、浅田美代子
配給│エレファントハウス
2015年/日本・フランス・ドイツ/113分
http://an-movie.com
© 2015 映画『あん』製作委員会/COMME DES CINEMAS/TWENTY TWENTY VISION/ZDF-ARTE