ART|恵比寿の街に飛び出した『恵比寿映像祭』
ART|視点を変えることであたらしいアートの可能性を問い直す
恵比寿の街に飛び出した『第7回恵比寿映像祭』
映像とアートの国際フェスティバル『恵比寿映像祭』が2月27日(金)に開幕。今年は例年おこなわれていた東京都写真美術館の休館を機に恵比寿の街に飛び出し、恵比寿ガーデンプレイス、日仏会館などを中心に10日間にわたって、多彩な展示やイベントが繰り広げられる。
Text by YANAKA Tomomi
今年のテーマは「惑星で会いましょう」
年に一度、東京・恵比寿の地で展示、上映、ライブ、イベント、パフォーマンスなどが開催されている『恵比寿映像祭』。7回目を迎える今年は「惑星で会いましょう」がテーマだ。私たちの住む地球も、視点を変えてみれば宇宙の無数に存在する惑星のひとつであるように、複層化する世界に向き合い、再発見できるような手がかりが提示される。
恵比寿の街に点在する会場では、国内外のアーティストが作品を出品。なかでも注目されているのが、イギリスの名誉あるターナー賞を昨年受賞したダンカン・キャンベル。ターナー賞を受賞した「It for Others」「Bernadett」が上映プログラムに登場するほか、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』にタイムマシンとして登場したデロリアンをめぐる物語『Make it New John』もインスタレーションとして展示する。
また国際的に活躍するポーランド出身の現代アーティスト、パヴェウ・アルトハメルや、アメリカからはライアン・トラカートゥンらも参加し、国際色豊かな作品がお目見え。日本からも、岡本太郎が色彩指導とパイラ星人の造形を担当した『宇宙人東京に現わる』は35mmで「爆音上映」される。
ビデオの社会的コミュニケーションの役割に着目し、芸術活動の可能性を模索した1972年に結成された日本のビデオアートの先駆「ビデオひろば」からは中谷芙ニ子、かわなかのぶひろらの作品を紹介。上映プログラムでは約60年ものキャリアをもつ実験映画の巨匠、ケン・ジェイコブスの近年の代表作を含む3作品も特集される。
例年大型の作品が屋外に展示されるオフサイト展示では新進気鋭の映画監督、瀬田なつきによる回遊式の短編映画作品『5windows』は恵比寿特別編へと進化。旧作5本にくわえ、恵比寿周辺を舞台に撮影された新作2本を含む計7本が恵比寿ガーデンプレイスセンター広場などで展示される。さらに、日本を代表する写真家ホンマタカシによる新作ビデオインスタレーション『最初にカスケがやってくる』も日仏会館で展示される。彼は今回、映像作品などをつうじて人間に内在する“野生”を浮き彫りにするという。
週末には出品作家によるライブプログラムも開催。山口典子による『KEITAI GIRL』や、DIYの電子工作で展示を構成する堀尾寛太、主にアメリカと日本で活躍する久野ギルがテクノアーティストKENISHIを迎えたライブなど、魅力的なパフォーマンスがラインナップされている。
視点を変えることであらたに見えてくる現在、未来、そして過去。未知の惑星を訪れるように、いまの世界をあらたな視点で探検し直すことで、アートの可能性はさらに広がっていくことであろう。
第7回恵比寿映像祭「惑星で会いましょう」
日程|2月27日(金)~3月8日(日)
時間|10:00~20:00 ※最終日は~18:00
料金|入場料無料 ※定員制の上映プログラム、イベントなどは有料
会場|ザ・ガーデンホール、ザ・ガーデンルーム
東京都目黒区三田1-13-2 恵比寿ガーデンプレイス内
恵比寿ガーデンプレイスセンター広場、日仏会館ホール・ギャラリーほか
東京都渋谷区恵比寿3-9-25
問い合わせ|恵比寿映像祭
Tel.0570-012-378(10:00~18:00、会期以外の土日祝を除く/会期中は、開催時間通り)
www.yebizo.com