AAF|建築レクチュアシリーズ217 建築家 塚本由晴の思想を探る
AAF通信│建築レクチュアシリーズ217
建築家 塚本由晴の志向性を探る
大阪を拠点に活動をおこなう二人の建築家、芦澤竜一氏と平沼孝啓氏が、ゲスト建築家を招聘し年に7回(2カ月に1度、午後7時から)開催されるトークセッション「建築レクチュアシリーズ217」。今回はゲストに建築家の塚本由晴氏を招き、12月17日(火)グランフロント大阪のコクヨ梅田ショールームにて開催される。
Text by OKADA Kazuyuki(OPENERS)
都市に“馴染む”建築をつくり出す
建築家による芸術と社会環境の発展を目指すAAF(NPO法人アートアンドアーキテクトフェスタ)が主催する「建築レクチュアシリーズ217」は、建築家同士の刺激的な交流の場として、学生や若い建築家、そして一般の建築好きから大きな支持を集めるトークセッション。毎回、芦澤氏と平沼氏という同年齢のふたりの建築家に、ゲストで招いた著名な建築家をくわえ、建築の可能性と思想を探っていく。
今回のゲストは、建築家の塚本由晴氏。貝島桃代氏とともに、建築事務所「アトリエ・ワン」を主宰。アトリエ・ワンの「ワン」の由来は、貝島氏が昔飼っていたという犬の鳴き声からきたものだ。そのため、英語圏での活動の際には、現地の犬の鳴き声に基づき「Atelier Bow-Wow」と表記するという。
塚本氏らが生み出すニュートラルなテイストの建築作品は、まるでその場所にずっと前から存在していたかのような、“馴染み”を生み出す。2011年に全面リニューアルした渋谷の「宮下公園」は、今や都心の遊び場として定着しているが、これも塚本氏率いるアトリエ・ワンよって生み出された作品だ。
近年では海外にも活動の場を広げており、今年、フランスのパリに竣工した「rue rebiere」は、多数の建築家たちと同じエリアに集合住宅を計画したプロジェクト。パリの街並みは、古い建物が並び、あたらしい建物を受け入れないような雰囲気があるが、塚本氏が手がければ、まるで都市の時間の流れを読み込んだかのような建築が誕生する。
自身が准教授を務める東京工業大学の塚本由晴研究室では、学生の研究でありながら、高いレベルで実社会に問題提起を投げかける。これまでにも、アトリエ・ワンと共同で実作品をつくり出し、その実績は建築系教育機関のなかでも高く評価されている。また、海外から留学生が多く集まっているのも、この研究室の特徴のひとつだ。
建築家、そして教育者としても活躍する塚本氏の、“建築”の思想を探ることができるトークイベント。今回の会場はJR大阪駅すぐそばの「グランフロント大阪」のため、他府県からもアクセスしやすくなった。関西在住の建築好きであれば、ぜひ足を運びたくなるイベントだ。
建築レクチュアシリーズ217
ゲストスピーカー│建築家 塚本由晴
日程│12月17日(火)
時間│開場18:00/開演19:00 終了20:30
会場│グランフロント大阪 コクヨ梅田ショールーム
大阪府大阪市北区大深町3番1号 グランフロント大阪 ナレッジキャピタルタワーC 11F
入場料|1000円
定員│100名(事前申込制、当日会場にて先着順座席選択)
申し込み方法│ウェブページより受付
www.217.aaf.ac
特定非営利活動法人(NPO法人)アートアンドアーキテクトフェスタ
www.aaf.ac
塚本由晴|TSUKAMOTO Yoshiharu
建築家。東京工業大学大学院准教授、博士(工学)。1965年神奈川県生まれ。87年東京工業大学工学部建築学科卒。 87~88年パリ建築大学ベルビル校。92年貝島桃代とアトリエ・ワンとして活動開始。94年東京工業大学大学院博士課程修了。2000年~現在、同大学大学院准教授。03、07年ハーバード大学大学院客員教授。07、08年UCLA客員教授。2011~12年デンマーク王立アカデミー客員教授。2013年京都精華大学客員教授