INTERVIEW|写真家ジュリア・フラートン・バッテン インタビュー
LOUNGE / ART
2015年2月16日

INTERVIEW|写真家ジュリア・フラートン・バッテン インタビュー

INTERVIEW|ジュリア・フラートン・バッテン 写真展
『Mothers and Daughters』

写真家ジュリア・フラートン・バッテン インタビュー

独特な表現で知られているドイツ人写真家、ジュリア・フラートン・バッテン(Julia Fullerton-Batten)。2月9日(土)から2月21日(木)までと、3月2日(土) から3月14日(木)までの二部にわけ、東京アーツ・ギャラリーにて日本での初個展を開催中。2012年に発表したのプロジェクト「Mothers and Daughters(母と娘)」が展示される。

Interview by Winsome Li (OPENERS)Photographs (portrait) by JAMANDFIX

親子の結びつきの深みを映す

──「母と娘」シリーズを撮りはじめたきっかけとは?

今回の「母と娘」シリーズは、10代の自分からインパイアされた「Teenage Stories(10代のストーリー)」の続きとしてはじめました。

──作品のコンセプトを教えてください。

自分のファミリー ライフを映すように、私と母の関係、そして、母と祖母の関係が主なコンセプトになります。作品はそれぞれのストーリーを表現しています。

──「母と娘」の関係はジュリアさんにとって、特別なことですか?

私は二児の母ですが、息子ふたりととても仲がいいです。でも、「母と息子」より「母と娘」の間には何かスペシャルな関係が存在すると思います。女の子はお母さんと同じ成長過程をたどる。思春期をはじめ、さまざまなステージを貫いて成長する彼女たちは、自分に対して多くの疑問を持つと思います。時々母は娘を過保護にし、娘は嫌悪を感じることがある。愛と憎みが共存する複雑な関係なのです。

──撮影はどのように行いますか?

私は実際の親子、そして、彼女たちの家で撮影をしたいので、ひとつの作品に対して、被写体探しから作完成するまで3~6カ月かかるものもあります。私のキャスティングマネジャーが被写体を探してくれて、キャストは一般人も、アーティストもいます。紹介してくれた親子ふたりにはじめに会い、時間をかけて彼女たちの生活や関係性について観察します。そして、家に直接出向き、家のさまざまな場所の写真を撮ります。私はその写真から作品の舞台を選び、本番の撮影を始める。とても長いプロセスですね。

──撮影用の服や小道具はどのように準備しますか?

いつもはスタイリストとヘアメイクアーティストにと一緒に、作品用の道具と服装を考えます。私はヴィンテージファッションがとくに好きで、時々、自分自身でスタイリングもします。服の色、柄、素材の要素を作品に反映したいので、普通のハイストリート・ブランドだとうまく伝わないように感じます。逆に古着は個性を引き出すことができます。私の母もよくこういう感じの服を着るので、古着は私の作風と相性がいいと思います。

──この独特な表現方法を取り入れた理由は何がありますか?

私の作品を見た人に“ちょっと変な”雰囲気を感じさせたい。写真が全体的にシュールな世界観を表現するため、照明にとてもこだわっています。昼光をほとんど使わず、自分で照明を細かく設定して、雰囲気を作ります。人工の照明は、プレーンな背景をとてもユニークに変化させることができます。

──作品のストーリーは撮影した親子の実情ですか?

ストーリーはほとんどが私自身、私の母と姉妹の経験です。
たとえば、「The Wedding Day」の作品コンセプトは、結婚式の日を控えた親子。ふたりともあまりうれしそうでない表情に映っている。実は私の母の話です。母は妊娠し、心の準備ができないまま急いで結婚したんです。

──一番好きな作品は?

一番好きな作品は「Departure」ですね。セッティング、雰囲気、家のスタイルなどが気に入っています。この作品のために、似ている親子を相当な時間をかけて探しました。彼女たちは本当によく似ていて、姉妹みたいですね。そして、私が母と離れるときに感じる気持ちを表わしました。母はドイツに住んでいて、私はロンドンに暮らしているので、この年になっても、毎回離れるときにとても寂しくなります。自分の気持ちと最も繋がった作品と思います。
ジュリア・フラートン‐バッテン インタビュー 06

──ほかの作品シリーズも含めて、インスピレーションはどこから?

日常生活、ほかの写真家の作品、絵画とアート展、建築、など、インスピレーションは至るところから得ています。

──今後、何かチャレンジしたいことはありますか?

最近完成したプロジェクトですが、初めて盲人のポートレートを撮りました。いままでに試みたことがなかったのですが、被写体にインタビューしてから撮影しました。今回の盲人ポートレートのシリーズはいつもとまったく違うアプローチで撮影したので、自分にとっては新しいチャレンジです。

ジュリア・フラートン-バッテン 写真展 『Mothers and Daughters』

会期│2月9日(土)~2月21日(木)/3月2日(土)~3月14日(木)全20作品の展示 ※月曜は休館日

時間│11:00~20:00

会場│東京アーツ・ギャラリー

東京都渋谷区東2-23-8

Tel. 03-6427-6665
http://www.tokyoartsgallery.com

           
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