女たちがつくる明日への希望
女たちがつくる明日への希望
浜のミサンガ「環」
津波により一瞬にして多くのものを失った三陸の人びと。震災後、瓦礫撤去などの力仕事がある男性に対し、水揚げや番屋の手伝いをしていた“浜の女たち”の仕事はなくなってしまった。そんな彼女たちが明日への希望を込め、魚網(ぎょもう)を使って編んだ浜のミサンガ「環(たまき)」が注目を集めている。
Text by YANAKA Tomomi
販売代金1100円のうち、576円がつくり手の女性たちの元へ
被災し、仕事を失った人たちの「雇用創出」や「自立支援」「やりがい」などの支援とサポートを展開している「三陸に仕事を!プロジェクト」の呼びかけによりつくられはじめた「環」。現在は、岩手県の陸前高田や釜石、大船渡、山田、大槌、宮城県の南三陸、石巻など津波被害が大きかった地域の女性ら約300人が、ひとつひとつ手作りでつくり続けている。
生きる糧であり、楽しさ、生きがいでもあった仕事を津波により失った“浜の女たち”。そんな彼女たちに手仕事による収入を届けようとはじまったこのプロジェクト。「環」は幅広に編んだミサンガと細いミサンガの2本1セットで、販売代金1100円のうち、材料費や販売経費、諸経費を除いた576円がつくり手の女性に届く。また、材料である網を切ったりと、つくり手を陰で支えている地元のひとや企業にも1セットあたり約150円が支払われるほか、魚網も三陸でつくられたものを使用するなど、三陸にこだわり、地元にお金が届くシステムが築かれた。
風合いのある白の麻紐とえんじの魚網が組み合わされたミサンガは、現在、麻紐が白のほか、ピンクやグリーンなどのカラーも展開。好きなカラーを選んだり、洋服にあわせた気軽なアクセサリーとして楽しめる。
他団体もこの活動をサポート
また、被災地や途上国などを支援するため、趣旨に賛同する著名人により提供された品をオークションにかけ、必要な手数料を引いた全額を寄付するという活動を行っているハートブリッジ(HEARTS BRIDGE)も「三陸に仕事を!プロジェクト」に賛同。ハートブリッジが寄付を集め、被災地に届ける復興支援活動「イマワタシタチニデキルコト」において「環」1000本を購入し、復興支援の活動をおこなっているという。
日本古来のブレスレットの呼称でもある「環」。浜の女たちがひと編み、ひと編みに希望や三陸の復興への願いを込めてつくったミサンガは、被災地と私たちをつなぐ“環(わ)”となっている。
三陸に仕事を!プロジェクト
http://www.sanriku-shigoto-project.com