The garbstore|デザイナー イアン・ペイリーが秋冬の新作を解説
FASHION / NEWS
2015年3月12日

The garbstore|デザイナー イアン・ペイリーが秋冬の新作を解説


The garbstore|ザ ガーブストア


2013-14年 秋冬コレクション


デザイナー イアン・ペイリーにインタビュー



「The garbstore(ザ ガーブストア)」。「garb」は、「洋服」という意味をもつ、現在では一般的に使用されることは少ない、消え去りつつある過去の言葉だという。ザ ガーブストアが生み出すヴィンテージのフィーリングを感じさせるアイテムは、まったくのリプロダクションではなく、現代に必要とされるディテールの足し引きをして、あたらしいものとして提示されている。デザイナーのイアン・ペイリー氏に、2013-14秋冬コレクションについて聞いた。

Photographs by TAKADA MidzuhoText by IWANAGA Morito(OPENERS)




rumors|通販サイトへ





1970年代イギリスの囚人服や時代背景からインスパイア



――秋冬コレクションのテーマは?

今季のテーマが「His Majesty’s Pleasure」であり、「陛下の仰せのままに」という意味とともに、「あなたは監獄の中にいる」という意味をもちます。コレクションは、1970年代のイギリスにおける囚人服、その時代のヴィンテージアイテムからインスパイアされたアイテムをラインナップします。当時の時代背景もあって、ステッチを節約していたり、ディテールを排除してあるんです。糸の使用量を減らして作ってあり、非常に興味深いものです。



The garbstore|ザ ガーブストア|イアン・ペイリーにインタビュー 02

The garbstore|ザ ガーブストア|イアン・ペイリーにインタビュー 03




わかりやすいところでいうと、このプリズナーシャツですね。まずこのストライプのピッチですが、参考にしたヴィンテージのアイテムとおなじ間隔にしました。ポケットは、囚人たちがナイフなどを持ち歩けないように底の縫いが途中で止まっています。また糸を節約するために、サイドポケットの見返しは折り返しているのみで、たたきのステッチもない簡素な仕様になっています。





おなじデザインのシャツで、“プリズン”と対極にある“パラダイス”という名前のプリントをほどこしたものや、派手なコントラストをつけたバリエーションも作りました。本来の囚人服は、地味な色味でつくるものなのですが、あえて対極のカラーや柄を取り入れて作っているシリーズです。

――ブランドのデザインソースは?

ヴィンテージウェアの研究は常におこなっています。フランスやドイツなどと国を限定することなく、比較をすることで、それぞれの面白さが見えてきます。


The garbstore|ザ ガーブストア|イアン・ペイリーにインタビュー 04




とくにワークウエアに関しては、それぞれの国の置かれている気候などの環境によって、ディテールが変わってくるんです。コレクションでは、アメリカ、イギリス、カナダなど、パーツごとにさまざまな国のデザインをミックスしています。ライニングに中綿を入れたり、モダンなアレンジをすることで、あたらしいヴィンテージスタイルを表現しています。



The garbstore|ザ ガーブストア|イアン・ペイリーにインタビュー 05

The garbstore|ザ ガーブストア|イアン・ペイリーにインタビュー 06




英国軍のフライトジャケットのディテールを取り入れたスカーフは、両サイドと力のかかるネック部の編み地を変えることで補強しています。糸はオリジナルで、青と白の糸をスピンドルしたもの、オレンジと黄色の糸をスピンドルしたもの、このふたつの糸をミックスして編みたてました。

――日本のファブリックを使用されているということですが。



The garbstore|ザ ガーブストア|イアン・ペイリーにインタビュー 07



ほとんどすべての素材が日本のものになります。純粋にファブリックのクオリティがほかの国よりも高いんです。

日本のメーカーは、古いマシンを使って、古い製法で、本物の雰囲気をもった生地を提供してくれるんです。私が求める生地の立体感や“味”を表現することは、日本でしかできません。ヨーロッパでも、まったくおなじパターン、まったくおなじ指示を出しておなじものを仕上げることは可能ですが、どちらかというとラグジュアリーな風合いになってしまいます。





これはインディゴファームというファクトリーと製作しているシリーズのトップスです。柔道着に使用される刺し子織りの素材をインディゴ染めしています。同じ素材を、次のシーズンのフットウエアコレクションにも採用しています。1970年代のイギリスでは、子どもたちが柔道や空手を習うことが一般的でした。私も柔道を習っており、小さいころに着ていたこともあり、思い出深いというところはありますよ。


――今季チャレンジしたことはありますか?

常にあたらしいなにかをできればというのは考えていますが、ひとつ挙げるとすればリーボックとのフットウエアコレクションでしょうか。ユニークなポイントとして、シュータンについているタグが、本来と逆になっています。靴に関してはあたらしい取り組みなので勉強中です。そのなかに、洋服のアイデアを反映させていければと考えています。



The garbstore|ザ ガーブストア|イアン・ペイリーにインタビュー 08

シュータンのタグが本来と逆になっている


The garbstore|ザ ガーブストア|イアン・ペイリーにインタビュー 09

ロンドンとLAの直営店限定モデル





――ほかにニュースはありますか?

9月下旬にオープンした、LAのニューショップですね。3カ月間でオープンまでこぎつけたプロジェクトで、什器や照明などもすべて自分たちで作り込みました。ロンドンのショップで取り扱っている、セレクトのアイテムも並びます。私たちにとっては馴染みのあるアイテムですが、LAのマーケットにたいしてはとても新鮮なものになるとおもいます。

――あらためて、「ザ ガーブストア」のスタイルとは?

洋服の文化は歴史的な背景のもとに生まれます。ザ ガーブストアではいろんな時代の場面を切り取っています。それぞれはつながっているわけではありませんが、おなじフィーリングのものを編集して、現代的なライフスタイルの要素を加えたかたちとして表現されているのが、私たちのコレクションです。


Style
Tel. 03-6416-9061

rumors|通販サイトへ