未来のSUVを示唆するコンセプトモデル|Mercedes-Benz
CAR / NEWS
2015年1月30日

未来のSUVを示唆するコンセプトモデル|Mercedes-Benz

Mercedes-Benz G-Code|メルセデス・ベンツ Gコード

未来のSUVを示唆するコンセプトモデル

メルセデス・ベンツは、11月に中国・北京のエンジニアリングセンターをオープンさせた。その開所を記念して公開されたのがスタディモデル「Gコード」である。メルセデスはこれを、SUVクーペ(SUC)と呼び、未来のスポーティなSUV像のひとつと紹介している。いますぐこの姿で登場するというモデルではないが、メルセデスが考えるSUVのバリエーションのヒントが隠されているはずだ。

Text by SAKURAI Kenichi

北京のエンジニアリングセンターが開発

北京に開設されたメルセデス・ベンツのエンジニアリングセンターは、おもに中国を市場とする次世代モデルのデザイン開発がおこなわれる見通しだ。こうした先行開発拠点は世界中にすでに4つあり、北京は中国をはじめとするアジアの文化やトレンドを組み込んだあたらしいモデルとモビリティのコンセプトを、ジンデルフィンゲンにあるデザインセンターと連動しながら、このスタジオ内で作成する。

こんかいこの施設のお披露目と同時に公開された「Gコード」と呼ばれるデザインスタディは、中国市場に刺激を与える未来的なコンパクトSUVの提案だ。ボディサイズは4,100mmの全長と1,900mmの全幅をもち、車高は1,500mmに抑えられている。日本でも発売が開始された全長4,430mmの 「GLAクラス」よりもひとまわりコンパクトなサイズで、一見2ドアクーペに見える2+2のスポーティなアピアランスが目をひく。

Mercedes-Benz G-Code|メルセデス・ベンツ Gコード

Mercedes-Benz G-Code|メルセデス・ベンツ Gコード

アルミニウムのリムにカーボンファイバースポークを組み込んだ21インチサイズのアルミホイール採用するタイヤを四隅に配置した、いかにも力強い走りをもらすような車高を上げたSUVらしいフォルムと、Aピラーをブラックアウトし連続した1枚のガラスのように見せるグリーンハウスのデザイン、それにあわせたモーターボートからインスパイアされたルーフデザイン、そして観音開きとなるリアのドアが最小限の面積しかもたないのもこのクルマの特徴といえるだろう。

こうした魅力あふれる未来的なデザインをもって、メルセデスはGコードを「SUC」、すなわちSUVのクーペモデルを意味するスポーツ ユーティリティ クーペと呼び、また中国市場にフィットするデザインなのだと紹介する。

Mercedes-Benz G-Code|メルセデス・ベンツ Gコード

未来のSUVを示唆するコンセプトモデル (2)

近未来的な内外装

メルセデスであることを誰の目にも印象づける大型のグリルは多層スターマトリクスディスプレイと呼ばれ、クルマの状況をホログラフィックで表示する。

Gコードが駐車されている場合はブルーのカラーリングがそっと脈動し、EVモードではグリルにデジタル表示された星がグリル中心に向かって移動。ハイブリッドエコモードでは、この星の動きは同じだが、色調が紫色に変化する。また、もっともパワフルなハイブリッドスポーツモードでは、グリル全体が鮮やかな赤色が変化し、星がグリルの外側に向かって放たれるように見えるといった、遊び心も備えている。

切れ長のフルLEDヘッドランプはふたつのデジタルカメラを備え、走行状況にもっとも適したヘッドランプの照射をおこなう。デイタイムランニングランプは、“G”の文字をイメージさせるデザインに光る。いっぽうテールライトは、水平基調のLEDライトストリップを採用。リヤボディサイドを一本のラインでつなぐ一体式のデザインで、ターンインジケーター、テールライト、ブレーキライトをさまざまなイルミネーションで表現する。

Mercedes-Benz G-Code|メルセデス・ベンツ Gコード

Mercedes-Benz G-Code|メルセデス・ベンツ Gコード

インテリアもまた未来的だ。ステアリング(ホイール形状ではない)は折りたたみ式で、ダッシュボードから飛行機のコントロール カラムのデザインに似たハンドルが伸びてくる。メーターはダッシュボード上に大型ワイドディスプレイとして起き上がり、そのなかに表示される仕組み。

ステアリングと呼ぶべきか、コントロール カラムの前方にも透過式の補助ディスプレイが備わる。もちろんスマートフォンとの連動もおこなわれ、未来的なデジタルの世界観を見事に表現したコクピットだと紹介できるだろう。

リアビューカメラからの画像は、ワイドスクリーン ディスプレイに重ね合わされ、360度の3Dカメラ、レーダー、赤外線スキャナ、GPSデータを介して周囲の監視とともに、交通インフラのデータとも相互交換。もっとも革新的な効率的な運転支援をおこなうという。

Mercedes-Benz G-Code|メルセデス・ベンツ Gコード

未来のSUVを示唆するコンセプトモデル (3)

中国市場向けではあるものの

SUVらしく汚れに強い床材やカーボンシェルを備えたシートなどの採用により軽量化と耐久性、実用性を確保しつつ、座席やアームレストに柔らかい革張りも採用し、快適さと質感を向上させている。さらに室内照明は、ラジエーターグリルの表示のビジュアライゼーションと連動、大型ワイドスクリーンディスプレイやインテリア照明にも星をモチーフとしたマトリックスとカラースキームが反映される。

大人4人が快適に移動できる空間を有し、荷物が増えた場合にはリアシートが折りたたまれ、フラットな荷室が出現するのも実用性の確保に役立っている。

Mercedes-Benz G-Code|メルセデス・ベンツ Gコード

Mercedes-Benz G-Code|メルセデス・ベンツ Gコード

具体的なパワーユニットは公表されていないが、EVモードでは後輪のみを駆動、エンジンモードでは前輪を、そして4輪駆動の場合はこの両方を駆動させるハイブリッドシステムを採用するという設定である。さらにスポーツ走行時には、デジタル調音でエキサイティングなエキゾーストサウンドを聴かせ、スポーツカーならではの音の広がりを体験することができるという。

多くの装備には未来的な遊びが含まれているものの、コンパクトSUVデザインのヒントがこのクルマには隠されているはず。中国市場の嗜好に合わせたSUVであることをメルセデスは強調するが、大国のトレンドやセンスがグローバルモデルにどう反映されていくのか、今後も北京のエンジニアリングセンターには注目していく必要があるだろう。

           
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