ゴルフにプラグインハイブリッドモデルを追加|Volkswagen
CAR / NEWS
2015年8月24日

ゴルフにプラグインハイブリッドモデルを追加|Volkswagen

Volkswagen Golf GTE|フォルクスワーゲン ゴルフ GTE

939kmの航続距離をもつ、ゴルフのプラグインハイブリッド

フォルクスワーゲンは、ジュネーブ モータショーで「ゴルフ」のプラグインハイブリッドモデルを発表する。これによってフォルクスワーゲンは単一車種で、ガソリン、ディーゼル、天然ガス、EVおよびプラグインハイブリッドという5つのソリューションを持つ世界初の自動車メーカーとなる。

Text by SAKURAI Kenichi

多様化するゴルフのパワートレーン

もっか自走車メーカーの目指す先には、エネルギーダイバシティ(燃料の多様化)への対応が重要なファクターとして掲げられている。これはグローバル化とも密接な関係をもっており、たとえば各地域のエネルギー事情によっては、ガソリン車が適切なソリューションとなる場合もあるが、いっぽうでEVやハイブリッドが歓迎される国や地域もある。

もっとわかりやすくいえば、都市部のユーザーにはEVやハイブリッドが最適なクルマとして歓迎されても、途上国では、発電量がじゅうぶんでないためにガソリンが唯一現実的なエネルギー源だったりもするので、FC(燃料電池)をはじめとするハイテクなシステムだけが決して次世代ソリューションのアドバンテージを握っているというわけではない。

グローバル化が生き残りのために必須となる現代で、各自動車メーカーは、枯渇するといわれている化石燃料の後を担う次世代燃料が決まるまでのあいだは、さまざまな燃料システムに対応していかなければならないという事情がある。

そこでフォルクスワーゲンは、いちはやく多様なエネルギーに対応するソリューションをこれまでに発表してきた。屋台骨をささえる「ゴルフ」では、ガソリン、ディーゼル、天然ガス、EVといった4種類のパワートレーンをすでにリリース。そこにあたらしくプラグインハイブリッドシステムを搭載した「ゴルフ GTE」をくわえたのだ。

「GTE」は、「GTI」、「GTD」、という2つのスポーティなアイコンにつづくもので、たんなるプラグインハイブリッドではない、スポーティな走りも実現していることを意味している。フォルクスワーゲンはGTEを第3のスポーティモデルと位置づけ、伝統の「GT」の哲学をこのクルマにも受け継がせている。

Volkswagen Golf GTE|フォルクスワーゲン ゴルフ GTE

939kmの航続距離をもつ、ゴルフのプラグインハイブリッド (2)

EVだけでも50kmの走行を可能とする

注目のパワートレーンは、最高出力110kW(150ps)をもつ、すでに日本にも導入されている1.4リッター直4直噴ターボエンジンの1.4TSIと、75kW(102ps)の最高出力を発揮する電気モーター。システム合計出力は150kW(204ps)の高出力を誇っている。トランスミッションは6段DSG(デュアルクラッチ)で、ハイブリッドモデル専用の改良がほどこされている。

搭載されるバッテリーは、8.8kWhの容量を持つリチウムイオン電池で、単体重量は120kgであるという。このバッテリー搭載によって車両重量は1,524kgになるが(日本仕様のガソリン車は同エンジン搭載車で1,320kg程度)、それでもじゅうぶんに軽量といえるウェイトである。

最高速度は222km/h、0-100km/h加速は7.6秒となり、この俊足ぶりがGTを名乗る資格にもなっている。いっぽうEVモードでは、130km/hというじゅうぶんに実用的な最高速度をもたらし、50kmの航続距離をゼロエミッションで実現した。

モーターとガソリンエンジンのトータル航続距離は実に939kmに達し、一番遠いドイツの主要都市間を無給油で移動することができる。

バッテリーの充電容量が100パーセントに達するまでにはドイツ国内の通常充電で約3時間半かかるが、自宅ガレージにそなえた充電専用ウォールボックスやパブリック充電ステーションを使用すれば、フル充電は約2時間半で完了するという。充電コネクターはフロントグリルのエンブレム内に組み込まれている。

気になる燃費は、プラグインハイブリッドモデルだけあってリッターあたり55.5kmとなり、CO2排出量はわずか35g/kmにとどまっている。

Volkswagen Golf GTE|フォルクスワーゲン ゴルフ GTE

939kmの航続距離をもつ、ゴルフのプラグインハイブリッド (3)

GTI、GTD、そしてGTE

冒頭でGTの名を冠するモデルとの紹介をおこなったが、エクステリアでは、GTIやGTDと同様に、スポーティなボディデザインを採用。18インチのアルミホイールやスポーツエキゾーストシステム、そしてGTIではお約束となっているチェック柄のスポーツシートなども用意。インテリアにブルーのアクセントが添えられているのは、プラグインハイブリッドを意識したところといえるだろう。

ちなみにフォルクスワーゲンでは、ゴルフのパワートレーンを完全モジュール化しており、このモジュラー トランスバート マトリックスを「MQB」と呼んでいる。どのパワートレーンであっても同様に製造ラインに乗せアッセンブリーが可能であり、それは間もなく発表を予定しているFCV(燃料電池車)でも同様であるという。

日本の自動車メーカーは、HVやEVを専用モデル化し、差別化をはかり付加価値で勝負しようとしているが、フォルクスワーゲンでは、単一車種でエネルギーダイバシティに対応すべく開発をおこなってきている。どちらがいいとは一概に評価できないかも知れないが、パワートレーンのモジュール化は、製造コスト低減にも効果を発揮するはず。あたらしい技術を浸透させるにはまず何が必要なのかを考えたとき、確固たるビジョンと実行力をもっているのは、どうやらハイテク神話にすがりついている日本メーカーではなさそうである。

           
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