“小さな巨人”アバルトが、世界で初めて公式レースに復帰|Abarth
CAR / NEWS
2014年12月4日

“小さな巨人”アバルトが、世界で初めて公式レースに復帰|Abarth

Abarth 695 Assetto Corse|アバルト 695 アセットコルセ

“小さな巨人”アバルトが、世界で初めて公式レースに復帰

「アバルト500」をベースにしたレース専用車「アバルト 695 アセットコルセ」を擁する「ムゼオ チンクエチェント レーシング チーム」が、スーパー耐久の国内6戦に参戦決定。去る4月20~21日、スポーツランドSUGOを舞台に開幕戦がおこなわれ、アバルトのあたらしいレース文化がスタートした。

Text by TAKEDA Hiromi

2号車のドライバー陣は一般から公募

今年1月に開催された「東京オートサロン2013」。そのフィアット クライスラー ジャパン「アバルト」ブースにおいて、今シーズンから「アバルト 695 アセットコルセ」を擁する「ムゼオ チンクエチェント レーシング チーム(museo CINQUECENTO racing team:略称“mCrt”)」が、「スーパー耐久(通称S耐)」の国内6戦に参戦することが発表された。

ムゼオ チンクエチェント レーシング チーム(mCrt)は、愛知県南知多郡に展示施設を構える自動車博物館「チンクエチェント博物館」を母体とするチームで、同館代表の伊藤精朗氏がチームオーナーおよび運営プロデューサーをつとめる。ドライバーは、チーム監督を兼任する福山英朗選手と檜井保孝選手、大文字賢浩選手の3名。また、フィアット クライスラー ジャパン本社が安全運転技術の習得とアバルト車のポテンシャル体感のために主催している公式ドライビングスクール「アバルト ドライビング ファン スクール」が、チームをサポートすることも併せて決定している。

いっぽう、参戦マシンとされたアバルト 695 アセットコルセは、これまでイタリア本国を筆頭とする欧州で次世代ドライバーを育成するためのワンメイクシリーズ「トロフェオ・アバルト・セレニア選手権」専用と使われてきた車両。したがって、アバルトの公式レースへの参加は今回のS耐チャレンジが、恐らくブランド復活後では世界初の試みと見られている。

ABARTH 695 ASETTO CORSE|アバルト 695 アセットコルセ 07

ABARTH 695 ASETTO CORSE|アバルト 695 アセットコルセ 03

今季のスーパー耐久では、1500-2000ccの車両による「ST4」クラスに特認車両としてエントリーする。ただしアバルト 500/695 アセットコルセは、生来が本格的なレーシングマシンであるがゆえに、ワンメイク指定のヨコハマタイアを装着するための16インチホイール、エアジャッキ、耐久レース仕様に増量した燃料タンクなどの最小限の改造で、おなじく今季からS耐に参戦する「トヨタ86」などの強敵を迎え撃つことになったのである。

また同チームでは、本格的なレース活動をより手軽にスタートさせたいドライバーたちを支援するために、ある意欲的なプロジェクトも並行して進めているという。2013年シーズンのmCrtは、1号車に当たるアバルト 695 アセットコルセにくわえもう1台、「アバルト 500 アセットコルセ」を用意し、2台体制での参戦を視野に入れているというのだ。

この2号車は、アバルト本社がイタリア国内で展開しているドライバー支援プログラムを、日本国内のレース事情に合わせてアレンジした「ジェントルマンドライバー支援プログラム」に供され、参加ドライバーはマシンのメンテナンスから消耗品、レースサポートまでフルサポート体制での参戦となるとのこと。また、福山氏ら1号車ドライバーのレッスンも受けられる。そして、そのドライバー陣は一般公募によって編成され、2号車参戦費用の一部を負担するシステムとなっている。

去る1月19日には、富士スピードウェイにおいて11人の2号車ドライバー候補を集めた試乗会を決行したが、今後も2号車ドライバーの募集は随時続行する予定との由。mCrt側でも、「腕に覚えのある」OPENERS読者方々の申し込みを大歓迎するとのことだ。

さらには、チームの構成メンバーとしてパドック入りし、チーム内通信用の無線機も貸与される「mCrtパートナーシップ」、あるいはパドックパスが優先支給される「mCrtサポーターズクラブ」など、ファンともにアバルトとチームを応援できる企画も数多く計画中だ。

ABARTH 695 ASETTO CORSE|アバルト 695 アセットコルセ 02

今シーズンは、開幕戦「スポーツランドSUGO(4月20~21日)」を皮切りに、第3戦「ツインリンクもてぎ(7月20~21日)」、第4戦「富士スピードウェイ(8月10~11日)」、第5戦「岡山国際サーキット(8月31日~9月1日)」、第6戦「鈴鹿サーキット(9月21~22日)」、第7戦「オートポリス(11月9~10日)」に出走予定。

かつての黄金時代、1960年代からアバルトのファンが多かったとされる日本から、アバルトのあたらしいレース文化が発信されるのは、世界的に見ても非常に意義深いことと思われる。今後ともアバルトと「ムゼオ チンクエチェント レーシング チーム」には要注目である。

ムゼオ チンクエチェント レーシング チーム
Tel. 052-871-6464
http://mcrt.jp

スーパー耐久
http://www.supertaikyu.com/

           
Photo Gallery