ロールス・ロイス初のSUV「カリナン」をワールドプレミア|Rolls-Royce
Rolls-Royce Cullinan|ロールス・ロイス カリナン
ロールス・ロイス初のSUV「カリナン」をワールドプレミア
ロールス・ロイスは英国時間の5月10日正午(日本時間午後8時)、グローバル ライブストリーミング映像を通して同社初のSUVとなる「カリナン」の姿を世界初公開した。
Text by HARA Akira
究極のぜいたく空間の中、どこへでも行けるクルマ=カリナン
ロールス・ロイス初となるSUV「カリナン」のローンチは、定刻通りにYouTubeとFacebookによるストリーミング映像で行われた。約15分間に渡る映像は、「砂漠における1台のロールス・ロイスは複数のルビーをしのぐ」と語ったアラビアのロレンスの走行シーンから始まった。
その後は、トルステン・ミュラー・エトヴィシュ社長、ジャイルズ・テイラー取締役兼デザインディレクター、キャロライン・クリスマー エンジニアリングプロジェクトリーダーが商品説明を行ったほか、工場の様子やアルミスペースフレームの概要を紹介した。
走行シーンでは、カムフラージュが施されたテスト車両が英国グッドウッドの本社をスタート。ロンドン市街地を抜けた後は、泥水をはね上げながらスコットランドの荒野を駆け抜け、オーストリア・アルプスのスノーロードでのドリフト走行シーン、中東の砂漠で砂塵を巻き上げながら豪快に走る姿などが映し出された。
最後にはカムフラージュを取り払ったレッドとガンメタの2台のカリナンが登場。豪華な内外装を披露しつつ、緑の中を走り抜けてグッドウッドの本社にたどり着くというシーンで終了する。
車名となった「カリナン」は、1905年に南アフリカ・マガリーズバーグ山地の鉱山で採掘された、3,106カラットという世界最大のダイヤモンドに付けられた名前であるのは既報の通り。現在は英国ブリティッシュクラウンジュエリーに所蔵されているそうだ。
ロールス・ロイスでは3年前、ラグジュアリー、性能、有用性を備えた「SUV界のロールス・ロイス」を望む世界中の顧客の声を受け、新型SUVの開発に着手。冒険心に溢れ、大きな成功を納めた若い富裕層をメインターゲットとし、ラグジュアリーを尽くした空間に身を置きながら、世界の果てまで走行できる全地形対応ハイボディ車として完成したのが今回のカリナンというわけだ。
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アーキテクチャー オブ ラグジュアリー
発表された資料によると、カリナンのボディサイズは全長5,342×全幅2,164×全高1,835mmと巨大で、ホイールベースは3,295mmを誇る。パワートレーンは排気量6.75リッターのV型12気筒ツインターボ エンジンを搭載し、最高出力571ps/5,000rpm、最大トルク850Nm/1,600rpmを発生。
四輪操舵式4WDシステムにより2,660kgのボディを最高速度250km/h(リミッター作動)まで引っ張るほか、燃料消費率は15ℓ/100km(約6.67km/ℓ)と公表された。
大型SUVのボディを支えるのが「アーキテクチャー オブ ラグジュアリー」とされるオールアルミの車台で、新型「ファントム」に採用したものより高く、前後が短いスペースフレームに再設計したものだ。
これをベースに、ロールス・ロイスの名高い「魔法の絨毯のような乗り心地」をオンロード・オフロードの双方で実現するため、新開発した最新型自動レベリング式サスペンションを組み合わせた。
走行中は車体と車輪の加速に応じた入力情報とカメラ情報により毎秒数百万回の計算を行い、前ダブルウィッシュボーン、後5リンク式サスペンションを管理。四輪ステアリングを追加したのと同様のラテラルロール・シアフォース制御を可能にした。
またオフロードでは電子制御式緩衝装置調整システムが、トラクションを失いつつある車輪を感知して車輪を押し下げ、最大限のトルクが全ての車輪に供給するよう制御。
これらの機能は、社内で「エブリウェア(どこでも)ボタン」と呼ばれたセンターコンソールの「オフロードボタン」を、1度押すだけで起動する。これにより荒れた道路、砂利道、湿った草むら、ぬかるみ、雪原、砂の上など、どんな状況でもスムーズに走行できるという。
さらに22インチホイールによる高い最低地上高により、最大渡河水深は超高級SUV中最大の540mmとなる。乗降に際しては、ロールス・ロイスのアイコニックであるコーチドアに手を伸ばしただけで車高は40mm下がり、スタートボタンに触れると40mm上がって標準高となるのも、電子制御エアサスを搭載した利点である。
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特徴的なリア部分
力強いパンテオングリルと、その上方の見晴らしの良い位置に鎮座するスピリット オブ エクスタシーが際立つカリナンの特徴は、かつてオーナーの荷物を車外の棚に積んで運んでいた1930年代の「Dバック ロールス・ロイス」を彷彿させる、トランク部分が短く突き出たリアのノッチバックスタイルにある。
ここにロールス・ロイスとしては初となる、「ザ クラスプ」と呼ばれる上下2段の開閉式テールゲートを採用した。
SUVらしく機能性を重視するため、ジュエリー類は控えられ、ロゴはナンバープレート設置部上部の小さな専用台座に取り付けられている。狭い縦型のシンプルなテールランプや、むき出しの鉄製エキゾーストパイプも同様の理由からだ。
内部のリアコンパートメントは、560リッター(カバーを外すと600リッター)の収納スペースがあり、リアシートを倒すと全長2,245mm、1,930リッターまで拡大する。リアシートはオーナーのニーズに合わせて「ラウンジシート」と「個人シート」の2つのコンフィギュレーションから選ぶことができる。
前者は3人分のスペースを備えた電動折りたたみ式ベンチシートでファミリー向け。後者は独立した2席のシートで、ロールス・ロイス製ウイスキーグラスとデカンタ、シャンパンフルート、クールボックスを収納したキャビネット付き固定式リア センターコンソールで分割された、ラグジュアリー志向の座席となる。
さらに個人シートでは、座席エリアとリアコンパートメントを分割するガラス製パーティションを採用。車内の静かさをキープするとともに、熱気、冷気がラゲッジに侵入した際も車内を最適な温度に保つことができるようになり、これまでどこにもなかった「3ボックス」SUV車を生み出すことに成功している。
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ロールス・ロイスの導き出した答え
映像に登場するレッドのカリナンには濃いベージュ、ガンメタにはホワイトの内装が展開されている。3連メーターやタッチ画面式中央情報スクリーン、アナログ時計、通気口があるダッシュボード上部には、耐久・耐水性に優れたボーテッド ブラックレザー「ボックスグレイン」を採用。
クライメートコントロールやスピリット オブ エクスタシー コントローラーがあるセンター部には3次元加工したウッドが広がり、その全体は翼状のレザーパッドで囲まれている。
後席が前席より高い位置に設置されたシートはシンプルでモダンなU字型形状で、ロールス・ロイスの熟練した技を示すレザーの仕上がりとなっている。ドアアームレスト、センターコンソールカバー、リアセンターアームレスト、Cピラー等々室内のいたるところにヒーターを内蔵したのは、SUVらしい装備といえる。
安全面では、昼間/夜間野生動物・歩行者警告機能付きナイトビジョン/ビジョンアシストをはじめ、全方位視野システム、ヘリコプタービュー付き4カメラシステム、ACC、衝突・交差交通/車線逸脱・変更警告、7.3インチ高解像度HUDなど最先端技術を網羅した。
また、多彩なライフスタイルを望むオーナー向けに、ロールス・ロイス ビスポーク コレクタブルが提供するのが、リア コンパートメントからせり出すレザーチェア「ビューイング スイート」と、数多くの「レクリエイション モジュール」だ。
その内容は、ドローン、フライフィッシング、写真、ロッククライミング、スノーボーディング、ボルケーノボーディングなど多岐に渡り、リアコンパートメントに簡単に搭載することができる。
映像の最後で2台のカリナンを出迎えたエトヴェシュ社長は、「歴史が前例を作ったように、ロールス・ロイスは今日、行動を求める声に応えます。歴史、ビジョンを持った人々、冒険家、探検家、自由の優位性を信じる人々に対する当社の答えがカリナンです。ロールス・ロイスのSUVを皆様に紹介できることは、本当に誇らしいのです」と述べている。