フェラーリの新世代スパイダー

F1第10戦、ハンガロリンクでのS.ベッテル選手によるトップチェッカーとともにシーズン前半戦を終えたフェラーリだが、サマーホリデーに入る直前「458 スパイダー」の後継モデルとなる「488 スパイダー」を突如発表した。

フェラーリは通例、クーペのデビューから1年から2年の間隔を置きスパイダーを発表するが、今回は2月の488 GTB登場からわずか5カ月という異例の速さでの公開となった。車名は488 GTBの由来となった「308」系にならい、「GTS（GranTurismo Spider）」の名称の復活も噂されていたが、これまで同様に「Spider」の名が与えられている。

コードネームは「142M S」。フェラリスタの方々ならご存知の方々も多いかとおもうが、“142”はV8ベルリネッタ（クーペ）「458イタリア」のことであり、「M」はモディファイ。つまり142Mとは「488 GTB」を指し、「S」はスパイダーを意味する。

公開された写真のボディカラーは新色のBlu Corsa。エクステリアデザインは、先に登場したクーペ版の488 GTBをベースとし、基本的に共通の意匠でまとめられている。もちろんスパイダーモデルゆえにリアは大幅に手がくわえられているが、2分割式のリトラクタブル ハードトップを新型でも引き続き採用。アルミ製のルーフが180度反転するようにリアのフード内に収まり、開閉に要する時間はわずか14秒とストレスを感じさせない速さだ。

スパイダーはルーフが分離される分、剛性確保にさまざまな施策がおこなわれるが、もちろん488 スパイダーも例外ではない。シャシー各部位の利用条件を満たすために、マグネシウムをはじめとした非腐食性勤続を組み合わせた11種類のことなるアルミニウム合金を使い、クーペモデルと同等のねじれ剛性をビーム剛性を実現。先代比で23パーセントも向上させたとフェラーリはアナウンスする。

0-100km/hは3.0秒フラット

さらに新型ではクーペモデル同様に最新の電子制御システムを装備。アクティブダンパーも制御可能な最新のダイナミック ビークル コントロール「サイドスリップ アングル コントロール システム（SSC2）」のほか、F1-TracやE-Diff3と組み合わせることで、タイトなコーナーがつづくワインディングロードにおいても最大限のパフォーマンスを引き出し、コーナー脱出速度を12パーセント向上させたしている。

搭載されるパワーユニットは、488GTBとおなじく3,902cc V型8気筒ターボエンジン。スペックも変更なく、最高出力492 kW（670ps）/8,000rpm、最大トルク760Nm（77.5kgm）/3,000rpmを発揮し、トランスミッションにはデュアルクラッチ式の7段オートマチックが組み合わされる。

0-100km/h加速においては、先代より0.4秒も速い3.0秒フラットをマーク。「スパイダーとはいえ、クーペモデルと比較してもそのパフォーマンスに遜色はない」という、フェラーリのセールストークはすでに先代で実証済だが、新型の登場でスパイダーの価値はさらに高まることになりそうだ。

なおワールドプレミアは、9月に開催されるフランクフルトモーターショー会場にておこなわれる予定。さらなる詳細は、そこで明らかになることだろう。

Ferrari 488 Spider｜フェラーリ 488 スパイダー
ボディサイズ｜全長 4,568× 全幅 1,952 × 全高 1,211 mm
ホイールベース｜2,650 mm
トレッド 前/後｜1,679 / 1,647 mm
車両重量（乾燥）｜1,420 kg
重量配分 前/後｜41.5% / 58.5%
エンジン｜3,902 cc V型8気筒　ターボ
ボア×ストローク｜86.5 × 83 mm
圧縮比｜9.4:1
最高出力｜ 492 kW（670 ps）/ 8,000 rpm
最大トルク｜760 Nm（77.5 kgm）/ 3,000 rpm
トランスミッション｜7段AT（F1デュアルクラッチ）
駆動方式｜MR
ブレーキ 前/後｜ベンチレーテッドディスク
タイヤ 前/後｜245/35ZR20 / 305/30/ZR20
0-100km/h加速｜3.0 秒
最高速度｜325 km/h以上
燃費（ECE+NEDC）｜11.4 ℓ/100km（およそ8.8km/ℓ）
CO2排出量｜260 g/km
トランク容量｜230 ℓ