未来のDSをしめすコンセプト「ディヴァイン DS」|Citroen
Citroen Divine DS Concept|シトロエン ディヴァイン DS コンセプト
未来のDSをしめすコンセプト「ディヴァインDS」
シトロエンはパリモーターショーにおいて、DSのデザインの方向性を占うコンセプトモデル「ディヴァイン DS」を発表する。内外装にアバンギャルドなモチーフが散りばめられた一台だ。
Text by HORIGUCHI Yoshihiro(OPENERS)
細かなデザイン提案が散りばめられたエクステリア
シトロエンは、DSブランドの今後の方向性をしめすコンセプトモデル「ディヴァイン DS」を、10月に開催されるパリモーターショーで発表する。
ディヴァイン DSは、全長4.21メートルにたいし、全幅が1.98メートル、全高は1.35メートルと幅広く、低く構えたプロモーションをもつ。さらにフロントには「DS 5LS」や「DS6」で採用された、横への広がりを強調する“DSウィング”を踏襲し、視覚的にもワード&ローが補強される。このフロントグリルは、陰影の強弱がつけられた、大小の星型が散りばめられており、立体的な視覚効果を生み出すものとなっている。
一見普通にみえるAピラーだが、フェイクとなってガラス面から浮いており、ユニークな処理がほどこされている。また、クローム処理された細い脚をもつサイドミラーが、そのまボンネット上にアクセントとして伸びるのは「DS5」に通じる意匠だ。
Aピラーの付け根の下から、リアコンビネーションランプまで一筆書きされたような伸びやかなクロームのラインは、ボディサイドに緊張感をもたらすとともに、下面にドアハンドルを内蔵する機能も果たしている。
またルーフは、は虫類のレザー表皮を髣髴とさせるとシトロエンが謳う、三角形が組み合わされた幾何学模様。このモチーフはそのままリアパネルやドアミラーカバー、リアコンビネーションランプにも反復されている。この、一部のパネルが空力性能向上のために浮かされたリアパネルは後方視界を一切提供しないが、そのかわりにリアビューカメラが内蔵され、その映像をミラー位置にあるディスプレイに映し出すことで視野を確保している。
Citroen Divine DS Concept|シトロエン ディヴァイン DS コンセプト
未来のDSをしめすコンセプト「ディヴァインDS」 (2)
アバンギャルドなキャビン
まるで一枚の布で覆ったようにデザインされたダッシュボードと、それをそのままねじりこんでセンターコンソールを成す斬新なデザインで目をひく室内空間は、見る人をオートクチュールの世界にいざなうとシトロエンは説明する。
“ねじれ”の下から覗くのは、エンジンの始動ボタンやシフト選択ボタンが集約されたコンソールだ。それは、まるで金の散りばめられた黒御影石を彫り込んで、削った部分にホワイトゴールドがあしらわれたかのように処理されている。また、デザインのモチーフは背骨だという。最上部にはデジタル表示の時計がそなわる。
シートは、DSラインで特徴的な、ウォッチストラップ デザインをより洗練させたもの。自動車のレザーシートメーカーSETON社の工場で、とくに選別した素材を、専用になめしたアニリンレザーでつくられている。
後席は、2ドアクーペのボディ形状であることと、さらにリアがガラスではなく不透明なパネルを採用していることで、まるで繭に包まれたような、落ち着きのある空間を生み出すという。
シートは、DSラインで特徴的な、ウォッチストラップ デザインに幾何学模様の要素をくわえ、より洗練させたもの。自動車のレザーシートメーカーSETON社の工場で、とくに選別した素材を、専用になめしたアニリンレザーでつくられている。
後席は、2ドアクーペのボディ形状であることと、さらにリアがガラスではなく不透明なパネルを採用していることで、まるで繭に包まれたような、落ち着きのある空間を生み出すという。
3つの“ドレスコード”
ディバインDSのインテリアには、あたらしいコンセプト“Hypertypage”を導入している。これは一般的なパーソナライゼーションプログラムの、さらにそのうえをゆくものと説明され、自動車業界では例のない、オートクチュールのようなインテリアトリムだという。具体的にはダッシュボードとドア内貼りを、およそ15分で交換が可能にするもので、ディバインDSには、雰囲気に応じて3つの“ドレスコード”が用意されている。
「Mule(ミュール)」は落ち着きのある、現代風のデザイン。カーボンファイバーをダッシュボードにあしらい、“裏地”には光沢のあるレザーを採用している。全体的にシックなブラックのなかで、細かな赤と黒のステッチがアクセントとなっている。
もうひとつは、パリをイメージし、洗練されたエレガントな世界へのインビテーションをモチーフとする「Parisienne Chic(パリジェンヌ シック)」。オートクチュールの世界からインスピレーションを得たという、アイボリーレザーのダッシュボードに、ヒダと刺繍の入ったシルクサテンが組み合わせられた。ドアパネルにはビーズとクリスタルで華やかさを演出。このパネルには、Lesage(ルサージュ)によるDSモノグラムをモチーフとした刺繍があしらわれている。
ダークなトーンに輝きが散りばめられた「Fatale Punk(ファタール パンク)」は、ロックスタイルをイメージ。クリスタル スタッズのはいったキルティング状のレザーでダッシュボードは覆われ、ドアの内貼りは、幾千もの細かいクリスタルが輝くスワロフスキー クリスタル ファブリックで演出している。
Citroen Divine DS Concept|シトロエン ディヴァイン DS コンセプト
未来のDSをしめすコンセプト「ディヴァインDS」 (3)
機能面にも先進装備
ディヴァインDSの先進的さは、デザインに限ったものではない。
ヘッドライトにはLEDを採用し、さらに、車速が60km/h以上になると作動するレーザーヘッドライトがそなわる。これは、従来のLEDよりも50パーセントも明るいダイオード2個で1つのユニットを構成しており、夜間でもより遠くの視界を確保できる。その照射範囲は、カメラで対向車や前走車を認識し、自動的に調整される。
このレーザーライトの特徴は、ライティング機構本体がエンジンルーム内部に設置されており、光はヘッドライトユニット部へファイバーで導かれている点だ。これにより、激しい飛び石や事故によりヘッドライト部分が損傷しても、レーザーライトは守られ、明かりを確保できる可能性が高まる。
エアコンやオーディををはじめとする、各種のコントロール系統はすべて、10.4インチのHDタッチディスプレイに集約されている。ただし、多くのクルマにみられるようなダッシュボード上やセンターコンソール内ではなく、通常はルームミラーが設置されている頭上に設置されている点があたらしい。これにより生まれた広いダッシュボード空間により、大胆なインテリアデザインを可能としている。
頭上のディスプレイは、各種車両設定などのほかに、バックビューカメラの映像を表示し、ルームミラーの役割も果たす。ステアリングのすぐ上にある透過型のヘッドアップディスプレイは、運転に必要な基本情報を表示するホログラフィック ディスプレイをそなえる。
ディヴァインDSには、1.6リッター直噴ツインターボエンジンを搭載。最高出力270bhp(199kW)/6,000、最大トルクは1,900-5,500rpmもの広い回転域で330Nmを発揮。燃費性能も良好で、CO2排出量はわずかに145g/kmだという。
シトロエンらしいアバンギャルドなデザインを内外にそなえたコンセプトモデルながら、現実的な側面ももったディヴァイン DS コンセプトは、シトロエンがあらたなブランドとして独立させたDSの方向性を垣間見せる一台だといえるだろう。