アクティブなザ・ビートルの コンセプトカー|Volkswagen
Volkswagen the Beetle dune|フォルクスワーゲン ザ・ビートル デューン
スポーツアクティビティにつかうギアとしてのザ・ビートル
フォルクスワーゲンは、デトロイトモーターショーにおいて、アクティブなギアとしての側面を強調したコンセプトモデル「ザ・ビートル デューン」を発表。コンセプトモデルながら完成度も高く、ちかい将来の発売も暗示されている。
Text by HORIGUCHI Yoshihiro(OPENERS)
“クロス”ザ・ビートル
「ザ・ビートル デューン」は、「ザ・ビートル」をベースに、スポーツアクティビティにつかうギアとして精悍な意匠をほどこしたモデル。いわば「クロス トゥーラン」「クロス ゴルフ」「クロスポロ」「クロスup!」にならうところの“クロス ザ・ビートル”といえる。名称のデューンは、このコンセプトを象徴する、リアに背負ったサンドボーディング(砂上でおこなうスキー)機材に由来している。
“アリゾナ”と呼ばれるオレンジをまとったボディは、全長4,290×全幅1,856×全高1,536mm。ザ・ビートルとくらべると、とくにフェンダー部分の幅が左右で24mmずつひろげられ、255/45R19というおおきなタイヤとともに、踏ん張りのきいた力強いプロポーションを構成している。
ホイールアーチふくむボディ下端をマットブラックの樹脂素材で覆い、さらに前後左右にアルミ製のアンダーガードを装備することで、ボディを保護するとともに、SUVらしい精悍さもアピールする。
段差がつけられ、明確に中央がかさ上げされたエンジンフードには、そのラインに沿ってクロームがアクセントでくわえられたエアベントが左右にそなわり、スポーティな外観を演出。この下におさまるのは、最高出力155kW(210ps)を発揮する2リッター直噴ターボエンジン。6段DSGを介して前輪を駆動し、電子制御式のディファレンシャルロック“XDS”も備えるというスペックは、日本で販売される「ザ・ビートル ターボ」そのものだ。
Volkswagen the Beetle dune|フォルクスワーゲン ザ・ビートル デューン
スポーツアクティビティにつかうギアとしてのザ・ビートル
市販化もほぼ内定
フォルクスワーゲンのほかの“クロス”モデル同様、フロント下部のグリルパーツはハニカム構造でデザインされ、このモデルがクロス ファミリーの一員であることを示唆。左右にある上が欠けた円型のパーツは、カバーの内側にマット処理を施したLEDのフォグランプとなっている。その直上、わずか9mmの高さしかない3本のスリットは、おなじくLEDをもちいたウィンカーが隠れている。
リアには、モデル名のもとにもなった、サンドボーディングやスキー板を搭載する仕掛けがなされる。リアガラス上部に固定された、ディフューザーに見える部分には固定用のバンドをそなえており、そのままステイとして利用される。下部はザ・ビートル ターボの特徴でもあるスポイラーが3分割されており、左右のパーツを回転させることで板をスポイラーの“内側”に固定できるようになっている。
タフなスポーツギアの演出は内装にもおよぶ。トリムにはエクステリアとおなじくヴィヴィッドな“アリゾナ”カラーがあしらわれる。このカラーリングは、通常は白であるメーター類の目盛り背景など細かい点にまでおよぶ。また、ザ・ビートルでは小物入れになっている助手席のダッシュボードは、オリジナルビートルからヒントを得たグラブハンドルに変更されている。
センターコンソール中央に内蔵される7.7インチのタッチスクリーン式ナビゲーションシステムには、ドライバーの興味もふくめた検索をおこなうポイント オブ インタレスト(POI)を搭載したアプリ“フォルクスワーゲン サイドウェイ”がインストールされている。このPOIの利用例としてあげられているのは、「ちかくのレストラン」を探すさいに、候補のなかから友人がいるお店を優先して表示するといったもの。これには天候などの付加情報も考慮され、雨天の日に「泳げる場所」を検索しても屋外プールに案内するようなことはないとされる。
ザ・ビートル デューンは、ちかい将来、デトロイトをはじめ、サンフランシスコ、ボストン、ベルリン、ロンドン、東京、香港、シドニー、ケープタウンといった世界各地の街に姿をあらわすだろうとフォルクスワーゲンは語る。つまり、スキー板の固定装置の有無は定かではないものの、日本をふくむ世界中でスポーツギア的なルックをもったザ・ビートルの販売が、すでに内定しているとみてまちがいないだろう。