GT-Rを旗艦に“走り”を前面に押し出す日産|Nissan
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東京モーターショー 現地リポート
GT-Rを旗艦に“走り”を前面に押し出す日産
日産は、モーターショー開催前日に「GT-R」の2014年モデルとNISMOを発表。初日には、20歳代と協業でデザインしたという2台のレトロ&スポーティなコンセプトカーも登場させた。飛行機のような三角形の「ブレードグライダー」とともに、“走り”のイメージを前面に強く打ち出した日産のブースを、大谷達也氏がリポート。
Text by OTANI TatsuyaPhotograhs by ARAKAWA Masayuki
ニュル7分8秒679を記録したGT-R NISMO
ニッサンは計3台のコンセプトカー、そしてマイナーチェンジ版のGT-Rなどを東京モーターショーに持ち込み、走りのイメージを強く打ち出していていた。
なかでも、もっとも熱い注目を集めていたのが2014年モデルの「GT-R」と、これをベースにした「GT-R NISMO」である。
ニッサンのワークスチームとしてこれまでさまざまなモータースポーツに挑んできたNISMOは、今後ニッサンとの協力関係を強化し、ニッサンのハイパフォーマンスカーづくりにより積極的にかかわっていくことが発表されたばかり。すでに「Z」「ジューク」「マーチ」などにNISMO仕様が用意されているが、このシリーズのなかのフラッグシップモデルとして今回登場したのが、このGT-R NISMOである。
550psを発揮するV6 3.8リッター ツインターボエンジンを600psまでチューンアップ。さらにロードホールディング性の優れたサスペンションを組み合わせ、ボディ剛性を高め、エアロダイナミクスに磨きをかけたGT-R NISMOは、先ごろおこなわれたニュルブルクリンクでのテストで7分8秒679を記録し、市販車としての記録を塗り替えたばかり。
先日、このアタックを担当したレーシングドライバーのミハエル・クルム氏に話を聞いたが、高速域では市販車とはおもえないほど大きなダウンフォースを発生することが印象的だったと語っていた。また、彼がタイムアタックしたときのオンボード映像を見ると、減速、コーナー進入、そして加速と、じつに簡単そうに運転しているようにおもえる。
このことをクルムに伝えたところ、「まったくそのとおりで、ドライビングで難しい操作をする必要はなかった。ただし、ひとたび限界を越えてしまうと、そこからクルマをラインに戻すのに時間がかかり、ここでタイムをロスしてしまう。僕以外の3人のドライバーはみんな何らかのミスをして、それでタイムが出なかったようだけれど、僕はとにかくミスをしてタイムをロスさせないように注意してアタックした」と語っていた。
マイナーチェンジ版のGT-Rの価格は905万1,000円から1,011万1500円まで。GT-R NISMOは1,501万5,000円である。
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90年代以降生まれをターゲットに協業から生まれた2台のコンセプト
そのほか、ニッサンは今回「アイディーエックス」というコンセプトカーを展示していた。これには「フリーフロー」と「NISMO」というふたつの仕様があったが、どちらも“ジェネレーションZ”と呼ばれる1990年代以降に生まれた世代の嗜好をリサーチしながら開発されたという。
この、“ユーザー参加型”のニューモデル開発というのは非常に斬新だし、今後さらに発展していく可能性もあるだろうが、個人的には、できあがったデザインにあたらしい提案が見当たらないところが残念である。
たとえば、フロントマスクはS54と呼ばれていた時代のプリンス「スカイライン」にそっくりだし、リアクォーター ウィンドーまわりのどこか初代「シルビア」を彷彿とさせるものがある。そうした伝統的なデザインモチーフをもちいること自体は悪くないが、このアイディーエックスにかんしていえば、あまりに懐古主義に頼りきりで新規性が感じられないような気がする。もっとも、こうした部分はユーザーの声の吸い上げ方次第で調整が可能だろうから、今後の改善を期待したいところだ。
ニッサンではもう1台、「ブレードグライダー」という名前のコンセプトカーが展示されていたが、これはニッサンが2012年のルマン24時間に特別枠でエントリーした「ZEOD RC」とよくに似たプロポーションが特徴。もっとも、ZEOD RCのコンセプトはかつて次期型インディカーとして開発された「デルタウィング」をベースとしたもの。その後、ニッサンはデルタウィングの生みの親を招聘、ZEOD RCにつづいて今度はロードカーを作り出したという次第である。
外観を見る限り、このブレードグライダーが量産されるとはおもえないが、どうやらニッサン社内では真剣にその商品化が検討されているようだ。