パリ現地リポート|Mercedes-Benz
Mercedes-Benz|メルセデス・ベンツ
Sクラスはこうなる!?
注目の次期Sクラスを予告
パリモーターショー2012では、新型「Sクラス」が登場するのでは? そんな噂もささやかれたメルセデス・ベンツブース。実際は、Sクラスを予告する、レリーフと動画の公開にとどまった。いっぽうで、「Bクラス」のふたつの低排出ガス車、そしてAMGからは、同ブランドの代表車種「SLS AMG」の新型と電気自動車がお披露目となった。現地に飛んだ大谷達也氏からのリポート。
Text & Event photographs by OTANI TatsuyaEvent Photographs by MOCHIZUKI Hirohiko
Aesthetics S|エステティクスS
次期「Sクラス」のデザインモチーフを立体的なレリーフにより表現したのが、この「エステティクスS」。エステティクス シリーズは2010年に発表された「エステティクスNo.1」を皮切りに、「エステティクスNo.2」「エステティクス125」とこれまで計3作が紹介されており、「エステティクスS」はその第4弾にあたる。
真っ白い壁の上に浮き彫りとされた2本のキャラクターラインとルーフライン。 ボディサイドに刻み込まれたこれらのラインこそ、次期型Sクラスのデザインハイライトなのだろう。
近年のメルセデスはどちらかといえば手の込んだデザインが少なくなかったが、エステティクスSの流れるようなラインは、じつにシンプルで、明確なメッセージを持っているようにおもえる。
これと組みあわされるルーフラインも流麗で、セダンというよりはまるでクーペのようだ。
会場では、このレリーフをスクリーンに見立てて様々な映像を投影。そのなかには「189」、「108」、「126」、「221」といった歴代Sクラスの画像も含まれており、メルセデスのフラッグシップモデルの足跡を視覚的に伝えていた。
B200 Natural Gas Drive|B200 天然ガス車
B-Class Electric Drive concept|Bクラス エレクトリックドライブ コンセプト
Bクラスには環境対応型パワートレーンを搭載したふたつのモデルが発表された。
ひとつは「B200 天然ガス車(B200 ナチュラルガスドライブ)」。これはフロア内の“エナジースペース”(リヤアクスル前方の空間)に計3本のガスタンクとガソリン用燃料タンクを搭載。天然ガスとガソリンに対応したバイフューエル モデルである。
最高出力は156psで、ヨーロッパ方式の燃費は約23.8km/ℓ。CO2排出量はガソリンエンジンモデルより16パーセント以上も少ない115g/kmという。
いっぽう、Bクラスのおなじく“エナジースペース”内にリチウムイオン・バッテリーを搭載してEVに仕立てたのが「Bクラス エレクトリックドライブ コンセプト」。
現時点ではまだコンセプトカーだが、その量産バージョンは2014年に発売される予定である。
電気モーターの最高出力は約135psで最大トルクは300Nm。これにより、0-100km/h加速を10秒以下でこなすパフォーマンスを実現した。最高速度はリミッターが作動して150Km/hに規制される。航続距離は200km。
充電はドイツで一般的な230Vの家庭用電源だけでなく、400Vの急速充電にも対応し、後者の場合、100km分の走行に必要な電力を1時間以内にチャージできる。また、PCやスマートフォンを利用すれば、受電状態の確認やエアコンの遠隔操作も可能という。
SLS AMG GT
SLS AMG Coupé Electiric Drive|SLS AMGクーペ エレクトリックドライブ
ギアボックスの「AMGスピードシフトDCT」7段トランスミッションは、制御系の見直しなどによりマニュアルモードのギアシフトをよりダイレクトで自然なものにしたという。さらに、足まわりには通常の「AMG RIDE CONTROL スポーツサスペンション」に換えて「AMG RIDE CONTROL パフォーマンスサスペンション」を採用。スプリングとダンパーが一層強化されたほか、コンフォートモードが省略されるなど、よりスポーツ性を向上させた仕様となっている。
ボディはクーペとロードスターの2タイプが用意され、価格は前者が20万4,680ユーロ(約2,058万円)、後者が21万3,010ユーロ(約2,141万円)となる。ヨーロッパでの発売は2012年10月の予定。
いっぽうの「SLS AMG クーペ エレクトリックドライブ」は、その名がしめすとおりのEV。
ただし、高性能モーターを4基搭載して最高出力約750ps、最大トルク1000Nmを達成し、0-100km/h加速を3.9秒でこなす俊足の持ち主だ。また、400Vの高電圧リチウムイオン バッテリーは60kwhの容量を有しており、250kmの航続距離を実現している。しかも、4基のモーターを駆使して4輪のトルク配分を独立して制御可能なので、通常のガソリンエンジン車とはまったくことなるハンドリングを手に入れていることだろう。
そのほか、4輪駆動としたことでフロント サスペンションの形式を見直す必要が生じたが、AMGはここでなんとダブルウィッシュボーン式からレーシングカーで多く見られるプッシュロッド式にスイッチ。優れたロードホールディング性を実現した。
このSLS AMG クーペ エレクトリックドライブで何よりも驚くべきことは、その市販化計画が確定していることだろう。車両価格は41万6,500ユーロ(約4,190万円)で、2013年6月に発売の予定である。