PORSCHE PANAMERA SpecV|ポルシェ・パナメーラ ターボ 2|NISSAN GT-R Spec V LONG TERM TEST 番外編(2)
NISSAN GT-R Spec V|日産 GT-R スペックV 番外編
日産 GT-R スペックV VS ポルシェ パナメーラ ターボ (2)
今回お送りするのは、日産GT-R スペックVの「LONG TERM TEST」特別編。ポルシェが911、ボクスター/ケイマン、カイエンにつづく第4のモデルとして開発した「パナメーラ ターボ」をリポート車の番外編として迎え、ボディ形状はちがえど日本とドイツのFRベース四駆ターボモデルの最高到達点ともいえる2台をリポート。日々の足として実際に乗っているオーナーの視点で、オウプナーズ クルマ担当が語ります。
Text by OPENERSPhoto by ARAKAWA Masayuki
速く走ることを追求したGT-Rか、走りのクオリティを実現したパナメーラか
── 具体的に、クルマのセッティングのちがいはどこで感じました?
担当A まず、タイヤの使い方に対する考え方がまったくちがう。たとえばパナメーラの場合、タイヤの空気圧がつねにモニター表示されていて、適正値がフロント2.8、リア2.4なんですけど、2.8以下にエンジンが下がると制御されて130km/h以上でないんです。首都高速を飛ばしても3.1くらいまでしか上がらないですし。GT-Rの場合は適正値が2.0と低いんですが、首都高速の都心環状線を一周した程度でだいたい2.4~2.5くらいまで上がるんです。低めの空気圧から上がっていくので空気の膨張率と、タイヤの熱は相当に高いですよね。つまり、GT-RはSタイヤ的というか、タイヤのコンパウンドを削りながら走っているイメージなんでしょうね。
担当B 確かにGT-Rはあの高性能を実現するためにタイヤに相当な役割を負わせていますよね。あと、パナメーラはステアリングフィールの味付けがこなれていますね。絶妙な重さで走りのクオリティの高さが伝わってくる。
担当A パナメーラは自分の手で路面を触っているようなヴィヴィッドな感覚がありますね。それに対してGT-Rのステアリングはやや軽すぎるしフィールにも乏しい。
担当B GT-Rはスポーツカーとしての情緒やクオリティは二の次にしているというか、速く走ることを第一義としているのでしょうね。
──トランスミッションはいずれも流行りのツインクラッチタイプですが。
担当A それこそ考え方がまったくちがいます。GT-Rは、たとえば坂道発進のときにクラッチが滑ったあとにガッと合わさるのが分かるんですよ。パナメーラは半クラッチのような不快な状態を感じさせない。
担当B それってパナメーラのほうが完成度が高いってことですよね?
担当A そうそう。オートマチックに近いというか。つまりGT-Rは快適性とか滑らかさを犠牲にしてギアシフトの速さやダイレクト感を追求しているのかもしれませんね。だけど、ポルシェと乗り較べてもエンジンフィールやパワー、ハンドリングといった側面でまったく見劣りしなかったのはGT-Rのすごいところですよ。
担当B 一般的にドイツ車から日本車に乗り換えると「ボディが緩い」「パワーがない」ってなりますもんね。
担当A GT-Rには、そういったハードウエア面での物足りなさは感じなかったですね。ただし、ロードカーとしてポルシェオーナーのような層に乗ってほしいという思いがあるのだとしたら課題はあると思いますよ。
担当B クルマとしての上質さや快適性を磨きあげる余地はありますよね。
担当A プロダクトとしての完成度でいえば、ポルシェは快適性から走行性能までのすべてのファクターが平均して高くて、GT-Rは動力性能やコーナリングの限界値などが突出していると思うんです。それは開発者の狙い通りなのでしょうが、フェラーリやポルシェといった高級GTスポーツに乗ってきたオーナーを満足させるようなクルマづくりを考えたら、GT-Rとて快適性は無視できないですよ。