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2022年7月26日
BEVの軽自動車、日産「サクラ」に試乗──大型車ユーザーにだって勧めたい実力派|NISSAN
NISSAN SAKURA|日産サクラ
日産サクラに試乗
発表から3週間で1万1000台を受注したというニュースが話題となった、軽のBEV(バッテリーEV)日産「サクラ」。注目を集める同車にモータージャーナリストの小川フミオ氏がさっそく試乗。その走りをリポートする。
Text by OGAWA Fumio|Photographs by MOCHIZUKI Hirohiko
スムーズな加速ゆえ、もはや軽自動車を運転している感覚はない
都市生活者にとって、コンパクトカーはいいパートナーだ。かつて1960年代にロンドンでも、ロールスロイスやローバーに乗る富裕層がミニに飛びついたこともある。日産自動車が2022年5月20日に発売したEV軽「日産サクラ」も、大型車のユーザーにだって勧めたい実力派なのだ。
「この電気自動車は日本の自動車市場の常識を変えるゲームチェンジャー」と日産自動車がプレスリリースで謳うサクラ。確かに、パワーは充分だし、スタイリングは雰囲気があるし、内装など作りも質感がある。
全長3,395×全幅1,475×全高1,655mmのボディに、47kWの最高出力と195Nmの最大トルクを持つモーターを1基搭載した前輪駆動。20kWhのバッテリーで駆動され、航続距離は最大180km(WLTC)という。
ボディサイズは、プラットフォームを共用する日産デイズ/三菱EKワゴンとほぼ近く、車重は約200kg重い。それでも開発者によれば、1070〜1080kgの車重に対して195Nmのトルクは、充分に速く走れるとされる。
実際に、その通りの印象だった。私が乗ったのは上級グレード「G」。発進から加速していくときのスムーズさは、発進時にモタついてしまう従来のガソリンエンジン搭載の軽自動車の性能に不満を持っていた人には、おおいなる福音だろう。
ドライブモードセレクターが備わっていて「エコ」「スタンダード」「スポーツ」と切り替えられる。これによって、加速時間が変わる。スポーツだと、アクセルペダルを軽く踏み込んだだけで、乗員の頭がのけぞるような加速を見せる。
一方、エコだと気持がいい。特に恩恵を感じるのは「e-Pedal Step」併用のときだ。これをボタンで作動させると、回生ブレーキが強く働き、アクセルペダルの足をゆるめると減速していく。いわゆるワンペダル走行ができる。停止まではいかないけれど。
スポーツモードだと、ただし、アクセルペダルを踏む力をゆるめたときの減速感が強すぎると感じる。ぎゅーっと強い力で抑えつけられたような減速を感じるのだ。それに対して、エコあるいはスタンダードは乗員にショックを感じさせず、気持ちのよい減速フィールが味わえる。
高速道路を走ったときも、合流も追い越しもスムーズ。もはや軽自動車を運転している感覚はない。先に触れたように、車重が多少重いのが、バネ上荷重の重さとして乗り心地のよさに寄与している。路面の状況にかかわらず、ハネることはなく、乗員は終始フラットな姿勢で乗っていられる。