 
                            
                        
                                                                                                CAR /
                                                                                                IMPRESSION                                            
                                                                                        2020年10月14日
                                                                                    オンロード性能とオフロード性能を見事に両立──新型ディフェンダーに試乗|Land Rover
Land Rover Defender|ランドローバー ディフェンダー
新型ランドローバー ディフェンダーについに試乗
                                    2019年、実に71年ぶりにフルモデルチェンジを受け、レトロモダンなスタイリングで注目を集めた、ランドローバーのアイコン的モデル「ディフェンダー」。日本上陸を果たした同モデルにさっそく試乗した。
                                
                            Text by FUMIO Ogawa
Photographs by Land Rover Japan
ランドローバーの名に対する期待を裏切らない性能ぶり
                                    ランドローバーが手がける新型「ディフェンダー」が日本上陸した。2019年にデビューしたとき、初代を彷彿させるレトロスタイリッシュなデザインと、喧伝された数かずの新技術で、大きな反響を呼んだモデルだ。
                                
                             
                                           
                                          
                                    新型ディフェンダーには(旧型のように)「90(ナインティ)」と「110(ワンテン)」という二つのボディが設定されている。今回試乗できたのは、3,020mmのロングホイールベース版である後者だ。
                                
                            
                                    ボディがコンパクトで、まだディフェンダーの名がなかったオリジナルモデル(1940年代に登場)とのつながりを強く感じさせるボディデザインの90に興味が引かれる、という声も多いようだ。
                                
                             
                                           
                                           
                                           
                                          
                                    ランドローバージャパンによると、しかしながら、新型コロナウイルス感染症による影響で、計画通り生産が進んでいないとのこと。いまの段階では、むしろ手に入ることだけでも、ファンは喜ぶべきなのかもしれない。
                                
                            
                                    実際に110は印象深いモデルである。いきなり結論めいてしまうものの、オンロードでは操縦性の高いシャープなハンドリングと、しっかりしたサスペンションシステムが特徴的でありながら、オフロードでもランドローバーの名に対する期待を裏切らない性能ぶりを見せてくれるのだ。見事な両立である。
                                
                            意外なほど都会的なドライブ感覚
                                    試乗コースの最初のパートは、新潟県上越市の上越妙高の駅から、18ホールのゴルフコース併設のアパリゾート上越妙高までのオンロード。
                                
                            
                                    「P300」と呼ばれるランドローバーのエンジンラインナップのなかでは最もパワフルな221kW(300ps)の2リッター4気筒ガソリンターボは、3000rpmあたりからもりもり力を出す設定だし、言葉は悪いかもしれないが“これはオンロード用のスポーティなSUVか”というのが第一印象だった。
                                
                             
                                           
                                          
                                    実際に先に触れたように、ステアリングホイールは路面の状態を丁寧に教えてくれるうえ、中立付近で軽く動かすと、車体は即座に反応する。オフロードタイヤが標準(望めばオールシーズンに換装も可とのこと)なわりに、乗り心地はけっこう硬めだ。
                                
                            
                                    400Nmの最大トルクが2000rpmから発生する設定。このエンジンは回転を高めに保持したほうが、気持よく走れる。そうすると、全長4945mm、全高1970mmの車体の大きさは忘れ、スポーティな走りが味わえるのだ。
                                
                            
                                    小さなコーナーが連続する山道もお手のものという感じで、ドライバーの意図通りのコーナリングラインがとれる。SUVの最初のアルファベットはスポーツだったと改めて思い返したほどだ。
                                
                             
                                           
                                          
                                    読者の方は先刻ご承知のように、1947年誕生のランドローバーのオリジンは、“英国にもあんなクルマが欲しい”と、ジープの多機能性に憧れたローバーの技術者モーリス・ウィルクスのコンセプトだ。新世代のディフェンダーは、その流れを色濃く汲んでいるかと思っていたものの、意外なほど都会的なドライブ感覚なのが軽い驚きだった。
                                
                            デザインを中心としたアプローチがブランドの生き残りに必要
                                    都会的という点では、ダッシュボードを含めたインテリアの造型感覚も同様だ。デザイナーは意図的にビスを見せたり、以前は合成樹脂のカバーもない鉄板むき出しの内装だったのを思い出させる。ここもレトロスタイリッシュな感覚である一方、各操作類のアイコンはさらに洗練されており、慣れないと一瞬、何を意味しているかわからないほどだ。
                                
                             
                                           
                                          
                                    「ブランドが生き残るために何が必要かを考えた結果が、デザインを中心としたアプローチを採用することです。これまでランドローバー車は機能の表現に重点が置かれていたのですが、いまは積極的に新しいデザイン言語を開発して、ブランド再構築を目指しています」
                                
                            
                                    19年11月、新型ディフェンダーのラニングプロトタイプとともに日本を訪れた、ランドローバーのデザインを統括するジェリー・マクガバン氏が、上記のように語ってくれたのを思い出す。
                                
                             
                                           
                                           
                                           
                                          
                                    ルーフ後方に設けられた「アルパインライト」ウィンドウ、横開きのテールゲート、外付けスペアタイヤなどは、オリジナルの特徴を活かしている。加えて、極限環境向けに開発したと謳われる「D7x」アーキテクチャーを採用した軽量アルミニウムのモノコック構造は「ランドローバー史上最も頑丈なボディ」とされる。
                                
                            揺るぎないオフロード性能
                                    はたして、”超極限”とはいえないまでも、今回の試乗コースのパート2として、ランドローバージャパンは4WD車専用のオフロードコースを用意してくれていた。雨が降れば泥濘路になるような、大変おもしろそうなコースで、当日は、乾いた細かい土に覆われていた。
                                
                             
                                           
                                          
                                    どうなのかなあ、とオンロード走行の直後だっただけに、110の悪路走破性に懐疑的な気分で、そのコースに乗り入れた。110は、悪路を走るために、下り坂のアプローチアングルは38度、上りのデパーチャーアングルは40度。数値的には問題ない。実際にオフロードでは、その性能がいかんなく発揮された。
                                
                            
                                    特に感心したのは、足まわりだ。オンロードでしっかりしている分、悪路ではどうなの、と思っていたのが杞憂で終わった。さまざまな凹凸がある路面でも車両の姿勢はかなりフラット。ドライバーの視線がブレない。
                                
                             
                                           
                                          
                                    急勾配の登り下りも、難なくこなす。今回は「ツインスピードギアボックス」で「ローギア」を選ぶとともに、「オールテレインプログレスコントロール」なる機能を使い、速度の上限を10km/hという設定で走ってみた。もっともっと速度を上げても、まったく不安がない。
                                
                            
                                    サスペンションアームを長くとっているとランドローバーが謳っている通りで、タイヤは路面をしっかりつかんでいる。かつ、4輪へのトルク配分は自動で行われ、ドライバーの不安はかなり少ない。
                                
                             
                                           
                                          
                                    そういえば、スタイリッシュさでも売るレンジローバー ヴェラールや同イヴォークも、悪路の走破性は高かったと、思い出した。ランドローバーは、たとえスタイリッシュなボディでも、基本的な価値をきちっと守っているのだ。
                                
                            乗っていると愛着が強くなる
                                    「新型ディフェンダーでは、最初に4つのキーエレメントを設定しました。モダニティ(現代的か)、リレバンス(時代と合うか)、デザイアビリティ(欲望を喚起できるか)、そしてエモーショナルコネクション(好きになってもらえるか)」
                                
                             
                                           
                                           
                                          
                                    前出のマクガバン氏は上記のように語っていた。そしてこの言葉のあとに「とりわけ4番目が重要と考えました」と付け加えている。なるほど、広々としつつ、モダンな趣味性の高いインテリアといい、乗っていると、“これは自分のクルマだ”と愛着が強くなるのは事実だった。
                                
                            
                                    110シリーズの価格は、標準モデル(589万円)にはじまり、「S」の663万円、「SE」の732万円、「HSE」の812万円で構成される。「P300」エンジンをはじめとするドライブトレインは共通。
                                
                             
                                           
                                           
                                           
                                          
                                    レザーシート(「S」以上)、LEDヘッドライト(同)、センターコンソール(同)、キーレスエントリー(「SE以上)、カメラを使った「クリアサイトルームミラー」(同)、「ブラインドスポットアシストパック」(同)、「MERIDIANTMサウンドシステム(400W、10スピーカー + サブウーファー)」(同)と装備が異なる。
                                
                            
                                    トップモデルの「HSE」は上記のものを備えたうえで、スライディングパノラミックルーフ、マトリックスLEDヘッドライト、「エクステンデッドレザーアップグレード」「ドライバーアシストパック」といったものを搭載。タイヤサイズもモデルで異なり、HSEは20インチリム径と大径ホイール装着だ。
                                
                            問い合わせ先
                                  ランドローバーコール
Tel.0120-18-5568(9:00-18:00、土日祝日を除く)
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