フェラーリプロサングエに北イタリアで試乗──快適性と多用途性を兼ね備えたオールラウンドスーパーカー|Ferrari
CAR / IMPRESSION
2023年4月5日

フェラーリプロサングエに北イタリアで試乗──快適性と多用途性を兼ね備えたオールラウンドスーパーカー|Ferrari

Ferrari Purosangue|フェラーリ プロサングエ

812スーパーファストの流れを汲む、紛れもないスーパースポーツだった

フェラーリ初の4ドア 4シーターモデルとして2022年9月にワールドプレミアされた「プロサングエ」。フェラーリ初のSUVとして注目を集める同車はいったいどのようなクルマなのか? イタリアで開催された国際試乗会からリポートする。

Text by YAMAGUCHI Koichi|Photographs by Ferrari S.p.A.

プロサングエという車名に込められた想い

ミラノ・マルペンサ国際空港から北東方面へクルマで走ること約3時間半。天にそびえる峻険な山々や、切り立った岩壁が織りなす雄大な景色が車窓に広がり、思わず目を奪われた。
イタリア北東部──3,000メートル級の名峰が点在し、地質学的にも希有な山群の美しさから、2009年にはユネスコ世界自然遺産に登録されたドロミーティ。2022年9月にワールドプレミアされたフェラーリ プロサングエの国際試乗会が彼の地で開催され、訪れる機会を得たのだ。
いくつものスキー場が点在し、ヨーロッパでも有数のウィンターリゾートとして知られるドロミーティ。そして時は真冬の2月下旬。プロサングエがこれまでのフェラーリとは異質な存在であることが、マラネッロが用意した試乗の舞台からも推し測ることができるだろう。
プロサングエの最大の特徴は、言うまでもなくフェラーリ史上初となる4ドア・フル4シーターモデルであること。フェラーリによると、大人4人が快適に過ごせて、乗り降りも楽にできるモデルを求めるマーケットの声に応えるべく、こうしたパッケージングに行き着いたという。
ご存じの通りフェラーリはいつの時代も、例えば「330GT 2+2」(1964年)や「456」(1992年)、そして「GTC4ルッソ」(2016年)といった、高いパフォーマンスと優れた快適性を兼ね備えた2+2モデルを世に送り出してきた。
「プロサングエはそれが進化した最新の1台です」
同車のプロダクトマーケティングマネージャーであるピエトロ・ヴァーゴリン氏は、プレスブリーフィングの冒頭でそう述べた。
フェラーリ初のSUVとして注目を集めるプロサングエだが、実はフェラーリではSUVとは謳っていない。ヴァーゴリン氏の言葉も、プロサングエはあくまで従来のフェラーリの延長線上にあるスポーツカーなのだと、暗に示しているのだ。
そのキーポイントのひとつが、十分な最低地上高を確保しつつも、フェラーリ伝統のV12エンジンをフロントアクスル後方のミッドフロントに搭載し、デュアル・クラッチ・トランスミッション(DCT)をトランスアクスル方式によってリアに配置する、他のFRフェラーリと同様のレイアウトを採用したことだと、ヴァーゴリン氏は付け加えた。
それこそ、同車がイタリア語で純血種(=サラブレッド)を意味するプロサングエという車名を冠している証しといえるだろう。
さらにプロサングエでは、GTC4ルッソと同様、非常にコンパクトなパワー・トランスファー・ユニット(PTU)をエンジンの前方に組み合わせ前輪を駆動する、「4RM」と呼ばれるユニークな4WDシステムを採用。
こうしたファクターにより、フロントエンジンのハイパフォーマンスカーとして理想的な、フロント49%、リア51%という前後重量配分を実現している。
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