フェラーリプロサングエに北イタリアで試乗──快適性と多用途性を兼ね備えたオールラウンドスーパーカー|Ferrari
CAR / IMPRESSION
2023年4月5日

フェラーリプロサングエに北イタリアで試乗──快適性と多用途性を兼ね備えたオールラウンドスーパーカー|Ferrari

洗練されたリビングルームのようなインテリア

プロサングエの後部ドアは、フロントドアと逆方向に79度開くリアヒンジ・タイプとなる。フェラーリが「ウェルカムドア」と呼ぶこの観音開き式を採用したのは、ホイールベースを抑えつつ、可能な限り乗降性を向上させるためなのだと、インテリアデザインを担当したアンジェロ・ニヴォラ氏は言う。
Bピラーの根元にある小さなレバーを軽く引くと、後部ドアは車両後方へ向かってスーッと音もなく開く。このドアは電動ゆえ、リアシートからもスイッチひとつで開閉が可能だ。
フロントドアは手動だが、やはり乗降性確保のために他のフェラーリモデルよりも開放角度が広くとられている。実際にリアシートに乗りこむと、ルーフラインがスラントし、Cピラーが前傾したクーペタイプのボディながら、確かにアクセス性は悪くない。
室内は、コンパクトなキャビンの外観からは意外なほど広い。フェラーリがフル4シーターと謳うだけあり、後席に身長180cmの筆者が座っても、足元、頭上空間ともにまあまあ余裕がある。座面がフロントシートより少々高いため、視界が開けて圧迫感も少ない。
フロントと同様、完全に独立したバケットタイプのリアシートは、個別に電動でリクライニングが可能で、各々が好みの姿勢をとることができる。これならば、ロングツーリングでも快適に過ごせるだろう。
一方、ドライバーズシートにおさまると、「SF90ストラダーレ」や「296GTB」を彷彿させる、パッセンジャー側とほぼ対称をなすダッシュボードが目前に広がる。プロサングエではこのデュアルコクピットのコンセプトを極限まで押し進めた、と前出のマンゾーニ氏は言う。
インストルメントクラスターをはじめとするインターフェイスが完全にデジタル化されたのも、SF90ストラダーレと同様。マンゾーニ氏の言葉とおり、助手席にも10.2インチのタッチディスプレイが備わり、スピードやエンジン回転数、Gメーターといった走りに関する情報を表示できるほか、空調や車内エンターテインメント、さらにフロントシートに組み込まれたマッサージ機能等の操作も可能だ。
インテリアで何よりも感心させられたのが、車内に横溢する上質感だ。レザーやアルミニウム、そしてカーボンファイバーといった“リアル素材”の質感といい、シートやドアパネル、トリム類の、イタリアンファニチャーを思わせる瀟洒なデザインといい、ため息が出るほど麗しい仕上がりなのだ。
「スポーティでありながらシックで洗練されたリビングルームに迎え入れられる感覚」とは、プロサングエのインテリアについてマンゾーニ氏が述べた言葉だが、まさに言い得て妙である。
ちなみに、プロサングエのインテリアにはヨーロッパの認証済みリサイクルポリエステルを68%使用した新開発のアルカンターラが採用されるなど、サステナビリティへのアプローチも抜かりない。
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